63.水蒸気爆弾
「今のを防ぎきるとは思わなかったぜぇ。成長したじゃねぇか、私生児」
「それはどうもありがとうございます。あなたは成長せずに、しばらく前から停滞しているのではないでしょうか」
「そんなことはねぇよ」
「そうですかね」
正直どうでもいいですが。この時間稼ぎにつきあう義理もありませんし、今度はこちらから行かせて貰いますか。
「あなた、治安保持部隊の切り札って知ってます?」
脅威度をAと判定した者にのみ使う切り札。
「いや、知らねぇな」
足下に《水たまり》を作り、《氷の矢》を投下します。
レベルは上がりませんでしたが、『氷雪属性』魔術のスキルレベルが上がったので。《氷の矢》が使えるようになりました。
「そうですか。そういった勉強もしておいた方が良いと思いますよ」
氷の一歩手前まで温度の下がった水を使って《水泡・弾》を作ります。
「領主にはそういった知識も必要でしょうから」
「はぁ?必要ねぇだろ」
短剣を順手に持ち替え、アレクセイへと切っ先を向けます。
高速で《水泡・弾》を飛ばし、直後に《火炎・弾》を飛ばします。『狙い撃ち』スキルを最大限に活用し、アレクセイの目の前で《水泡・弾》を押しつぶします。
直後、爆発。
「水蒸気爆弾と言うものです。治安保持体の切り札の水素爆弾は再現不可能でしたので、模倣して作りました」
いつか再現出来ると良いのですが、水素を作り出せないのですよね。本当に、どうやっているのでしょうか。
「私の得意技ですよ」
水蒸気爆弾がではありません。模倣が、です。この前、妙なスキルも獲得してしまいましたしね。
立ちこめる煙と閃光の中、満天のMP回復ポーションを飲み干しながら、アレクセイのいた場所へと魔術を飛ばします。
「《火炎・弾》、《鎌鼬》、《土の塔》」
火と風刃を押しのけて、石の床を突き破って土の尖塔が天高く聳えます。
その尖塔に弾かれるように人が一人宙を舞いました。
「あれはアレクセイですね。ちゃんといましたか」
取り敢えず追い打ちを掛けます。
「多数展開《土の弾丸》、一斉掃射」
丸い土の球がアレクセイへと飛びかかり、彼の体を貫きます。
ですが、まだまだ終わりませんよ。
「《風の爆発》、爆発、合成魔術《飛電》《水の弾丸》」
雷電魔術がスキルレベル2になって習得した《飛電》で、《水の弾丸》を加速させ、さらに体内にまで侵入するそれを帯電させ、内側からも外側からも感電させるという合成魔術です。いずれ、一つの魔術に纏めてみたいですね。確か合成魔術ならばSP1で出来たと思いますし。レベルが10くらいになったらやってみますか。
「まだですよ。《魔術効果範囲拡大化:《炎の絨毯》》」
アレクセイの落下予測地点一帯に《炎の絨毯》を敷きます。
水蒸気爆弾とか本当にできたら面白いですよね。




