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オンラインなNPC~NPCの一人旅~  作者: 湯たんぽ
第一章 叛逆(殺傷愛)
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6.初対面の頭領、一方的な恩人


「こちらです」


 左の門番さんの後ろからやってきた方の案内で、頭領さんの部屋へと向かいます。

 失礼だとわかってはいるのですが、どうしても周りを見渡してしまいます。


「……これは酷いですね」

「どうかいたしましたか?」

「いえ、何でもないです」


 とんだ見掛け倒しです。

 豪奢な外見とは打って変わって、調度品など一切無い内面。

 これでファミリーやっていけるのでしょうか。


「ボス、お客人をお連れいたしました」

「入っていただけ」

「失礼します」


 中から声がし、案内人さんが扉を開けてくれました。

 部屋の中は執務室のようでした。

 しかし、やはり調度品の類いは一切無く、質素というか、貧乏です。


「頭領さん、初めまして」

「これはケイデン様、よくぞいらっしゃってくれました」


 頭領さんは頬に大きな傷を持った、海賊のような方でした。

 彼は私をご存じのようですが……この違和感は何でしょうか。

 絶対に何かが食い違っています。話が噛み合っていません。


「人払いをお願いできますか?」

「わかりました。……おい、全員出て行け」


 念の為『看破』を発動します。

 油断して寝首をかかれるよりも、信用しないで性格が悪いとののしられる方がマシです。


「ありがとうございます。この話は、私とあなた以外、誰にも聞かれてはならないのです」

「そうですか。ならばもう安全ですよ。オレが人払いをさせましたから」


 嘘は……吐ついていないようですね。


「では、単刀直入にお聞きいたします。あなたは私を知っているようですね。誰に聞きましたか?」

「え?……誰って、ケイデン様がオレを助けてくれたのでしょう?」

「何の話ですか?」

「……忘れてしまったのですか?」

「……詳しく教えてください」

「わかりました。ええと、二月ほど前の話でしょうか。私が独立をしようとしていた時、ケイデン様の使者を名乗る騎士様がやって参りました」

「その騎士の特徴は覚えていますか?」

「……はい。右の眉に傷跡が走っていました」


 嘘はありませんね。

 ……右の眉に傷跡ですか。騎士団内にはそのような者はいなかったはずですが。


「それは騎士ではありません」

「なっ!?では、何者なのですか?」

「さあ?大方、誰かに雇われた傭兵でしょう」


 心当たりはあります。


「おそらく、私を潰すために、あなたを利用しようとしたのではないでしょうか」


 推測を彼に話すと、彼は憤りました。


「なんて事を……!じゃあ、あの傭兵が言っていたことは全て嘘だったんですね?」

「ええ。私を潰すために仕込まれたことだと思われます」


 ここで一気に取引を持ちかけてみましょう。


「シュヒレト・ファミリーの頭領さん。あなた、ジーニ・ファミリーの頭領、クラウスを倒してみませんか?」


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