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恋をした相手は、同級生のAV監督でした。  作者: 香坂 蓮
偏屈小僧に天使は微笑む
30/38

3-6 誰がために、君は戦う

 主人公、頑張れ!


 では、どうぞ!

 十二月も第四週に入った。

 

 今年のカレンダーはクリスマスイブが土曜日に来るため、この一週間はお祭りのような雰囲気が流れている。また学生にとっては今週一週間が終われば冬休みに突入することもあり、本来ならば二重の意味で気分の弾む一週間となるはずであった。


「笑麻……大丈夫?」


 一日の授業を終えての帰り道。重い灰色の空の下を笑麻と綾香が歩いていた。


 答えの分かっているこの質問を、もう何度投げかけたことだろうか。

 

「ありがとう綾ちゃん。大丈夫だよ」


 校内で直接的に笑麻を傷つけるようなことを言ってくる生徒はいない。むしろ、普段から仲良くしている女子生徒達が心配の声をかけてくれている。

 

 しかし、その心配した表情の裏で、家に帰れば笑麻を誹謗している人間がいるかもしれない。そうでなくても、校内には間違いなく笑麻に悪意を持った人間がいるのだと思うと、気分は晴れなかった。


「あと一日頑張れば冬休みだから!」


 努めて明るく言う笑麻。


 今日は十二月二十二日。翌日は祝日なのだが、冬休みに振り替えるという形で終業式が予定されていた。

夏休みと比べれば短い休みではあるが、今は少しでも学校に行かない時間がありがたい。


「冬休みの間に、落ち着くといいな」


 綾香がポツリと言う。


 今週に入っても、未だ悠斗は学校に来れていない。


 悠斗に関するニュースは、AVの強要事件と合わせて変わらず毎日のように報道されている。幸いにも悠斗の情報をこれ以上暴露する人間は現れていないが、毎日様々な角度からの報道がなされることに、笑麻も綾香も神経をすり減らしていた。


「あっ……ちょっと待って!」


 不意に笑麻が立ち止まり、ポケットからスマホを取り出す。画面が目に入ると同時に、笑麻は叫んでいた。


「悠斗君!」


 笑麻の写真がネット上に上がった日、悠斗は謝罪の電話を掛けてきた。


 必死に取り繕った笑麻であったが、落ち込んでいることは簡単に見抜かれ何度も何度も謝られた。


『出来る限りなんとかするから』


 その言葉を最後に、笑麻は悠斗と連絡を取っていない。悠斗が辛いであろう時に、自分がさらなる負担になってしまったという罪悪感が、笑麻の心を委縮させていた。


 震える手で、スマホを通話状態にする。聞き慣れた、それでいて懐かしさを感じてしまう声が耳に届いた。


『今、大丈夫?』


 その声を聞いた瞬間、溢れ出そうになった涙を必死でこらえる。下校中なので、電話をして問題ない旨を伝えると、悠斗はいきなり本題に入った。 


『これから記者会見をしてくる。ちゃんと説明して、君にも迷惑が掛からなくなるようにするつもりだから』


 あまりに突然なその言葉に笑麻は目を白黒とさせる。その間も悠斗は、いつもより少し早い口調で説明を続けた。


『これでも取り繕うのは上手い方だから。なんとかしてくるよ』


 それじゃあ、と電話を切ろうとする悠斗。

 

 それを止めた笑麻の言葉は、頭で考えて出たものではなかった。


「悠斗君!」


『……!?』


「ちゃんと、自分の本心を言わなきゃダメだよ!心からの声じゃないと……悠斗君の思いは伝わらないよ!」


 正直に言うと、笑麻はまだ状況を良く把握出来ていない。


 ただ、悠斗の声が何かを誤魔化そうとしているように感じられたのだ。そんな、悠斗らしくない声では、誰かに何かを伝えることなど出来ないだろう。

 

 笑麻の脳裏に、悠斗との思い出がよぎる。

 

