表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/100

第100話 〜お兄ちゃんは見てしまったようです〜

「ヒナコっ! イオリっ!」


 俺は長い廊下を彷徨(さまよ)いながら、ドアを手当たり次第に開ける。


「どこだ!? 二人とも……っ!!」


(……違う! ここも違う……っ!)


「ヒナ……!」

「ぎゃああああ! 誰ですかアナタ!?」


 大量の本に囲まれた薄暗い部屋に誰かがいたが、妹じゃないと確認するとすぐに閉める。


 そうやって屋敷中のドアを開ける勢いの俺の肩に、ヒイラギさんが手を置いて制止する。


「落ち着け、旦那」

「離せっ! 落ち着いてられるか……っ、うっ……!」


 急に走ったからか、泥沼にでもハマったかのように身体中が重い。


「急に走って叫ぶからだ。大丈夫、ゆっくり息を吸って吐け」


 この一ヶ月の間で『もし、二人に何かあったら……』そう思うと、今にも不安と自己嫌悪で吐きそうになる。


「安心しろ。旦那の連れ二人はウチの客人として、ちゃんと保護してる。旦那の心配するようなことは、何一つ起きちゃいねぇさ」

「……その言葉、本当か?」

「ウチのお嬢に誓って、保証しよう」


 俺はヒイラギさんの肩を借りて、ゆっくりと立ち上がる。


「……ここからなら部屋に戻るより、食堂の方が近いな。旦那もなにか、軽く口にした方がいい」

「そう、だな……」


 食堂に向かって歩きながら、内心では不安は拭いきれない……だがここで不安に押しつぶされて、俺自身が折れてしまっては意味がない。


 俺は軽く首を振って、邪念をはらう。


(きっとなんだかんだで、ロキやセージも一緒にいてくれているはずだ……俺がこの世界で出会って、信じたヤツを信じよう!)


「着いたぜ、旦那」


 食堂にたどり着いたのだろう。両開きの大きなドアが、目の前にあった。


(……今はとりあえず、体力を回復させ……)


 ドアの向こうから、何やら楽しそうな会話が聞こえてくる。


「……なんか、やけに賑やかそうだな?」

「そうか? なら、それはおそらく……」


 ヒイラギさんがドアを開くと、そこには……。




「じゃじゃーん! お(ねえ)様にお願いして、ロキロキとお揃いにしてもらったのー!」

「あんの、クソババァ……!!」

「二人とも、凄くお似合いですよ!」

「イオもお揃いにしてもらおうと思ったら、イオに断られたんだよぉ」

「当たり前でしょう!」


 一番最初に目に入ったのは、テーブルの上でミニスカのフリフリメイド服を着た我が妹の陽菜子(ヒナコ)と……何故か同じものを着せられているロキ。

 そしてその二人を見守るように、椅子に座っている……幼なじみの伊織(イオリ)と、セージの姿があった。


「一度着てみたかったんだよねー、メイド服! やはりこのニーハイソックスとスカートの丈が、いい感じに絶対領域をチラチラと……」

「ちょっ、ちょっと! 只でさえ短いスカートの裾を、上げようとしないでください!!」

「ロキは何を着ても、似合いますね!」

「お前はちょっと黙れ、セージ……」


 和気あいあいとしている妹たちを横目に、俺は無言無表情でヒイラギさんを見る。色々と言いたいことをとりあえず飲み込んで、俺はヒイラギさんをジッと見る。大事なことなので二回言った。


「ま、待ってくれ旦那! これは俺のせいじゃない! 物凄くなにかを言いたげな目と顔で、俺を見るな!」


 どうやら俺たちに気づいたのだろう。妹が俺たちへと声をかける。


「ヒロくーん、見てみてー! ミニスカメイド服だよー! どぉー? 似合うー?」

「お兄ちゃん的には、お淑やかなロングの方が好き……じゃなかった、ナニコレ?」


 いつもと変わらない妹の態度に、思わず普段通りに反応してしまう。ナンダコレ?

 妹の隣をチラッと見る。触れていいのかわからず、俺はとりあえず……。


「似合ってるなぁ、ロキ」


 その瞬間、椅子が飛んできたと同時に目の前に現れたロキに顔面を掴まれる。


「はははっ、冗談ッスよロキっつあん。痛いッス……いだだだだだ!」

「忘れろぉ……今すぐ忘れろ、バカ兄貴ィ……っ!!」


 ロキの握力で顔面がメキメキと、立ててはいけないような音を立てはじめる。


「忘れます! 忘れますから! それ以上は、顔が物理的に割れる!」


 手を離して貰えたと同時に、床に突っ伏す。死ぬかと思った……。


 人影が近づいてきたと思い視線をあげると、先程の人形のような子どもが俺を覗き込んでいた。


「……無様だね、お客様」

「本当に。無様だわ、お客様」

「何たる、理不尽……」




 こうして俺は、再び意識を失ったのだ。

お読みいただきありがとうございます。


お陰様で100話まで掲載できました!

ありがとうございます!


良ければブックマークや感想、アクションや評価など入れてくださると今後の励みになります。


これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
面白い!気になる!と思ったら( 。・ω・。)ノ 凸ポチッ
小説家になろう 勝手にランキング

小説家になろうアンテナ&ランキング
小説家になろうSNSシェアツール
感想・考察・ブックマーク・評価・レビュー、etc…
お気軽にいただけたら嬉しいです!よろしくお願いします!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