ニートと勇者の剣の本質
フレイは一瞬で渡の所にたどり着く。
足が速すぎだろ、あの、太い太ももが原因だゲスね。
風呂場での出来事を渡は思い出していた。
「それは、面白そうね、見学するわ」
「渡君この木の棒に試し切りをすると良い」
「あの、期待とかしないでくださいね、素人なんで」
大きな声でバリトは笑ってから、
「初めは皆素人さ、最初から出来る人間がいたら、毎日修行している私たちの立つ瀬がないじゃないか」
「はぁ、わかりました」
剣を横に振りかぶる、地面に突き刺さっている藁付きの棒を剣で殴る
藁付きの棒は、地面の根元からへし折れた。
渡は驚きを隠せない。
手ごたえが全くない、素振りと同じ感覚だった。
フレイは、キッと渡を睨み付けた、何故だろうか。
ヤンキーだからだな。
「渡君、私の剣を殴ってくれないか」
バリトはそう言って、腰にある、剣を取り出した。
渡は言われるがままバリトの剣を殴った。
バリトの剣は折れた。
「ハハハすごいパワーだ、渡君の貧弱さではありえない」
そこ、俺を馬鹿にする必要ある?
「バリト、どういうことなの、説明して」
フレイは、つま先をカンカンして腕組みをした。
イラついている様子だ。
「フレイ、勇者の剣は私達には持てなかっただろう、あれは実際に重いから持てなかったんだ」
「あいつは、その重い剣を扱えると、はぁ、そういうことね」
「そう、フレイ渡君と戦うときは、剣で打ち合ったら必ず負ける、受け流すか、全て避ける必要がある」
「わかったわ」
フレイは、拳を握りしめている。
なんで俺と戦う予定で話を進めるんだ、仲間じゃないのか?
ひどくない。
「そういえば渡君、伝説によるとその剣は伸びるらしいぞ」
「マジですか、あっ本当だ」
渡の剣は天高く伸びあがった、伸びた瞬間が見えないほど速いスピードで。
すげー、めっちゃ伸びる、リーチの概念存在しない、強。
面白いなこの剣テンション上がってきた。
「渡君、その剣を人に向けて伸ばしてはいけない、伸ばした状態で振ってはいけない、その剣は魂の根源すらも絶ってしまう魔剣だからね、本当に気をつけて扱ってくれ」
魂の根源ってなんだよ、剣が危険なのはわかる、間違って人を殺しかねないから、気を付けないとな。
「はい、気を付けます」
「渡君、重さはどうなっているんだ」
「感じませんね、羽のように軽いです」
「フレイ、渡君の突きは、光のスピードで来ると思え、先端の延長線上に立ったら、負けだと思うんだ」
俺は君たちの敵なんだな、よくわかった、ならば戦争だ。
「わかった、初見では対応できなかったと思う、すごい剣ね」
フレイはキッと睨み、渡に言葉を投げる。
「あんた、剣が強いからって調子に乗るんじゃないわよ」
「別に調子に乗ってないけど、そうやって煽るのは、悔しさの裏返しかな? 、ほれほれ悔しいか、ほれほれ」
渡は小躍りしなが、ほれほれを、繰り返していた、剣の性能が思いのほか強くて、テンションが上がっていたせいもあるだろうか。
フレイの周りを小躍りしながら回る。
フレイの顔が赤くなる、プルプルと体を震えさせて、頭の血管が浮き出ていた。
それでも渡は、ほれほれ踊りをやめない。
フレイの体がブレた――
――顎先を掠める見事なストレート
「おぅぶぁ」
渡は、変な声をだした。
なんて自分に正直な女なんだろうと思いながら、渡は意識を失った。
バリトは終始笑い続けていた。
◇◇◆ ◇◇◆ ◇◇◆
知らない天井だ。
ベッドの上にいた。
ビンがたくさん並んでいる棚があり、医療器具らしきものが、置いてある。察するに治療室なのだろうか。
「渡様、目を覚ましましたか」
椅子に座っていた、ルイスがこちらを向いた。
セミロングほどの金髪、青い瞳、鼻筋は通っていて、たれ目で可愛い感じ。
壁にもたれかかっている、フレイもいる。フワフワの短い赤髪、吊り目で少しキツイ印象を、抱かせるが、こちらも美人である。
元ヤンキーって美人多いもんね。
「覚ましました、はい、俺はどのくらい寝てたかな」
「三十分ほどですよ、何か身体の以上は無いですか」
渡は、フレイの方を見てニヤッと笑い、
「痛いです、殴られた顎が、もう立ち直れません」
フレイは驚いた顔をして、
「はあ、あんたが悪いんでしょう、ムカつくわね」
ルイスは手を口に当ててくすくす笑い。
「ウフフフ、あっすいません、お二人は少し打ち解けたんですね」
「姫様、打ち解けたなんて私はこいつが、嫌いです」
フレイは、渡を指さして言った。
「嫌いだと言うことと、打ち解けていることは、話が別ですよフレイ」
「もういいです」
フレイはそっぽ向いて、部屋から出ようとした。
「フレイ待ちなさい、先に手を出したのはあなたでしょう、何か言うことがあるんじゃないですか」
「そいつと話すことなどありません」
フレイは、部屋を出て行った。
「すみません、渡様、フレイが暴力を振るってしまって」
姫様はぺこりと頭を下げた。
「まあ、俺も悪かったから、別にきにしてない」
「顎の方は、本当に大丈夫ですか、一応治癒魔導は、かけたのですが」
「大丈夫」
渡はルイスが、あまり好きになれない。
俺に対して無理に気を張って話してくるところが嫌なんだよな。
「渡様、フレイとはいつ、仲良くなったのですか?」
「別に仲良くなってない」
渡の言葉は冷たい。
「そうですか、心の整理はつきそうですか?」
「いやーまだ無理だね」
「そうですか、まだ転移して二日目ですもんね」
ルイスはニコッと笑った。
出たよ、貼り付けた笑みが、心と裏腹過ぎて、本当に気持ちが悪い。
「あの、王女さん」
「はい、何でも聞いてください」
「その、貼り付けた笑顔やめてくれません」
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