 出会った時から一貫した、人を寄せ付けない態度。


 しかし今ならば分かる。


 結局のところ悠斗は、自らが作ったその結界の中に、それでも足を踏み入れてくれる人を待っているだけなのだ。だからこそ踏み込んでくれた人を邪険には出来ない。


 簡単には人を信じられず、それでも誰かに愛されたい。そのために人を拒絶してしまう天邪鬼な性格。偏屈で面倒くさい、笑麻の愛する人。

 

「悠斗君は……演技が下手なんだから」


 少し微笑みながら笑麻は言う。


『……うるさいよ』


 通話口から聞こえた悠斗の声は、笑麻が知るいつもの悠斗の声であった。

 

 笑麻の頬にエクボが浮かぶ。


「頑張ってきて!悠斗君!」


 一緒に戦うことは出来ないが、心は寄り添っている。


 それを悠斗も感じてくれている。


 笑麻は不思議と確信していた。


 ハラハラと舞いだした雪の中、空を見上げる笑麻。灰色の空が白く染まったように見えた。



 電話を切り、一つ息を吐く悠斗。まるで自らを圧迫するかのように感じられていた無機質な控室が、今は不思議と広く感じられた。


(ほんと……勘がいいよね)


 思わず苦笑いが浮かぶ。


 笑麻に電話をした理由、それは自分に対する言い訳でもあった。


 悠斗はこれから、今回の騒動について自ら記者の前に立ち、その思いを語る。自分を、笑麻を、そしてAV業界を守るために、彼は言葉を取り繕おうとしていた。


 しかし、心の中のもう一人の自分が大きな声をあげる。


――誤魔化して……逃げていいのか?


 別に逃げているわけではない。


 理性が反論した。ただ、これ以上騒動を大きくしないための、大人の対応というやつだ。


 しかし、いくら自身にそう言い聞かせても心の中の靄は晴れない。


 だから笑麻に宣言することで、自分を縛ろうとしたのだ。そしてその思惑は、本質の部分において笑麻に見破られてしまった。


(心からの声……か)


 悠斗には覚えがあった。


 つい数日前、翔太が電話で笑麻がネット上にあげられていることを教えてくれた時のこと。


『笑麻ちゃんを……守ってやれよ。大事な人が辛い時、身体を張って守ってやってくれよ』


 翔太のその言葉は、悠斗の心に大きく響いた。


 それは、翔太が自身の心の傷を抉りながら発した言葉だ。自分にとって大事な人である優衣が一番辛かった時に、何もすることが出来なかった自身の罪への懺悔だ。


 翔太からの喝は、確かに悠斗の背中を押した。


 ならば自分の心からの声も、誰かの背中を押すかもしれない。

 

 刻々と時計の針が時間を刻む。まもなく、記者会見が行われる時刻だ。

 

 悠斗は静かに、その腰を椅子から上げる。

 

 部屋の隅でこちらを心配そうに見ていた香織が、悠斗に近づいて肩にそっと手を置き、そして離れた。傍らには信二の姿もある。


 ふと、鏡の中の自分の姿が目に入った。そこに映るのは、見慣れた自分の制服姿。いつもと違うのは、この日のために切りそろえた前髪くらいか。


 そして悠斗は幻視する。


 いつの間にか、隣にあることが当たり前になった太陽のような笑顔を。


(頑張るさ……当たり前でしょ)


 一瞬、顔が緩む。


 すぐに顔を引き締めると、悠斗は扉へと向かった。


 戦いに向かう男の顔に、少しの照れ隠しを忍ばせながら。


………

……


 広い会議室のような場所には、大量の報道陣が集まっていた。


 まばゆいほどの照明に照らされながら、悠斗は用意されていたテーブルの横に立つ。真っ白な布がかけられたそのテーブルの上には、何本あるか数えきれないほどのマイクが置かれている。


