第97話 〜お兄ちゃんは目覚めたようです〜
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何が起きたのか、全く分からなかった。
気づいた時には、穴という穴から血が溢れ、吐き出していた。
そこからのことは、あまり覚えていない。
重い身体に寒気こそするが、痛みは感じない。
「……い! ……かり、しろ……!」
「……ん! ……ロ、く……!」
「ヤヒ……っ! ……ぶ……!」
「早く! …………へ、は……ぞ!」
遠くから声が聞こえる。
「騒がし……どう…………?」
「…………は、……とな……の?」
「かしこま……、…………さま」
「……さ、……はや……さい……」
聞き覚えのある声、知らない声……朦朧とする意識の中、代わる代わる聞こえてくる。
(あれ……俺、どうなったんだっけ……?)
思考が上手く回らない。
何がどうなっているのか、全く判断ができない。
ただ、酷く眠い。
(……俺は、このままどうなるんだ……?)
「おにい……ちゃ……、しっか……して……!」
「……ロさ……、早く…………」
妹と幼なじみの、どこか悲痛な声がかすかに聞こえる。
「早く起きねば」……そう思う反面、考えるのが億劫になる。
そんな時だった。
『……大丈夫』
聞き覚えのあるような、ないような……鈴の音のようでいて、凛とした少女の声が聞こえた。
『……大丈夫よ、ヤヒロ……今は、ゆっくり休んで……』
そう言われ、優しい手で両目を伏せられる。
懐かしさを感じさせるその温かい声と手に、何かを思い出しかける。
「……キミ、は……」
そこで俺の意識は、完全に途切れた。
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……遠くから、なにか聞こえる。
どうやらそれは、鳥が鳴く声のようだ。
今は何時だろうか?
瞼の裏から、強い光を感じて思わず顔をしかめる。
すると少し離れたところから、ドアの開閉音がした。
耳をすませて様子を伺えば、『カチャカチャ』と小さく音を立てて何かをし始める。
(……そもそも、ここはどこだ?)
家とは違う……何か変だ。
まだ上手く働かない思考を、精一杯回す。
そうだ。
先日謎の少女から渡された箱を開けたら、見覚えのないゲームソフトが入っていたんだ。
それを起動したら、知らない森の中に異世界転移していて――――。
そこで俺は、大切なことを思い出す。
(そうだ……俺はその時、陽菜子と伊織も一緒に……!)
それと同時に、誰かが額に触れたその瞬間――――俺はその手を掴んで、勢いよく起き上がる。
「ヒナコ……っ! イオリ……!」
「……わぁ?」
「……あら?」
聞き覚えの無い声に、俺は声の主たちへと視線を向ける。
「……姉様、姉様。お客様が目覚めたよ」
「……兄様、兄様。お客様がお目覚めよ」
「……はぁ?」
……そこにはまるで人形のような……、瓜二つの顔をした短髪と長髪の子どもが二人いた。
明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いします!
というわけで、ここから三章開幕です!
何卒よろしくお願いします!






