1話 第3章 久しぶりに感じたぬくもり。
目が覚める。第一に見知らぬ天井に驚き横に寝ている少女に驚く。しばらくして頭が冴えてくるとやっと状況を思い出す。いろいろあってこの少女の家に泊まることになっていたのを完全に思い出す。
寝るときにはつないでいたはずの手もいつの間にか離れていた。少し寂しく感じた。
まだすやすやと寝息を立てて寝ているミア。そして鼻の奥にくるつんとした匂い。違和感を覚えて布団をめくり、自分のパジャマのズボンを下ろしてみる。そこには見慣れないピンク色のおむつ。寝る前には黄色だったはずの線が青色になり、おむつも膨らんでいた。
「・・・え?まさか、おねしょしちゃった?」
小さな声でつぶやいたはずだったのだが布団をめくられ睡眠を妨害されたミアの耳にはしっかりと届いてしまっていたようだった。
「・・・おはよ・・・サクラちゃんもしかしておねしょしちゃったのって・・・私もだ」
ミアもズボンを下げ、ぷっくりと膨らんだおむつを見せてくれる。サクラと同様、黄色だったはずの線が青く変色していた。
おねしょを吸収したおむつは重く時間がそれほど経っていないからなのかまだ少し暖かかった。足も動かしづらい。
居候させてもらっている身だ。布団を汚してしまっていないか不安になりあたりを確認するが全く汚れていない。パジャマも濡れた様子がなく、とりあえずは一安心だ。
「おむつ念のために穿いててよかったね」
「・・・うん」
昨日の昼間にも漏らしてしまったので念のためと思ってのおむつだったのだがいざ漏らしてしまうと心が折れそうになる。お漏らしをしてしまったはずなのになぜかトイレに行きたくなる。昨日そんなに水分を取っただろうか。
「・・・トイレ行っていい?」
「うん、先いいよ」
ミアも行きたいようだったが先を譲ってくれるようだ。ミアのためにも早く済ませなければと思い立ち上がる。
「あっ・・・」
トイレまでなら我慢できると思っていたのだが限界が来てしまう。わずかに聞こえるおしっこがおむつに当たる音。同期するようにしてさらに膨らむおむつ。
数十秒してやっとおむつのふくらみが止まる。おねしょで相当パンパンになっていたが朝一回分は何とか吸収してくれたようだ。だがべちゃべちゃしているのとすぐに冷えてきて気持ちが悪い。
「大丈夫?・・・じゃないよね。一緒にシャワー浴びよ」
言葉を返す余裕すらなくただ首を縦に振る。ミアも立ち上がり、サクラの頭をなでながらサクラのペースでゆっくりと風呂場へと向かう。サクラのおむつは起床時と比べて一回り大きく膨らんでいた。そのおむつを支えるために必然的にがに股になってしまう。何とか泣きそうなのをこらえながら風呂場へと向かった。
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風呂場に完全に入ってからパジャマを脱ぎおむつはミアに脱がしてもらう。脱がしてもらう恥ずかしさよりも今は朝一で漏らしてしまったという落ち込みの方が今はひどい。
「・・・おむつ穿いてて大丈夫だったし、さっきのおもらしは体にまだ慣れてないっていうのもあると思うから気にしないでね」
一瞬ミアに外されて見えたつい今まで自分の股についていたおむつは真っ黄色に染まり、これ以上吸収できないのではないかと思うほどにおしっこを吸っていた。
まだおむつ姿のミアに体も洗ってもらい、裸のままお礼ではないが今度はミアのおむつを外すことになった。恥ずかしいが今はそれほど気にならない。
ミアのパジャマを脱がせ、膨らんだピンク色のおむつがあらわになる。ミアが立ったままおむつのマジックテープをぺりぺりとはがしておむつを外す。まとめて一旦風呂場から出し、汚れた下半身をお湯で洗い流す。ついさっきしてもらったのと同じことをミアにする。綺麗に石鹸で洗ってあげる。
二人で風呂場を出て上も脱ぎ、パジャマではなく普通の服をミアに貸してもらい着替える。
先に丸めたおむつを片付けてからミアが着替えを探す。探しながら何かを思いついたようにサクラに提案する。
「・・・あのさ、念のためサクラちゃんはおむつにしない?」
「え?なんで?」
「別にさ、トイレに間に合っておむつを使わないならそれに越したことはないんだけど外に出かけたりするときに外で漏らしたりした方が嫌じゃないかと思って」
「まあたしかに」
言われてみればミアの言いたいこともわかる。おねしょをすることですら想定外だったのだ。今後外に出てすぐにトイレに駆け込めない状態で我慢できるとも限らない。ならば保険としてでいいからおむつをしておくべきなのではないかということだ。
確かに外で漏らして恥をかくのもそれでミアに迷惑をかけるのが嫌なのも確かに事実だった。
「・・・念のためね。つけるのおねがいしてもいい?」
「もちろん。ごめんね、夜しかつけるつもりないから今テープしかなくて」
おむつだってミアからもらっている状態だ。どうこう言う資格はない。昨晩と同じように寝転がってミアにテープタイプのおむつをつけてもらう。
さすがにおむつをつけた状態でズボンはだめだということで比較的丈の長い水色のワンピースに改めて着替えさせられる。一応言っておくがミアは普通のパンツだ。
自分より年下がパンツで自分がおむつだと思うと情けなく感じる。少し落ち込んでいるサクラを見てミアが声をかけてくれる。
「気にしないで。あくまでも保険だし、私がついてるから」
「うん」
慣れないおむつに初めて着たワンピース。ワンピースは足元の風通しが良すぎて落ち着かないしその上はおむつでもこもこしていて自然に歩くことができるのか不安だった。相変わらずピンク色のおむつが恥ずかしい。ワンピースがめくれあがっておむつが見えるようなことだけは避けたいと思った。
ミアも手持ちで何とかサクラと似たような服に合わせようとしてくれたのか白色のTシャツに水色のプリーツスカートという装いに。
「とりあえず、ご飯食べてから二人分だとすぐになくなっちゃいそうだから新しいおむつを買いに行こうか。ついでに昼ご飯の買い出しとかも」
「うん。お金とか色々大丈夫?」
「多少は貯金もあるから大丈夫。それに、私もちゃんと働いているから」
「え?」
ミアの歳で働いているとはどういうことなのだろうか。その詳細を本当は聞きたかったのだがミアが張り切って朝ごはんの準備を始めてしまったので聞くことはできなかった。どのみち、どこかで聞く機会はさすがにあるだろう。
朝食の準備を手伝いながら街に出るわくわくした気持ちと様々な不安な気持ちが心の中で混ざりあっていた――