 視線を真っすぐ前へと向ける。


 目の前では、全てのカメラがこちらへと向けられている。それはまるで銃口をこちらにむけた軍隊のようであった。


「本日はお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。また、連日、世間の皆さまをお騒がせしてしまい、誠に申し訳ありません」


 悠斗は深々と頭を下げる。


 焚かれる無数のフラッシュ。下を向いているにも関わらず、目の前を稲妻が走っているかのようだ。

悠斗は、自身の額に汗が浮かぶのを感じた。


「僕に関して様々の報道がされています。また、インターネット上でも多くの噂が流れています。その中には本当のもの、間違ったものの両方があります。なので、ここでしっかりと自分の口から説明させていただき、皆様のご理解を得られればと考えています」


 事前に信二らと用意していたセリフは頭の中から飛んでいた。


(そういえば、セリフの趣旨は合ってるけど、微妙に言葉が違うっていう女優……多いなぁ)


 そんな場違いな記憶が心をよぎる。


 一度言葉を切った悠斗は目を閉じ、心の中で笑った。


(セリフを間違えても、いい作品は出来る)


「まず、僕がAVの制作に関わっていたか、という点に関してですが、事前に僕の父である『古谷ジロー』がご説明しましたように、あくまでも趣味の範囲のものであります」


 その言葉にざわつく会場。悠斗の言葉を誰も信じていないのは明らかであった。


 その雰囲気になぜか少し落ち着く悠斗。


 静かに、自身がAV業界に携わることになった経緯を語り始める。

 

「中学生の頃です。僕は母親がAV女優をやっていたということを、友人から教えられました。強いショックを受けたことを今でも覚えています」


 一番の親友に憎しみを向けられ、周りから友人が全ていなくなったあの日のことを悠斗は思い出す。これから先、自分は一人ぼっちで生きていかなければいけないのではないかと錯覚したあの日のことを。


「その日から、両親と何度も話し合いました。両親の過去について。AV業界について。このまま何も知らないままでは、両親のことを憎んでしまいそうで怖かったんです。だから……僕はAVについて知ろうと思いました」


 まごうことなき本音だ。


 いや、一瞬ではあるが悠斗は両親を憎んでいたのかもしれない。そこから立ち直れたことは、一つ、悠斗の自信となっている。


「あるAV女優の方にも、会わせていただきました。とてもキャリアのある素晴らしい女優さんです。その方から、第三者から見た両親の姿を教えてもらいました。また、AVという仕事に対する、彼女の誇りのようなものを聞かせてもらいました」


 悠斗に現場を見学させてくれた女優のこと。


 彼女の言葉は勿論のこと、現場での彼女の在り方が悠斗に大きな影響を与えた。さすがに現場を見学したことまでは言えないが。


「そして僕は……決断しました」


 会場から音が消える。まるでそれは一人舞台のようであった。


 ここから先、悠斗は自身の言葉で喋る。事前に用意したものではない、彼の心の声を届けるために。


「自分は、人生をAV制作に賭けるんだと。この仕事で生きていくと心に決めたんです。だから、まだ中学生でしたが、両親に働かせてほしいと頼みこみました」


 どよめく会場。それは、悠斗が仕事としてAV制作に携わっているとも受け取れかねない発言であった。

再びのフラッシュの波が悠斗を飲み込もうとする。


「勿論、両親は僕を止めました。まだ早すぎると」


 それは二つの意味の言葉である。


 一つは、AVに携わるにはまだ早すぎるという意味。


 そしてもう一つは、まだ人生の全てを決めるには早すぎるという意味。


「何度も何度も、頼みこみました。自分の意思は揺るがないんだと。人生を賭ける、その覚悟をしたんだと」


 白布を巻き込んで握りしめられていた拳が、ゆっくりと解ける。


 自身に向けられた無数の銃口は、もはや悠斗をひるませるものではなかった。


「そして……両親は折れてくれました。保護者として、そしてAV業界の先輩として。出来る限り協力をしてくれると、約束してくれたんです」


 今も控室で、心配しているだろう両親の姿を思い浮かべる。


 きっとこの会見が終われば、勝手な事を言って心配をかけたことを怒られるだろう。そして怒りながらも、自分を守り、支えてくれるはずだ。 


 そこにあるのは両親への絶対の信頼と、大きな感謝である。


「とはいえ、当然ですが仕事としてAVに携わることは出来ません。年齢的にどう頑張ってもそれは無理です。だから、あくまでも趣味として、僕はAVの台本を作っているのです。今の僕に許されているのは……人生を賭けた、趣味を楽しむことなんです」


