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第97話 〜お兄ちゃんは目覚めたようです〜

 ▷▶︎◀︎◁▷▶︎◀︎◁▷▶︎◀︎◁




 何が起きたのか、全く分からなかった。


 気づいた時には、穴という穴から血が溢れ、吐き出していた。


 そこからのことは、あまり覚えていない。

 重い身体に寒気こそするが、痛みは感じない。




「……い! ……かり、しろ……!」


「……ん! ……ロ、く……!」


「ヤヒ……っ! ……ぶ……!」


「早く! …………へ、は……ぞ!」




 遠くから声が聞こえる。




「騒がし……どう…………?」


「…………は、……とな……の?」


「かしこま……、…………さま」


「……さ、……はや……さい……」




 聞き覚えのある声、知らない声……朦朧とする意識の中、代わる代わる聞こえてくる。


(あれ……俺、どうなったんだっけ……?)


 思考が上手く回らない。

 何がどうなっているのか、全く判断ができない。


 ただ、酷く眠い。


(……俺は、このままどうなるんだ……?)




「おにい……ちゃ……、しっか……して……!」


「……ロさ……、早く…………」




 妹と幼なじみの、どこか悲痛な声がかすかに聞こえる。

「早く起きねば」……そう思う反面、考えるのが億劫になる。


 そんな時だった。


『……大丈夫』


 聞き覚えのあるような、ないような……鈴の音のようでいて、凛とした少女の声が聞こえた。


『……大丈夫よ、ヤヒロ……今は、ゆっくり休んで……』


 そう言われ、優しい手で両目を伏せられる。


 懐かしさを感じさせるその温かい声と手に、何かを思い出しかける。


「……キミ、は……」




 そこで俺の意識は、完全に途切れた。






 ▷▶︎◀︎◁▷▶︎◀︎◁▷▶︎◀︎◁






 ……遠くから、なにか聞こえる。

 どうやらそれは、鳥が鳴く声のようだ。


 今は何時だろうか?

 瞼の裏から、強い光を感じて思わず顔をしかめる。


 すると少し離れたところから、ドアの開閉音がした。

 耳をすませて様子を伺えば、『カチャカチャ』と小さく音を立てて何かをし始める。


(……そもそも、ここはどこだ?)


 家とは違う……何か変だ。

 まだ上手く働かない思考を、精一杯回す。


 そうだ。

 先日謎の少女から渡された箱を開けたら、見覚えのないゲームソフトが入っていたんだ。

 それを起動したら、知らない森の中に異世界転移していて――――。


 そこで俺は、大切なことを思い出す。


(そうだ……俺はその時、陽菜子(ヒナコ)伊織(イオリ)も一緒に……!)


 それと同時に、誰かが額に触れたその瞬間――――俺はその手を掴んで、勢いよく起き上がる。


「ヒナコ……っ! イオリ……!」

「……わぁ?」

「……あら?」


 聞き覚えの無い声に、俺は声の主()()へと視線を向ける。


「……姉様、姉様。お客様が目覚めたよ」

「……兄様、兄様。お客様がお目覚めよ」

「……はぁ?」




 ……そこにはまるで人形のような……、瓜二つの顔をした短髪と長髪の子どもが二人いた。

明けましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いします!


というわけで、ここから三章開幕です!


何卒よろしくお願いします!

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