67.ようやくレベルアップ
私はいい加減レベルを上げておきたかったので、自分でトドメを刺すことにしました。
「《氷の剣》」
短剣程度の大きさの《氷の剣》を逆手に持ち、騎士擬きへと近づいていきます。
当然、アレクセイへの警戒も忘れません。
「私を愚弄した罪を抱いて、先に地獄で待っていてください」
騎士擬きの頭を踏みつけ、手に持っている武器を首に突き刺します。
裂けた皮膚から鮮血が舞い、私の手を血で汚しました。
「……汚いですね」
氷の短剣を抜くと、勢いよく首から血が舞い、私の体を汚していきます。
「……」
ゴブリンの方は何時の間に離れていたのか、事なきを得ていました。
氷の短剣はそのままアレクセイに投擲します。
《必要経験値を満たしました。レベルが一つ上がります》
おや、漸くですか。
騎士擬きを糧にして、漸くレベルが上がりました。ステータスの確認と新スキルの獲得は後でやっておきましょう。
《カルマ値が下降しました》
カルマ値なんてどうでも良いものです。上がろうが下がろうが、特に意味は……まあ有りますが、そこまで大きな……ま、まあ、今はどうでも良いことです。
「団長。彼は騎士を名乗っていました。アレクセイから正式に叙任されたそうです」
「それは真ですか!?」
「ええ。団長、あなたは彼についてアレクセイから何か相談を受けていましたか?」
「いえ、何も」
「でしょうね」
私はアレクセイの行動が頭にきていたので殺そうとしているのですが、団長自身にも看過出来ない余罪を一つ明らかにします。
「さらに言えばこの騎士擬きは私の名を無断で使い、この街の裏組織と接触していたのです」
「なっ!」
「騎士としてあるまじき、この街の秩序を乱す行為だと思いませんか?」
「それは……」
後一押しですかね。
過去に何があったのかは知りませんし、興味もありませんが、団長は騎士というものに一種の憧れを抱いていますから。自信がそれを他人に押しつけられる立場にあるのが質が悪いのですけれど。
「この騎士擬きは元々暗殺を生業としていたようなのですよ。どういった経緯でアレクセイと知り合い、騎士を名乗るようになったのかは知りませんが」
「それは!」
「ステータスを見ればだいたいどういった人物なのか察しがつきます。『不意打ち』『隠密』Lv.20』、『演技』『変声』『偽装』も共にLv.20、『闇属性』魔術に『暗黒属性』魔術という謎の魔術までLv.20。そのほかにも『竹篦返し』とか言う面白いスキルも持っていましたね。勿論Lv.20で」
「それは……見過ごせませんね」
「本来ならばあなたが対処すべきものですよ」
「……若さま」
「何でしょうか?」
「申し訳ありませんが、それとこれとは話が別です」
「それは残念ですね」
流石に無理でしたか。
心情的には味方になってくれたと思うのですが、職務的に味方とは成り得ませんでしたか。
団長含めこの街の最高戦力である彼ら騎士団と魔術師団も『統率者』の方との戦いで疲労しているはず。
それでも彼らを敵に回そうとは思いませんけどね。
「団長。少し、通して頂けませんか?私は貴方達を敵に回そうとは考えていませんので」
「私たちの責務は街の治安を守ることです。若さま。その意味をわかっておいでですか?」
「その上で言っているのですが」
「そうですか。では、それが通らないこともおわかりでしょう?」
やはり、無理でしたか。
「仕方がありませんね。……ゴブリンの方、動けますよね?」
「グギ」
「では、行きましょう」
こうなれば、敵中突破です。