 今回の騒動に際して、周りの大人が自分を守ろうと必死に動いてくれたのを見て、悠斗は改めて思い知らされた。自分の仕事が、周囲の人間が無理をすることによって支えられているということを。


 だから自分の仕事が「趣味だ」と言われても受け入れられたし、趣味だからと責任を放棄する気にもならなかった。


 そこに確かに、誇りがあるのだから。


「僕は幸せ者です。好きなように好きなものを作る。これ以上ないワガママを聞いて貰っているんです」


 悠斗は笑う。


 その笑顔に嘘は一つもなかった。



 悠斗による説明が終わった後は、記者による質疑応答が行われていた。当初は、悠斗が高校生ということもあり少し遠慮の見える質問から始まっていたが、悠斗のしっかりとした返答に、徐々に記者達は確信を突くような質問をぶつけ始めていた。


――そもそも、未成年である田島君が、名前と顔を出して記者会見をしていること自体、異常であると感じるのですが。ご両親が説明責任を放棄しているとは感じませんか。


『既にインターネットで調べれば、僕の顔と名前はすぐに出てきます。だったら、自分自身の言葉で説明した方が、世間の皆さまに誤解なく真実を伝えられるのではないかと考え、このような場を設けさせていただきました』


 苛立つ様子すら見せず、はきはきとした応答を繰り返す悠斗。その姿を、笑麻は画面を通して見守っていた。


「悠斗くん……」


 場所は綾香の部屋。先ほど合流した翔太も含めて、三人は固唾を呑んで記者会見の様子を見守っている。


 インターネットの普及により、以前ならばテレビで編集されたものしか観られなかったであろう悠斗の記者会見は、最初から最後まで生中継されていたのだ。


――先日、AVへの出演を強要された、という女性のニュースが報道されました。田島君も、ご両親からAVの現場に携わることを強要された、ということはありませんか?


 スピーカーから聞こえて来た女性記者の声に、三人は怒りに震えた。


 それはあまりに悠斗の覚悟を馬鹿にしているものであり、同時に、悠斗に対して最大限の配慮をしてきた信二と香織を侮辱する質問であった。


『少なくとも、僕はAVに携わることを強要されたということはありません』


 短く答える悠斗。女性記者は追撃を仕掛ける。


――AV強要の被害を訴える方には『洗脳された』とおっしゃる方もいます。田島君に自覚がなくとも、たとえばAVに興味を持つように誘導された、ということはありませんか?


 その質問に悠斗は目を閉じ、少し黙り込む。


 カメラのフラッシュ音が、まるで夏の夜の蚊のようにパソコンから聞こえてくる。


『両親は、僕がそのことを偶然に知ってしまうまで、自分達がAVに携わっていることを一切明かしませんでした。僕が事実を知ってからも、AVに携わることを勧められたことは一度もありません。なので、洗脳ということは無いと思います』


 一つ息を吸うと、悠斗は少し声のボリュームを上げた。


『まだ子供が、と思われるかもしれませんが、僕なりに人生について悩み抜いて出した答えです。なので、それを自分の意思ではないと思われるのは、非常に悔しいです』


 悠斗のその答えをもって、女性記者の質問は終了した。


 その後も何人かの記者が、悠斗が無理にAV業界に携わることになったのではないか、という観点からの質問をぶつける。悠斗は、その全てを冷静に否定した。


 とあるテレビ局のアナウンサーが、番組名と共に質問を投げかける。


――田島君は、今回AVへの出演強要を訴えた女性に会ったことがある、という情報があるのですが、これは事実ですか?


