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オンラインなNPC~NPCの一人旅~  作者: 湯たんぽ
第一章 叛逆(殺傷愛)
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9.開始日朝2

 徐々に白い光が収まって、目を開けられるようになった。

 目の前には大きな建物があった。入れと言うことだろうか。

 中に入ってみた。

 いわゆる冒険者ギルドと言うところだろうか。中央には机があり、その奥には綺麗な女性がいた。受付嬢という奴だろう。

 受付嬢と仲良くしておくに超したことは無いと考えた僕は、微笑みながら受付に行った。


「初めまして、渡り人の方。そしてようこそセントラルへ。ここは冒険者ギルド、シュタイン伯爵領領都、ツインクラウン支部です」


 当たってた。

 少しの喜びと共に質問をする。


「初めまして。リョウスケと申します。冒険者ギルドとはなんですか?」

「冒険者に対して、資格を授与剥奪、仕事を斡旋など出来るところです。いわば、冒険者の集合体ですね」

「なるほど。では、冒険者とはなんですか?」

「主にモンスターを倒したり、人を助けたりすることで依頼を達成する人のことです。冒険者の資格を持っていると、それだけで身分証明になるので便利ですよ?」

「へえ。デメリットは無いんですか?」

「……デメリットですか?うーん。依頼が未達完了の時は、報酬が半分になることくらいでしょうか。基本的にやめるやめないは自由ですし……」

「未達完了とはなんですか?」

「未だ依頼された分には届かないけど、もう十分だというような時に、それを依頼達成と扱うことが出来るんです」

「へえ。では、冒険者にさせてください」

「はい!では、こちらに手をかざしてください」


 駅の改札のICタッチのようなものを差し出された。


「こうですか?」

「はい、よろしいですよ。……HP、MPは平均ですか。おや、筋力が高いですね。後は、魔力と器用が低く、防御力が高いくらいですか。どうします?これだと、クラスは剣士見習いしか適任なものがありませんが……」

「すいません、クラスってなんですか?」

「あ、申し訳ありません、説明がまだでしたね。クラスとは、職業のことです。たとえば鍛冶師だったり、調合師だったり。普通は皆さん、村人が初期クラスなのですが……渡り人の方々は、どういうわけか初期クラスがないのです。クラスの変更は、神殿でも出来ますよ」

「そうですか。それじゃあ、剣士見習いでお願いします」

「はい、わかりました。……登録完了いたしました。後ほど、ステータス画面にてご確認ください」

「じゃあさっそく、丁度いい依頼を斡旋してくださいませんか?」


 冒険者カードなるものを受け取った僕は、レベルを上げるために依頼を斡旋して貰おうとする。

 仲間を集めてレベル上げ。なんと心躍る展開だろう。それと共に人助けも出来るなら素晴らしい。


「それではこちらの、はぐれゴブリン退治などどうでしょう」

「はぐれゴブリンですか?」

「はい。このツインクラウンの西から北にかけては、魔の森と言われる魔物住む森が広がっています。そこで生存競争に敗れたゴブリンが、はぐれゴブリンとなって彷徨っているのです。放置するといずれ町に攻め込んでくるので、こうして常時依頼という形で討伐を推奨しているのです」

「そんなことが……。わかりました。はぐれゴブリン退治に行ってきます」

「あ、その前に、仲間を募集してみてはいかがですか?」


 そうだった。


――男の娘(ケイデン)君視点に戻る――


 神殿にて、クラスを『私生児』から『短剣使い』に変更した私は、意気揚々と冒険者ギルドへ足を運びました。

 本日冒険者ギルドでは、渡り人の方以外は冒険者登録が出来ないらしいのですが、それならば渡り人のフリをすれば良いだけです。

 冒険者ギルドの扉を開け、すぐに渡り人の方だと思わしき人を『鑑定』しました。

 すると、『称号』の欄に『渡り人』というのがあります。

 『偽造』スキルでステータスを弄り、堂々と歩きました。


《『模倣』スキルを習得しました》


 おや、何かスキルを取得したようです。

 おそらく渡り人の方はほとんどここでクラス選択を済ませるはずです。


「冒険者登録をお願いします」

「はい、渡り人の方ですね?説明は必要ですか?」

「いえ、不要です」


 素晴らしい笑顔の受付のお姉さんの頬が少し引き攣りました。


「では、こちらに手をかざしてください」


 差し出された板に手をかざすと、受付のお姉さんが冒険者カードを渡してくださいました。


「おや、クラスがありますね」

「神殿へ行ったらクラス選択をさせてくれたので、先に済ませてきてしまいました」


 嘘は言っていません。本当のことも言っていませんけど。


「クラスは短剣使いですね」

「はい。ありがとうございました」


 お姉さんの手から冒険者カードを受け取り、併設されている酒場まで行きます。冒険の前に、まずは朝食を済ませましょう。


「そこのお嬢さん、ちょっといいですか?」


 酒場で朝食を待っていると、渡り人の方が声をかけてきました。


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