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オンラインなNPC~NPCの一人旅~  作者: 湯たんぽ
第一章 叛逆(殺傷愛)
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78.死亡

――姉様(キャトリン)視点――


「カッド!?いやぁ!死んじゃ駄目ぇ!」


 私のカッドを背中から貫いた魔術は、既に消えている。魔術師が騎士の投げた剣で死んだからだ。


「《魔術陣(マジックサークル)》、《治癒(ヒール)》、《治癒(ヒール)》、《治癒(ヒール)》ぅ!」


 すぐに治癒魔術を掛けないと、カッドが死んじゃう。

 脳裏にカッドの苦痛に耐えている笑顔と、その口が何か、言葉を発した姿が映った。ありがとう。カッドは確かにそう言った。

 絶対にカッドを死なせてはならない。

 私の命に代えてでも、カッドだけは生き残す。


(なあ姐さん)、|グギャグギャ《早く移動した方がいいぜ》」

「うるさい!カッドが死んじゃうでしょ!」


 ゴブリンがくだらないことを言ってたけれど、今はそれどころじゃない。


「ねえ、さまっ」


 カッドが喋った!

 死なせない。カッドは死なせない。

 《治癒(ヒール)》を続けながら話をする。

 『神聖属性』魔術を取っておけば良かった。


「カッド!どうしたの!?」

「私、は……もう、ゴホッ……ひぅっ、もう、駄目、です」

「そんなこと言わないで!私がカッドを助けるから!」


 カッドの口の端から血が滴れる。

 私がそう言うと、カッドは微かに笑みを浮かべ、すぐに苦しげな表情になった。


「よ、良いんです。私の、事は。私の……私の頭を、持って。森に、いるはず……『統率者』、渡してくだ、さい」

「何言ってるの!諦めないで!私が治すから!」


 カッドの心がもう負けてる。

 どうにかして生きようと思わせないと。


「生きて、カッド。一緒におば様を探そ?私と一緒に、おば様を探しに行こ?」

「ふふっ、ゴホッゴホゴホ……それは、とても、良い、良い夢、ですね」


 眼から涙が溢れ、視界が滲む。


「夢じゃないよ!私と一緒に、おば様を探しに行くの!おば様を見つけたら、三人で仲良く暮らすの!」

「ね、えさま」


 カッドは微かに首を振った。


「それは、ねえ、さまが、ひぅっ……私の代わり、に、かあ、さまを……」

「駄目!カッドがいないとおば様も悲しむわ!」

「……私は、ねえさまに、ねえさまにすくわれ、ました」

「私がっ!私が何度でもカッドを救うから!今も、これからも!」


 涙が滴り落ち、カッドの胸に空いた穴から流れ出た血と混じる。


「ねえさま……いき、て」

「カッドがいないと、生きる意味なんてないよ!」

「幸せに、なってください」


 カッドの目が私の後ろを見ている。


「ねえさま?」

「何?」

「ここに、いますか?」

「いるよ、私はちゃんとここにいるよ!」

「良かった。死ぬって、怖い……」


 カッドの胸に空いた穴を埋めていた血の中から、コポリと気泡が浮かび上がった。


「いやぁ!死んじゃいやぁ!カッド!死んじゃいやぁ!」


 カッドの体に縋り付く。

 そこから魂が抜けてしまわないように、そこから温もりが失われてしまわないように。


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