 その問いに、悠斗は事実である旨を伝える。


――実際にその女性に会った印象として、AVを強要されているという風に感じましたか?


 またしてもデリケートな質問であった。


 悠斗は言葉を選びつつ、自分が感じたことを素直に言おうと心掛ける。


『僕には全く分かりませんでした。僕の目には、彼女はとてもプロ意識の高い女優さんだと映りました。もし強要が事実であるならば、とても申し訳なく思います』


――では、その女性が嘘を言っていると思いますか?


『嘘であって欲しいという思いと、嘘であって欲しくないという思いの両方があります』


――それはどういう意味でしょう?


『AV業界に強要などあって欲しくない。だから、彼女の証言が嘘であってほしい。ですが、彼女が有りもしない強要を訴えるなんていう哀しい嘘をついているとは思いたくない。だから彼女の証言が嘘であって欲しくない、ということです』


 その言葉を聞いた笑麻は、悠斗らしい言葉だと少し表情を緩めた。


 結局のところ悠斗は優しい人間なのだ。自分のことだけを考えるのならば、証言を嘘だと断じ、強要など無いと言ったほうがが良いに決まっているのだから。


 もう二度と傷つきたくないと自分の殻に閉じこもり、他人を寄せ付けないようにしてきても、その根っこにある優しさは変わらなかったのだろう。


 そして今、傷つくことを覚悟で悠斗は戦っている。優しさを忘れないまま、悠斗は心の殻を開いたのだ。

悠斗は語り続ける。


 その勇姿を一瞬たりとも見逃さないよう、笑麻は画面を注視していた。


『僕のような若輩者が言うのもおこがましいですが、AV業界には女優を守るシステムが必要だと思います。それが第三者によるものなのか、それとも労働組合のようなものなのかは分かりませんが、確立されたシステムが必要なんだと思います』


 信二と話してから、自分なりにずっと考えていたことを悠斗は話し始める。


 ある意味これはチャンスなのだ。AV業界に大きな注目が集まっている今だからこそ、より良い業界を作るための一石を投じられるかもしれない。


『どんな世界にも、悪いことをたくらむ人間は出てきてしまいます。そしてこの業界で、そんな人間に喰い物にされるのは女優なんです。苦しむ女性が迷わず逃げ込むことが出来るような、明確なシステムが必要なんです』


 同時に、と悠斗は続ける。


 その頬は、まるで朱を注いだかのように赤い。


『そのシステムは、誇りを持って仕事をしている大多数の女優をも守れると思うんです。一部の……女優を喰い物にするクズのために、「AV女優は、みんな無理矢理仕事をやらされている」と思われることこそが、女優にとって最も悔しいことだから』


 そこで息が続かなくなり、悠斗はテーブルに置かれた水を口に含む。


『だからこそ、この場をお借りしてAV業界で働く方々に呼びかけたいと思います。この業界をもっと良くするための新しいシステムを、みんなで作っていきましょう』

 

