52.称号スキル
「やったか!」
遠くから誰かの声が聞こえてくる。
馬鹿め。
このような攻撃ではまだまだ死なぬぞ。
背中で砕け散った住居の残骸を掴み、声のして来た方へ投擲する。
「ぐわぁっ!」
「なっ!大丈夫か!」
上手く当たったようだ。
「そ、総員警戒!敵はまだ生きているぞ!」
その分警戒されてしまったが。
流石にこの体で戦うのはキツいな。ここらが潮時か。元々我が目的は異世界からの戦闘狂共と戦うことで、この街を滅ぼすことでは無いからな。
「舐めるなよ、人間共」
が、やられっぱなしというのは性に合わんからな。
「――ッ!膨大ナ魔力ヲ感知!直チニ避難シテクダサイ!防御隊形ニ移行シマス!」
全力の『王の覇気』を解放。小僧はこれに顔色一つ変えずに耐えきったが、果たしてこれに耐えられた人間が如何ほどいるか。
「我が力を篤と目に焼き付け、畏れ、崇めよ」
目の前に圧縮され、可視化された魔力の渦が現れる。
称号スキルという物がある。
異世界の勇者が『光の勇者』という称号と共に一つ所持していたが、我も『キング』の称号と共に『王の覇気』、『ロード』の称号と共に『正当なる王』、計二つ所持している。
我には詳しいことはわからないのだが、小僧も自覚が無いだけで称号スキルを所持しているのではないだろうか。なんだったか忘れたが、何か珍しい称号を持っていたし、『呪術』なんていう、とんでもなく珍しいスキルを所持していたのだし。
スキルレベルの存在しないスキルであり、特別な称号を持っていれば獲得出来る、特異なスキルだ。たった一つだけの強力な能力がある。
例えば、我が配下の死霊召喚術を極めたセントールの持つ称号スキルに『ネクロノミコン』という物がある。この称号は『邪神召喚者Ⅲ』であり、能力は魔力全てと経験値を消費し、それに応じた強さの怪物を呼び出すスキルだ。我より弱く、到底神と呼べないが、消費した経験値分よりかは強く、効率の良いスキルだ。さらにこのスキルで召喚した怪物が取得した経験値は全て召喚者の物となるので、召喚前よりも召喚後の方がレベルが高いなんていうこともよくある。
「我が求めに応じ、馳せ参じよ」
煙の中に現れた幻想的な翡翠色の門から、呼応するように魔力が高まりが感じられる。
使ったのは『正当なる王』。
能力は配下へと通ずる門の発現。対価は全魔力の半分。効果時間は一分。
「出でよ、蟻人」
「はっ!」
力強い返事と共に、二十ほどの蟻人共が現れる。見た目は人だが、力は蟻だ。といっても、人化を獲得した蟻人なのだが。
「撤退するぞ。追撃を仕掛けられぬように、特に機械兵共は徹底して滅ぼすのだ」
「はっ!」
一際大きい、隊長蟻が部隊をまとめ、突撃準備をする。
霧が晴れると、そこには意識のない人間共と、魔術によってか強固なバリケードを築き上げた機械兵共が残っていた。




