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パールファンタジー
具美は、白いふわふわの服を母から着せられていた。
大きくて広いターミナルから乗り物に乗って二人は旅に出ていた。
具美に目的地はわからなかった。
ただただ母と一緒にいるのが嬉しかった。
いつしか眠って、目が覚めた時は海の見える田舎のバスに乗り換えていた。
具美はまだ幼い。
母が側にいる安心感のみを感じていた。
そして次に気づいた時には祖母と叔母の家にいて、母はいなかった。
泣いたような気もするが、具美にとっての時間はぼんやりとしたものだった。
物心というものがまだはっきりとしていなかったのだ。
従姉妹の蜜柑がいた。
具美と蜜柑はいつも一緒に遊び、祖母にかわいがられた。
あの白い服も具美が成長して入らなくなった為に、いつの間にか見当たらなくなった。
時々、具美は、母をぼんやり思い出す。