2話 第6章 揺れる心
固まる一同。特にカミラのダメージは大きかったようで目の中がぐるぐる回っている。全員フリーズして何も言えなくなっていた。
仕事で疲れていたこともあり、何も考えずにパジャマの分おむつを出してしまったのが原因だろう。念のためチャーリーにもパジャマを出したことが災いしたようだ。
しばしの静寂。破ったのはおパニック状態になっているカミラだった。当然まともな思考なわけもなく――
「・・・チャーリーもおむつだから!穿かないとか許さないから!」
「え?僕おむつ取れてるんだけど・・・」
「知らない!ほら早く!パジャマもちゃんと着て!」
「でも女の子のだし・・・僕男なんだけど・・・」
「関係ないから!お泊り会なんだから着て!」
渋々戻っていくチャーリー。そしてしばらくして出てきたのは女の子のパジャマに身を包んだ状態で出てきたチャーリー。恥ずかしそうに顔を真っ赤にしている。そして下半身は不自然に膨らんでいる。
「あ、テープのおむつだったと思うけど大丈夫だった?漏れない?」
「昔は自分でつけてたから大丈夫だって。にしてもパジャマもおむつもめっちゃ恥ずかしいんだけど」
「いいでしょ?パジャマ可愛いよ」
「・・・そういうのいいから」
そういいながら恥ずかしさを紛らわすためにかすぐにゲームに参加するチャーリー。女の子のパジャマを着ているだけで一人男の子がいたという感覚が薄れる。恐ろしい。パジャマのズボンからわずかに見えているピンク色のおむつ。チャーリーが女の子用のピンクのおむつを穿いていることを示していた。本当に穿いていたのだと思う。
少し時間が経つとチャーリーも慣れたのか、気にしなくなったのかは分からないが違和感なく混ざっていた。チャーリーも中世的な顔つきなこともあって女の子四人の女子会にしか見えない。
一方のサクラだが、今更おむつでも何も気にならなくなっていた。このもこもこな吸収体に包まれているのに慣れている。今更布のぱんつがどんな感覚だったか思い出せない。もっとも、女の子用のぱんつを穿いたのは一回だけなのでよく覚えないないし覚えていたくもないが。
しばらく遊び、それなりに時間が経つ。あくびが目立つようになってきており、そろそろ寝る時間だろう。サクラも初めての仕事だったこともあり、もう疲れて眠かった。
「じゃあそろそろ寝ようか。布団一枚しかないし他の人はタオルと毛布で大丈夫?」
「うん。布団はサクラとサクラちゃんで使っちゃって大丈夫」
「ん。じゃあおやすみ」
サクラとミアは寝室へ向かい、カミラとレイラとチャーリーはリビングで寝ることになった。場所の関係上、仕方ないところはある。
眠い目をこすりながらミアと同じ布団に入る。やっぱり人と同じ布団に入ると温かくていい。そのままうとうとしてゆっくりと睡魔に意識が侵食されていく。
「じゃあおやすみ」
「うん。おやすみ」
しばらくして規則正しい寝息が隣から聞こえてくる。体の向きを変え、ミアを見ると寝息を立てて眠っていた。サクラももうかなり意識がもうろうとしていた。まもなく寝られるだろう。
寝ようと目をつむる。視覚がない分、余計に音に敏感になる。隣のリビングから小声でカミラとレイラとチャーリーが話しているのが聞こえてくる。隣が寝息だけで静かに寝ているおかげで小声だがよく聞こえる。
「チャーリーそういえば好きな人いないの?」
「えっ・・・あ、いや・・・」
「誤魔化さなくていいって。ほら」
どうやらコイバナのようなことをしているようだ。元の世界にいたときは修学旅行などで友達としたのを覚えている。なんだか懐かしい気持ちになる。
声を聴く限り、チャーリーがレイラに問い詰められているらしい。チャーリーは中々答えようとしない。それも当然だろう。チャーリーが好きなのはすぐ隣にいるカミラなのだから。答えられないのも当然だろう。逆に言えばそのままの流れで告白してしまうのも悪くないような気がする。
「いいじゃん。別に言ったって減るもんじゃないしさ、私たちの知らない人だったりするかもしれないし」
「いや・・・その・・・」
「じゃあとりあえず聞くけど私たちの知ってる人?」
「え?・・・えっと・・・」
「『はい』か『いいえ』で答えてよ。面白くないじゃん」
「・・・はい」
「え?嘘?誰誰?」
そこまで言いたくないなら許してもいいような気もするのだが。女の子はコイバナになると怖くなる、覚えておいた方がいいかもしれない。
「・・・別に好きっていうか気になるみたいな感じなんですけど・・・」
「それでもいいから!ほら」
先ほどから聞こえてくるのはレイラの声ばかり。カミラはなぜ話に入っていないのだろうか。あえて入っていないのか、本当に寝ているのか。完全に壁を隔てているので分からない。あえて寝たふりをしていることも考えるがどうだろうか。
にしてもチャーリーから追求が離れることはない。
「・・・言っても秘密にしてくださいよ?」
「そりゃあ。ここだけの話だって。ほら。私にだけ教えて」
きっとカミラなんだろうなあ。昨日服も買ってたし。隣でしたこの話が伝わってたらカミラも意識するだろうしいいだろうなあ。
サクラも耳を澄ませてチャーリーの答えを聞こうとする。当事者の隣で寝ているのだ。声を潜める可能性だってある。
「・・・僕の気になってる人は――
――サクラさんです!」
「・・・???」
3話へ続く・・・