 真っすぐ前を見て、静かに語る悠斗。カメラが複数あるため、その視線は少しずれて映っている。


 しかし、この会見をネットを通じて観ていた多くの人達は、悠斗が真っすぐ自分達を見て話しているように感じられたのだった。


………

……


 その後もしばらく質疑応答が続き、一通り、その場に集まった記者達の質問は出尽くした。


 記者会見もそろそろ終了かという雰囲気が流れ始めた頃、悠斗はおもむろに手を挙げると、自ら語り始める。


『最後に一つだけ、僕からよろしいですか?』


 その言葉に、記者達一同は再び悠斗に注目を集める。パソコンを通して観ている笑麻達もまた、一心に悠斗を見つめた。


『僕の友人である、高校の同級生についてのお願いです』


 綾香と翔太が、それぞれ笑麻を見つめる。


 二人に届くのではないかと言うほどに、笑麻の鼓動は高鳴っていた。


『インターネット上に、僕の恋人だという触れ込みでその友人の写真が載せられています。もちろん本人の許諾はありません。また、心無い誹謗中傷も多数書き込まれています』


 悠斗の表情が歪む。


 滅多に表情を変えない悠斗のその姿に、笑麻達は悠斗の内心を思い知る。悠斗にとってなにより辛かったのは、そして戦う決意をさせたのは、笑麻への攻撃だったのだ。


『僕は……高校生でありながらAV業界に携わった。いくら趣味という形であるとはいえ、それは批判を受けて然るべきだと思います。しかし彼女は何も関係ない!ただ、僕と仲良くしてくれていただけなんです。なによりっ!』


 そこで悠斗は言葉を止める。


 一瞬の葛藤の後、悠斗はついに告白する。目を反らし続けた、自分の本心を。


『なにより……僕は彼女が傷つく姿を見たくない。だからお願いします。僕のことは、いくら好き勝手に書いてくれても構いません。ただ……彼女を巻き込むことだけは、どうか止めてください』


 深々と、カメラに向かって頭を下げる悠斗。


 ゆうに一分はそのままでいただろうか。頭を上げた悠斗は、まるで世界に溶けていくかのような声で告白した。


『彼女は……僕の大事な人なんです』


 その声が、笑麻の心の中に消える。


 言葉では形容出来ない、それでいて心地よい感情が、清泉のように心からあふれ出した。 


「そういうことは……直接、顔を見て言ってよ」


 涙がエクボの横を伝った。


 いかがでしたでしょうか?


 作者としては、「悠斗、頑張ってくれたな」という思いであります。


 大切な人のために踏ん張る。


 そんな男でありたいと思います。


 さて、今日の後書きのコーナーです。


 今作を書くにあたって、多くのAV女優さんのtwitterを拝見しました。


 twitterは、本当に個性が出ますね。その女優さんがどういう方なのか、その一端を見せて貰えている気がします。


 というわけで、『香坂蓮の、twitterが面白いAV女優紹介』のコーナー!(パフパフ)

 

 失礼ながら、敬称略でお送りさせていただきます。

 

 ① さとう愛理 & 星空もあ


 互いを、「愛理氏」、「もあ氏」と呼び合う仲良しの二人。なんだかいつも一緒にいる気がします。


 そして、もあ氏がいつも愛理氏の部屋を片付けています。


 愛理氏……もあ氏がいないとごみ屋敷まっしぐらだね(´・ω・`)w


 つい先日も、二人でUSJを満喫したらしい二人。


 二人とも、アニメが大好きということなので、仲良しオタク美女コンビが見たい方は、フォロー必至です。


② かなで自由


 「自由」とかいて「みゆ」と読む。かわいらしいルックスなのに、スタイル抜群な、かなで自由さんです。


 彼女のtwitterは、普段からノリが良くて楽しいものなのですが、特にオススメすべきコーナーがあるのです。


 それが……


 『おやすみゅうみゅう動画』です。


 めちゃくちゃ可愛いです。


 主観目線で、まるで彼女のようなセリフを言ってくれるみゅうちゃん。


 ほんと……漫画のような萌えセリフを言ってくれます。


 フォロワーさんからのリクエストにも応えてくれるので、萌えに飢えた日常を送っている方、必見です!


 さて、今日はここまで。


 他にもtwitterが面白い女優さんはいっぱいいらっしゃいますので、需要があるか、どうしても紹介したくなったらまた、紹介したいと思います。


 それでは、次話もお付き合いください。


 香坂蓮でしたー。


~参照リンク~


① さとう愛理さん

 http://twitter.com/satou_airi?lang=ja


  星空もあさん

 http://twitter.com/Hoshizora_moa?lang=ja


② かなで自由さん

 http://twitter.com/miyu_kanade/media

 

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