74.真実
騎士コッケルがおずおずと手を上げながら告白しました。
「詳しく説明して頂けますか?」
「はい。使ったのは破神系伍の太刀、『破神散滅』です」
「破神系!?神が現れたとでも言うのですか!?」
確か破神系の技は神、破竜系の技は竜などと、用途が決まっており、それら対応するものが敵でないと使用出来なかったはずです。
「はい。昔、帝国との戦争で、敵の邪悪な召喚術士が召喚した者共のうちの一体です」
「邪悪……」
相手の事情も知らずにそうと決めつけるのはいかがなものでしょうか。
「それで、その神とやらが現れて、破神系を使った結果、街の防壁まで道が出来た、と」
「……申し訳ありません」
「いえ、責めている訳ではありませんよ」
見方を変えれば、これはかなり使えます。
「どちらの壁が消し飛んだのですか?」
「西方です」
「……そうですか」
頭領の言葉に、思わず笑みが浮かんでしまいます。これは大変都合が良いですね。
「では、北門まですぐに向かいますよ。貴重な情報、ありがとうございました」
「は、はあ。大変恐縮です」
私はそのまま頭領を置いて、再び四人で駆け出しました。
「あ、ケイデン様、待って。待ってください」
無視して進みます。
「……若さま?」
「分かっているでしょう。今、彼らに構っている暇はありません」
「……はい」
騎士コッケルが口を閉ざします。
おそらく、無法者とはいえ他人を利用するだけ利用するような真似は彼の流儀に反したのでしょうが、今はそんな贅沢を言っていられません。
他人に構っている暇は無く、自分たちに今できる最善手を探るだけです。
「カッド、どうするの?」
「北門から抜けます。西方はおそらく一番警備が手厚いと思われますから」
「何で?」
「これでも老師とは十年ほど一緒にいたのです。多少の考えくらい分かりますよ」
「ふぅん」
姉様は少し眉を顰めました。
疑っているのでしょうか。
「おそらくそうですよ」
「そうって?」
「老師は私の予想通りに西方を固めるでしょうという話です」
「……それは分かったわよ!」
姉様は少し機嫌を損ねたように見受けられますが、何故でしょうか。
「あの、姉様?」
「……何?」
「何故、怒っているのですか?」
何故でしょう。騎士コッケルとゴブリンの方が私を英雄か愚か者でも見るような目で見てきます。
「怒ってない!」
「そうですか」
怒っているように見えましたが、姉様がそう言うのならばそうなのでしょう。
より不機嫌そうになった姉様を連れて路地を駆け抜けます。
「ケイデン様、待って~」
一度後ろの方から情けない叫び声が聞こえましたが、無視して進みました。




