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オンラインなNPC~NPCの一人旅~  作者: 湯たんぽ
第一章 叛逆(殺傷愛)
13/135

12.ゴブリン1´


――あるプレーヤー(リョウスケ)視点――


 失敗した。


「お疲れ様です。改善点はいくつかありますが、その前にまずは魔石を取り出しましょう」

「あ、ああ。そうだね」


 なんとか返事をしながらも、顔から血の気が引いていくのを感じている。


「魔石ってどうやって取り出すんだい?」

「知らないんですか?」


 彼女、いや、彼はとても不思議そうな顔をした。

 おそらく彼にはこんなにグロい景色など見えていないのだろう。

 この世界で生きているNPCと同じ景色を見ようと、全ての描写をリアル準拠にしたのが運の尽き。今日は寝られないかもしれない。

 まだ手に残っている、肉を、骨を切った感触。


「この心臓の横に付いている、輝いている鉱石が魔石です。錬金術ではよく使いますね」


 それ以外は知りませんけど、と言いながらも彼は手を止めない。


「ほら、あなたは頭を叩きつぶしてしまったので、脳漿が飛び散っているでしょう?こういう汚い殺し方をしていると、装備がすぐに駄目になりますよ?」

「わ、わかった。次から気を付ける」


 ひょっとして、彼にも同じ景色が見ているのだろうか。

 そうだとしたら、彼はとても異常だ。

 ただでさえ高いPS(プレイヤースキル)。それに加えて、生き物を殺しても何も思わず、冷静に殺し方を分析している。


「魔石を突いても殺せますが、これは最終手段ですね。魔物などの生物において、最も高く売れる部位が魔石ですから」

「そうなのか」


 そもそもどうして彼はそういうことを知っているのだろうか。

 今日はゲーム開始日のはずだ。僕と会った時はゲーム開始すぐだった。それなのにかなりの金額を持っていたようだし、魔物の特徴も熟知している。

 そこまで考えた時、一つの可能性に思い当たった。


「ひょっとして、君はβテストプレイヤーなのか?」

「そうですけど、何か?」


 彼は少しも表情を動かすことなく答えた。


「ああ、そうか。道理で――」

「あ!逃げますよ!」


 彼は急に僕の手を引っ張っていった。

 こんなことを言えば彼に殺されそうだが、外見はどう見ても美少女なので、不意打ちには緊張してしまう。


「何があったんだ?」

「ゴブリンです」


 ゴブリン?さっき簡単に殺していたじゃないか。


「ゴブリンなら――」

「無理です。出来るだけああいった手合いとは戦いたくありません」

「ああいった手合いってなんだよ!訳わかんねぇよ!」


 彼は真面目な顔でいった。


「あのゴブリンの戦闘力は、騎士団長級です」


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