なろうテンプレは【否定】するものではなく【極める】べきものである
「小説家になろう」というサイトを利用しているユーザーの皆さんの中には「なろうテンプレ」という言葉を聞いたことのある人も多いのではないかと思う。
いわゆるなろうテンプレとは、「異世界」「転生・転移」「チート」「ハーレム」などの要素が含まれている作品群がそれにあたるだろう。
本来ならばもっと詳しく定義付けするほうがいいのかもしれないが、ここでは割愛する。
なんとなく、テンプレと聞いて各自がイメージできるものでおおよそ間違いではないからだ。
さて、そんななろうテンプレだが小説家になろうを見るに、非常に人気であるのは明らかだろう。
ランキングには常になろうテンプレに含まれるであろう作品が多数を占めていて、テンプレでないものを探すのが困難な現状があるからだ。
そのためか、何年も前から増えすぎたなろうテンプレを批判する意見も多い。
これは、小説家になろう内で人気を得るためにはテンプレ要素が必要であり、安易なテンプレ利用によってつまらない・面白くないと感じる作品が多く目に留まるようになってきたからであると思う。
そこで、エッセイカテゴリーなどでもよく問題提起されることがある。
テンプレにこだわらなくても面白い作品がある・作れるのではないかといった内容などだ。
だが、ここで少し落ち着いて考えてみる必要がある。
それは「なろうテンプレとは悪いものなのか」ということである。
異世界や転生転移、チート、ハーレムといった要素を含まない作品を書くべきなのだろうか。
結論から言うと、そうではない。
むしろ、積極的に書いていくべきだろう。
というのも、今も昔もなろう内で人気があるのはテンプレ作品が多いからだ。
このことは、小説家になろうを何かの店に例えるのが一番わかり易いだろう。
小説家になろうというサイトをラーメン屋だと考えてみよう。
このラーメン屋の一番人気のメニューはこってり濃厚のドロドロスープが売りのラーメンだ。
客(読者)の多くは、その濃厚なラーメンを求めて来店してくる。
そんなラーメン屋で、薄味のラーメンを出そうとしても客の注文が少ないのは当然のことだ。
さらに、そもそもラーメンですらない料理を出したとすれば、ほとんど注文もされないことは何ら不思議ではない。
上記の例では濃厚ラーメンこそが小説家になろう内でのスタンダードであり、客が求めるもので、なろうテンプレと呼ばれるものだ。
対して、薄味ラーメンや違う種類の料理といったものが、テンプレ要素を含まない作品群となる。
たとえどれだけ高級な料理を出したところで、濃厚ラーメンを食べるために店に来た客のニーズには合わないということを意味する。
昔からなろうテンプレに人気があるということは、読者の求めるものがそのテンプレ作品であるという事にほかならない。
であるから、非なろうテンプレ作品を書くのであれば人気がでない場合も仕方がないものだと考えたほうがいいだろう。
作品がいい・悪いという話の前にニーズにあっていないのだから。
で、話は少し戻る。
なろうテンプレと呼ばれる作品が批判にさらされているからと言って、非テンプレ作品を書くべきかというとそれは違うという話だ。
客である読者は明らかにテンプレ作品を求めてサイトにやってくるのだ。
であるのに、なろうテンプレ作品を否定してもあまり意味はない。
むしろ、積極的に書くべきなのだ。
だが、注意すべき点がある。
それは、テンプレ要素が含まれる作品であればなんでもいい、というわけではないということだ。
読者が求めるものはテンプレ要素のある作品ではあるが、あくまでも「面白い作品」だからだ。
単に異世界やチートといった要素が入っていればそれでいいということにはならない。
つまり、小説家になろうに投稿される作品とは他の作品にはないくらい「面白い」テンプレ作品か、「特徴のある」テンプレ作品ということになる。
なろうテンプレを否定してはならない。
むしろ、なろうテンプレを極めた作品が待ち望まれているということだ。
私も一読者として、そんな作品が投稿されるのを期待している。