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オンラインなNPC~NPCの一人旅~  作者: 湯たんぽ
第一章 叛逆(殺傷愛)
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2.弟

前半は弟出てきませんが…まあ、いいですよね!

一話短いし(言い訳)

 騎士達との模擬戦が一周しました。

 次はやはり団長でしょうか。


「若さま、魔術の方はどうですか?」

「どう、とは?」


 そう思っていると、団長が声をかけてきました。

 彼は、私の父親のような人です。


「剣術だけでなく、魔術も鍛錬が必要ですよ」

「そうですね。では、剣術の鍛錬はこれで終わりにして、魔術の方に移っておきます」

「はい。それがよろしいかと」

「それではこれで失礼します」

「はい、若さま、お気を付けて」


 私は訓練所を後にしました。

 人は生まれた時から持っている10のSPを使って、魔術や武術などのスキルを習得します。

 スキルはそれだけでなく、調薬や鍛冶などの生産から料理など一般まで、幅広く使い道があります。

 他にも使い道がないとされるマイナー系などがあります。

 有名(?)なマイナー系だと、『歩行』スキルでしょうか。

 転びにくくなるというスキルですが、実はこれ、私も持ってます。

 他にも様々なスキルがありますが、たいていの基礎と呼ばれるスキルは1SPで取得できます。もしくは、その型を鮮明に思い描きながら百回以上同じ型を行えば良いのです。


 後者の方法では基礎のスキルしか取得できませんが、SPを消費しないため、私のように、様々なスキルを覚えたい場合などには重宝します。

 しかし魔術のスキルは、まず最初に魔術のスキルを取得しないと魔術が使えないので、どうしてもSPを消費せざるを得なくなってしまうのです。

 私は六属性の魔術のスキルを全て取得した後、剣術のスキルは必死に素振りをして覚えました。


 SPはレベルアップすれば手に入るのですが、レベルアップするためには生き物を殺さないとならないため、未だに生き物を殺したことのない私はSPが枯渇状態です。

 レベルアップするためには経験値なるものが必要で、沢山の生き物を殺し、沢山レベルアップを経験した、いわゆる高レベルなモンスターを倒せばより多くの経験値がもらえるのだとか。

 別にモンスターでなくとも良いと思うのですが。

 沢山生き物を殺しているのは人間も同じですからねぇ。

 『高レベル』な人間に取り入り、十分信用を得てから、寝込みを襲うなどすれば、一気にレベルアップが出来るのではないでしょうか。

 ……まあ、しませんけど。


 と、そうこうしている内に着いてしまいましたね。


 コンコンコンコン。


「失礼します」


 魔術研究所。

 剣と言ったら訓練場、魔術と言ったら研究所という、謎の理論によって曾御祖父(そうおじい)様が設計された建物です。


「入りなさい」


 中から微かに聞こえていた声が消え、嗄れた声が答えました。

 扉を開けると、父様の書斎の二倍くらいの大きさの場所に、机やポーション瓶など、様々な物が置いてあります。

 奥には転移魔方陣があり、誰でも魔術練習用の荒野に行けるつくりになっています。


「お?兄さん?どうした?ついに性転換の魔術でも開発する気になったか?」

「いたのですか」


 思わず呟いた言葉は、自分でも底冷えがするほど冷え切っていました。


「あ、俺が作ってやろうか?それとも、切り落としてやろうか?」


 しかし弟は、そんなことなど知らんとばかりに、私を挑発してきました。

 おそらくこれで私が手を出せば、父様に言って私を屋敷から追い払おうとするのでしょう。


「……はぁ」

「どうしたぁ?そんな女々しく溜め息を吐いちゃって」


 マッケンジー老師は、私の方を不憫そうな目で見ます。

 全く。口喧嘩で私に勝とうなど、私も舐められたものです。


「いえ、私も男ですからね。少し女心というものを理解してみようと思いまして。町から拐かしてきた女に手を出すような外道や、そんな勇気もなく週三回も娼館へ通っている小悪党にはなりたくありませんしね」

「なっ!?」


 弟は今までになかった突然の私の反撃に、顔を真っ赤にして目を白黒させていました。


「あ、ところでアレクセイ、こないだ町を歩いていると、ある女性に声をかけられましてね、アレクセイ様は昨日うちに来ませんでしたけど、どうしているか知っていますか?と聞かれたのですが、何か心当たりはありませんか?その女性は娼婦でしたよ?」

「に、いさん?いいのか?俺にそんなことを言っても」


 そこで私は不思議そうに首を傾げて見せます。


「はて?何のことでしょうか。私はあなたに自分の志と、こないだ娼婦に言われたことを話しただけですし、何かおかしな事を言ったでしょうか?」


 ピクピクとアレクセイの頬が引き攣っています。

 その後ろでマッケンジー老師が顔を真っ青にしているのがおもしろいですね。


「ぃさま……ぇかけばぁの分際で」


 おや、何か言っていますね。

 怒り故か、もしくは理性で押さえ込んでいるのか、声が小さくなっていますが、何を言っているのかは十分わかります。

 貴様、妾腹の分際で、ですね。

 気分が悪くなりました。今日の魔術の訓練はやめにしましょう。

 毎朝と寝る前にしていますしね。


 ……自分で言い訳をしていてさらに嫌な気分になりました。

 というか、誰に言い訳をしているのでしょうか……。


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