ニート故郷に想いを馳せる
コンコン、扉を二回たたく音がした。
「渡さん片付けに参りましたー」
マチルの声が聞こえた、少し高めで、少し怯えているような気がする。
「はい、ドア開けて待ってて」
ドアが開いた。
彼女のメイド服姿はピンクの髪ともなかなか相性が良くて、
俺のの母性をくすぐる者がある。母性とはつまり女子力。
女子力高すぎる自分が辛い。
「渡さん食器は、私が片付けますよ」
「もう、まとめて持っちゃってるから、自分で置くよ、
そのゴロゴロに置けばいいよね」
渡はワゴンの上に食器を片づけた。
「さあ、案内しておくれ」
「はぃ」
マチルの後ろについて歩く。
宮殿の中は、そこまで豪勢な作りではない。
壁にかけてある、暖色系の石が淡く光りだした。
太陽が沈んで暗くなってきたからだろうか。
「マチルさん、あの石は魔力で動いて暗くなったら光る石なの?」
「そうですね」
マチルはこちらを振り返ることなくしゃべっている。
マチルが歩くたびに、髪の毛がポヨン、ポヨン揺れる。
俺が猫だったら、確実に猫パンチをかましているだろう。
窓から外を見ると、赤毛の女フレイが素振りをしていた。
剣をブンブン振っている、早すぎて初動と終動しか確認できない。
じっと見ていたら、こちらを見て、キッと怖い顔をした。
そんなに、怖い顔をしたら、美人が台無しだねって今度言ってやろう。
やっぱりやめよう、怖いから。
「ここが調理場です、食べ終わった後の食器、晩御飯、お昼飯、何か食べたいときは、ここに来れば何かありますので」
扉を開けると、その名の通り調理場であった。食材や調理するための道具がそろっている。
そこには、先ほど笑い転げていた、青い髪のケルトの姿があった。
エプロンをかけている、正直かっこいい、イケメンってだけで、税金多めに払うべきだと思いました。
「おっ、渡君じゃないか、料理どうだった」
「あーはい、おいしかったけど、もしかしてお兄さんが作ったんですか」
「そうだよ、君の栄養管理は僕の担当だからね、これから君は、僕で体が作られていくんだよ」
ケルトは自分の体を抱きしめて言った。
「いや、言い方気持ち悪すぎませんかね」
渡は鳥肌が立った。
「しょうがないじゃないか、本当の事なんだから」
「はぁ、まあ、もういいですわ」
なんか、眠いし、疲れたし、早く寝たい。
「お昼と、晩御飯はここに食べにおいでね」
「朝飯は、どうするんですか」
マチルが、手を挙げた、背伸びまでかましている。
このぶりっ子野郎と、罵りたいが、可愛いので許した。
たぶんイラついてる時だと、許せない部類の奴だ。
「私が、朝ご飯は渡さんの部屋に持っていく事になっています」
「別に部屋に来なくても、ここに食べに来るから大丈夫だよ」
「部屋の片づけ等のついでに持って行くだけなので、持っていきますね」
「そうですか、じゃあ、よろしくお願いします」
「はぃ」
そのあと、マチルと共に、お風呂場、トイレ等、各部屋を案内してもらい、マチルとは別れた。
渡は、風呂にも入らず、服を着替え、ベットの上に寝転がった。
天井を見ながら、故郷の事を思い出す。
これから、俺はどうなるんだろうか、母さんや、父さんには、もう会えないんだろうな。
奏は、いじめられてるままだろうか、どうせ異世界に来るなら、自分の立場とか、考えずに助けに入ることも出来たのにな。
命を懸けて魔王を倒すとか、絶対無理だろ。
死ぬ確率あるのなら、行きたくないわ。
母さんの、唐揚げをもう一度食べたい。一生戻れないと思うと、辛い。
魔王を倒せば戻れるんだっけ、この勇者の剣とやらが使えるのが俺だけってだけで呼び出されも迷惑だわ。マジで。
くそ、思い出したらムカついてきた。
まあいいか、ゆうゆう自適にニート生活が送れるんだから。手伝いなんてやるもんか。
もう寝よう。
あーなんで俺なんだよ。
渡の涙腺は一晩中働き続けていた。
夜中眠ることが出来なかった。
◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆
まどろみの中、俺を呼ぶ声がする。
「渡さん、起きてください、朝ですよ」
薄眼で俺を揺する、無粋な人物を確認する。
ピンク色がおぼろげに見える。
あれ、俺、マイホームにいるんじゃないのか、
ああそうか、異世界転移したんだったな。
夢なら、さめてくれれば、良かったのに。
「もう少し寝かせてくれ」
「わかりました、ごはんは置いときますからね」
渡は二度目の睡眠を取った。
◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆
昼過ぎ渡は目を覚ました。
全然寝られたきがしない。体調も最悪だ。
渡の目元にはクマも見受けられた。
べちょべちょして、気持ちが悪い。
風呂に入ろう。
脱衣所で服を脱いで、風呂に入る。
体を流して、大浴場につかるときに、気が付いた。
赤い髪の女が目の前にいる。
昨日はフワフワとしていた赤い髪がしぼみ肌に張り付いていて、非常にエロい。
太ももが太い、筋肉質でパワーが出そうな太ももだ。
あれに、挟まれたら死ぬだろうな、だが断らない。
彼女は体にタオルを巻いていたので、ラッキーだった。
ここで死ぬことになるなら、アンラッキーだが。
胸は小さめだがスラットしていて、良いスタイルだ。
「堂々と、入ってくるとは良い度胸してるわね」
彼女はこちらを睨み付けていた。
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