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ニートと節操のない王女

 「貼り付けた笑顔なんてしていませんけど」

 ルイスは真剣な表情になり、渡を見つめた。


 「しているんですよ、その媚びた笑顔が、俺の気分を害するんですよ」

 ルイスは首を傾げて、


 「渡様は、相手の心は察することが出来るのですか?」


 「よくわかりませんが、なんとなく相手の気持ちはわかりますね、

 故郷ではこんなことはなかったんですが。

 王女さんが、プレッシャーを感じながら俺としゃべっていることはわかります」


 「なるほど、それで私の可愛い笑顔で落ちないわけか、薄々わかっていたけど、あなたハッキリ言っちゃうんだな」

 ルイスの顔は、ぶすっとしている。なんかふてぶてしい。


 「自分で可愛いとか、言うんですね、王女なのに」


 「あなたは、素の私と話したいってことなんだろ、女のメイクを剥がそうなんて、太々しい男だな」


 「今の王女さんの方が気持ち悪くなくて良いですね」


 「女の子に気持ち悪いとか、あなた最低だな、あと私が素になったのだから、あなたもなれよ、敬語になっているし」


 「いやいや、王女様に敬語使わないわけにいかないですよ」

 ルイスは、大げさに足を組んで、両手を広げた。


 「はっ……今更何言ってんだか、皆に土下座させて、あなた太々しいんだよ」


 「良いね、気持ち悪い状態で話すより、暴言吐かれていた方が、ずっと気分がいい」


 「で、あなた、修行する気、無いでしょ正直」 


 「いや、心の傷が癒えたらやるかもしれません」


 「言ってなかったけど、私も相手の感情が読めるから、あなたが、嘘ついているのわかるから」


 「へーそうなんだ、でも俺は無いとは言えないよ」


 「はぁ、自分の心まで、優しい王女になっていたのに、剥がしに来るなよな」

 ルイスは足を組み直して頭を抱えた。


 「お願いだから、魔王を倒すために一緒に戦って、お願いお願いお願いお願い」

 ルイスは渡を揺すって、連呼した。子供のようだ。

 

 渡は、ルイスの手を振り払い、ベッドの上で伸びをした。

 「心の傷が、癒えたらやるかもしれませんね、あと勝手に転送したこととか許したわけじゃないので、あんまり馴れ馴れしくしないでください」


 「家族と別れたのが悲しいのはわかる、だけどお願いします。力を貸して」

 ルイスは頭を下げた、金髪が耳にかかる。


 「あの、なんで家族と別れたのを悲しがってるのを強調するんだ、フレイにも言われたんだけど」


 「あなたの、でかい泣き声と、寝言が教えてくれた」


 「俺そんなでかい声で、泣いてたの?」

 

 「意識なかったんだ……すごい泣いてたよ」


 「死にたい」


 「私だっていきなり異世界で、一人だったら心が寂しいよ、きっと姉様も寂しかったんだろうな」


 「それは、悲しい話だな」


 「姉様は一人で頑張ってあなたを見つけたんだ、私はこのバトンを落とすわけには、いかない」


 「俺には関係ない話だ」


 「例えば明日、獣が奇襲をかけてきて、あなたは死んでしまいます、あなたは今日動きだせば助かります、あなたはどうしますか」


 「その条件なら、今日動き出すな、いやだけど」


 「じゃあ、今から修行しないと」


 「だけど、人類を滅ぼす可能性のある魔王が敵なんだろ、つまり強いわけだ、俺は負けたら今日死ぬわけだ、それなら明日まで自堕落に過ごした方が、良いじゃないか」


 「はぁ、頭は固い、心が読める、へそ曲がり、なんでこんな奴が勇者なんだ、もっと扱いやすい奴になら良かったのに」


 「ルイスは、なんで素を出そうと思ったんだ」


 「あなたは、感情と不一致な行動をすると、気持ち悪く感じるんでしょ、素直に話さないと、好感度が下がるばっかりだからだ」


 ルイスは髪を耳にかけて、

 「私も気持ち悪く感じるからね、その気持ちはわかるんだ、フレイは素直だろ。だから仲良くなれたわけだ」


 「別にそこまで仲良くなってないぞ、王女さんより、ましってだけだ」


 「王女様つかまえて、この言い草かよ 笑えるわ」

 ルイスは太ももをバシバシ叩いて笑う、下品だ。


 「言っとくけど、脅して従わせることも出来るんだぞ」

 鋭い目つきだ。


 「そうか、じゃあやれば良いじゃん」

 あえて煽ってみる。 


 「この狸やろうが、嘘だってわかっているから、言えるんだな」

 ルイスは目つきを緩めて、手を広げた、癖なのだろうか。


 「まあいいや、いくら言ってもダメな時は、だめだからな、飯食べようぜ」


 ルイスは立ち上がって、渡に手を差し出した。


 渡は手を掴まず自分でベッドから降りようとするが、ルイスは渡の手を無理やり掴んで、自分に引き寄せ頭を抱きしめた。



 「どうだ渡、女の体は柔らかいだろう、私はいつでも、あなたに抱かれてもいいんだぜ」

 

 なんかいい匂いがする、本能に直接訴える匂いだ。


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