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ニートの嘘と怯える魔導少女

 渡一同は、宮殿に向かった。

 赤髪の女がにらんでくる。

 きつい顔立ちなだけに、こわい。

 土下座させたのが気に入らなかったのだろう。


 渡は、自分のやったことが間違っていたと思っていない。

 関係のないことに巻き込まれ、戦うことを強要される。

 人権侵害、計画犯が一番悪いが、止めなかった周りも同罪だ。

 だから、土下座してもらった、

 怒りは静まった。


 だが、協力する気はない、俺は自分の為に生きる。

 俺は楽に生きたいんだ。

 この休養期間を永遠に続けるつもりだ。

 自動車事故の首が痛いで、お金取り続ける、詐欺師と同じことをする。

 事故だと首が痛いで金をとり続けるが、

 俺は心が痛いから、働けないし、努力できないと言い訳を続けてやる。


 渡達は宮殿に着いた、柚子の甘くすっぱい香りがする。

 ルイスは、用意していた部屋に渡を案内する。

 

 「渡様お疲れさまでした、後からマチルが食事などを持ってきます。

 部屋でゆっくり休んで待っていてください」


 「王女様もお疲れさま、休ませてもらいます」


 「渡さん、最後に一つ良いですか」

 ルイスは指をピンと一本立てて話す。


 「何ですか」


 「渡様が気持ちを語ってくれた時のような言葉遣いで接してください、堅苦しいしゃべり方は、肩がこるでしょう」


 「それは王女様も同じでしょう」


 「私はこれが普通ですけど、渡様は違いますよね。

 もっと砕けたしゃべり方で、おしゃべり出来たら、うれしいな、なんて」


 長い金髪で顔が隠れて表情はうかがえない。


 距離を詰めようとしているのだろうか?

 俺はそんな簡単に落とされる男じゃないぜ、

 そう思ったが、堅苦しい喋り方で、肩が凝るのは事実だ。


 渡はルイス王女の策略に乗ることにした。


 「わかった、じゃあ、お疲れ王女さん」


 「はい、お疲れ様です」


 案内された部屋の扉を開く、

 中は丁寧に掃除されているようでほこり一つないように見えたが、

 やっぱりほこりは少しあった。


 ――ほこりのない部屋に住んだら(ほこ)りがなくなってしまうぜ。

 

 非常にくだらないことを考えながら、

 靴を脱いで扉の近くに置く、

 洋風な宮殿だからだろうか、

 部屋に入るとき靴を脱ぐ習慣がない部屋に思える。

 

 俺の部屋は土足厳禁にしよう。


 白いベッドに座り、勇者の剣なるものを、

 脇に立てかけた。


 なかなかフカフカのベッドだな、

 部屋の広さも十分ある、机と椅子、棚が主な家具だな

 ここで今日から暮らすのか。

 ネットもない、ケータイもない、

 何すればいいかわからない、

 まあいいか、疲れたから取りあえず横になろう。

 


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 コンコン

 「渡さんいますか?」

 少し高めの女声が扉の外から聞こえた。


 「いません」

 渡は自然と嘘をついた、


 「えっいないんですか、わかりました」

 部屋に入ることを諦めてどこかに行こうとする。

 

 渡は扉を開けて、少し急いで外に出た。


 「嘘です、いますよー」


 「ひっ、いないはずなのに、人がいる!!」

 そこには、食事を積んであるカートを引いている、

 ピンクの髪の女の子、マチルがいた。


 マチルは、びくびく震えながら、振り向いた。

 渡におびえているのか、びっくりしているのか、それともどっちもか。 


 「そんなにビクビクするなよ、普通いないですって返事が来たら、人が居ることがわかるだろう」


 「そっか、そうですよね、ちょっと考え事しちゃってて、

 気づかなかったです。

 今食事を持っていきます」


 マチルは、ピンクツインテールの髪をテクテク揺らしながら歩いてくる、


 渡は扉を開けて、マチルを部屋に招き入れた。


 「マチルさんだっけ、靴脱いで入ってね」


 「ふえ?何でですか?」


 「俺の故郷では、部屋では靴を脱ぐんだよ」


 「わかりました、脱ぎますね」


 「渡さんの食事です」

 机の上に食事が並べられる。


 「ありがとう」

 

 「いえいえー、他に欲しいもの等ありましたら、私に言ってください!!」

 

 「わかったよ、では、頂きます」


 渡は手を合わせて食事を始めようとするが、

 マチルがこちらを見ているので、非常に食べづらく感じた。


 なんで凝視してくるんだよ、俺の事好きなの、

 まあいいか、構わず食べよう。


 

 ぐー


 「!!」

 マチルの腹が鳴った

 少し恥ずかしそうに顔を赤くして、うつむいている。

 可愛い。


 「君は、何か食べないの?」


 「私は後で食べるのでだいじょうぶです」


 「お腹のなった人の前でご飯食べにくいんだけど」


 「そうですかー……少したったら片付けに来ます」

 マチルは部屋を出て行こうとした。


 「自分で片付けるものは、持っていくよ、場所さえ教えてくれたら」


 いちいち部屋にこられても面倒だしな。


 「場所を口頭で説明しても分かりにくいと思いますので、

場所の説明もかねて後で屋敷を回しましょう!!」


 「じゃあ、ゆっくりご飯食べてから、片付けに来てね。よろしく。

 それと、取って食べたりしないから、そんなに怯えなくていいよ」


 マチルの足は、渡と一緒にいるあいだ、ずっと震え続けていた。

 


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