剣術と仙術Ⅱ
気がついた時には1000年経っていた。この世界も時間の流れは地球と同じだった。晴れた日も雨の日も曇りの日も雨の日も関係なく寝る時以外休まずに修行した。
そういえば僕はこの世界の政治形態や貨幣や文化など、千年生きているのに(というか千年も生きているのに未だに驚きを隠せないが)何も分からない。師匠は修行を始めた当初「まあ後日話そう。」とは言っていたが。
「さて、今回は仙術も交えて立ち合おうか。」
500年経った頃から立ち合いは年に一度行っていた。当然一度も勝てたことがない。なのに今回は仙術もありという。何という鬼畜なのだ。
ともあれ僕たちは立ち合いそして僕は負けた。
その悔しさをバネにさらに修行した。
何年経ったかすらわからなくなった頃、師匠から課題を出された。
「さて、ワシが教えられることは全て教え終えた。次また見える時お主の集大成を見せてくれ。ワシの知り合いに魔女と呼ばれるものがおる彼女のもとで魔法を学んでくるといい。そしてまた立ち合おう。」
「え、まさかお別れですか?」
「なに、巣立ちの時だ。ひなだったお主は立派な仙人になった。ワシのもとでの修行はこれで終わりじゃ。
次は魔法を覚えてみよ。さすれば今度はワシに勝てるかもな、カカッ。」
そして師匠との別れの時が来た。
「師匠今までお世話になりました。この御恩は絶対に忘れません。またお会いしましょう!」
「うむ、またまみえる時が楽しみじゃ。お主も元気でな。」
そうして、魔女のいる山奥に向かおうとした時、
「そういえばお主の名前きいとらんかったのぅ。教えて来れんか?」
「あ、本当にそういえば、ですね。千年以上も過ごしているのにお互いの名前も知らないなんて不思議ですね。
僕の名前は立石武蔵と言います。あぁここは異世界だからムサシ=タテイシの方が伝わるのでしょうか。」
「なるほどムサシか。わしの名はゼンじゃ。改めてよろしくの。」
「はい!ゼン師匠!
それでは行ってまいります!」
こうして僕はゼン師匠から剣術と仙術を学び旅立った。