28.おしまい
しかし弓の弦に当たったものの、今度は威力が足りなかったのか、弦が切れるようなことはありませんでした。
「もう良いです。こんな遊び方はつまらないですしね」
「何をする気だ」
「そろそろ終わりにしようかと思いまして。こちらにも先約というものがあるのですよ」
「何のことだ?」
「さて、では、行きますよ。全力で防御していてくださいね」
短剣を手の中で一回転させ、順手で持ちます。
「《氷の剣》」
氷のナイフを左手で逆手に持ち、前傾姿勢をとります。
「ハッ」
「くっ!」
頸へ向かって突きを放つと、私の動きを予測していたのか、剣を縦にして頸を防いできました。私は右手を戻し、左手のナイフで手首を切り裂きます。
「……」
「ぐっ!」
氷は思ったよりも切れ味が悪かったようで、手首を落とすまでにはいたりませんでした。
傷つけた手首に向かって蹴りを放ち、剣先が揺らいだところを頸に向けて氷のナイフを投擲します。
「がほっ」
剣に気を付けながら体当たりをして押し倒し、中途半端に頸に刺さっている氷を踏みつけながら飛んできた矢を落とします。
今更当たるとでも思っているのでしょうか?
「……」
「チッ」
諦めたのか、弓使いの方は舌打ちをしてから弓を下げます。
「それでは、さようなら」
「くそっ『一矢報いる』」
私が一足で距離を詰めて首を刎ねると、彼女の弓が独りでに動き、私へと照準を向けました。
「なんなんですか、一体」
私の問いに答えるものはなく、ただ矢が私に向かって放たれました。
「ああ、なるほど。一矢報いる、ですか」
私は飛んでくる矢を見ながらそう呟き……矢を叩き落としました。
「まあ、弱すぎですけど」
さて、『統率者』の方と取引の続きをせねばなりませんね。




