27.軽くあしらう
後ろに下がることが難しくなったリーダーの方へ、反撃させる暇をなくすために攻め立てます。
「くそっ」
「少しは遊びましょうよ」
こんなに楽しいのですから。
「『速射』!」
自己中心的な弓使いの方が、弓術のスキルを発動させます。
彼ら渡り人の方々がこちらの世界へ渡ってこられたのは昨日なので、一日で弓術スキルを得たことになります。弓術特化のスキル構成なのか、渡り人の方々は特別なのか、もしくは彼らが特別なのか。おそらくこの三つの中のどれかでしょう。
最初のが一番あり得そうですが、ひょっとしたら二番目の、渡り人の方々は全員このような成長速度なのかもしれません。それだと恐ろしいですね。
そんなことを考えながらも、跳んでくる何本もの矢を避け続けます。リーダーの方を盾にしたり、やむを得ない時は短剣でたたき落としたり。
「そんな物ですか?もう少し何かあるのかと思っていましたが……」
「くっ!舐めるな!必殺!」
おや、何かあるようですね。素直に受ける義理もありませんが、必殺技というなら受けてあげても……。
「それはともかく、必ず殺すなら頸にナイフを叩き込むのが一番だと思いますけどね」
「黙れ!すぐにその減らず口を叩けないようにしてやる!食らえ!《闇へ落とす一撃》」
《闇へ落とす一撃》、ですか。聞いたことのない名前ですが……。この技を創った方のネーミングセンスを疑いますね。
彼の持っている剣へと、どこからか現れた闇の玉が収束していき、剣を闇で覆っていきます。
剣が完全に闇で覆われると、彼は大振りに構えました。胴ががら空きですね。ここに短剣を刺すのも一興ですが、おそらく弓使いの方の妨害も入るでしょうし、渡り人の方の必殺技とやらも見てみたいですし、ここは様子見としておきましょうか。
「ハアアアァァァァ」
「まあ、避けますけどね」
リーダーの方の気合いに合わせて、剣の闇が膨れあがり、間合いの外にいた私を飲み込もうとします。
横に跳んで一直線の剣閃から逃れます。
「え?これだけですか?」
「ふっ。おまえはもう、死んでいる」
「はあ、そうですか」
「リーダー、その人、ネタ通じてないみたいだよ」
「う、うるせぇ!《爆発》」
「おおっと」
これは意表を突かれました。黒い剣閃が突如として爆発したのです。
しかし、この必殺技(笑)の威力が弱かったのと、私がとっさに横へ跳んだのとで爆発には巻き込まれませんでしたが。
「おや、今のが必殺技ですか?どうやら私は未だに死んではいないようですが……。ああ、今の技は必殺技ではなく、その前準備だったとか、そういう落ちでしょうか」
「こ、こいつぅ……」
「り、リーダー、しっかり。落ち着いて」
さて、もっともっと煽っていきましょうか。彼に敗北感を味わわせ、私に手を出すのは割に合わないとでも渡り人の方の間で広めてくれれば良いのですが。
「大丈夫ですよ。ちゃんと必殺技(笑)は受けてあげますから。速く撃ってきてください」
「く、くぅ」
「あーもう、うざい!『連射』!」
どうやら先に忍耐を切らしたのは弓使いの方のようです。先程のように『速射』を連続発動させた方が良いような気がしますが……。MP的な問題でしょうか。興味ありませんけど。そんなことより、この人煽り耐性低すぎませんか?
『連射』を全て右の短剣と左の拳で叩き落とした後、さらにそのことで煽っていきます。
「おや、今のは何ですか?矢の無駄遣いはするものではありませんよ。私が返してあげましょう」
左手で向きを揃えて集めた矢を一本、ダーツのように構えます。
そして弓使いの彼女の弦を狙って投げますが……。HANが低いため、中々当たりません。しかし矢は沢山あります。
《HANが5上がりました。スキル『狙い撃ち』を獲得しました》
十五個目にしてようやく当たりました。




