1-2 謝罪もお礼も必要ないから。
悠斗の偏屈っぷりが現れます。
では、どうぞ!
県立桜木高等学校。関東某所にあるこの高校は『普通の高校』である。近年話題になるような「公立ながら東大合格者○○人」といった進学校でなければ、甲子園に出場するようなスポーツ高校というわけでもない。ただし郊外に位置することから自然豊かであり、また近年校舎を全面リフォームし、設備が充実していることもあって近隣の中学生からは一定の人気を集めていた。
そんな桜木高校の朝の廊下をまるで何か決戦にでも挑むような顔をして宮本綾香は歩いていた。周りから見れば不機嫌そうな顔をしているにも関わらず彼女に対する挨拶の声は途切れない。綾香は桜木高校の中ではかなり名の知れた存在なのである。
165cmと長身で手足が長いモデル体型。顔はきれいな卵型をしており、意志の強そうな大きな瞳と通った鼻筋がバランスよく配置されている。ショートボブな髪型は彼女のスポーティーな印象を際立たせるものであるが、表情によっては美しいうなじと相まって強烈な色気を発する。間違いなく校内でトップを争うレベルの美人であり、街を歩けばスカウトが放っておかない。入学当初から宮本綾香の名は同学年のみならず学校中に轟いたのである。
それほどまでの美人であればなかなか緊張して話しかけにくいものであるが、綾香に声をかけるものの中には明らかに人とコミュニケーションをとることを不得手としているタイプの生徒も多く存在する。これは綾香が竹を割ったような性格をしており、誰とでも分け隔てなく接する人間であることを明白に表している。
現に、それまではクラスに馴染めなかったが、綾香を通して友人が出来たという生徒が学年に何人もいるのである。これが男受けを狙った点数稼ぎであったならば同姓からは嫌われるのであろうが、表裏がなく男女問わず言うべきことははっきりという彼女は同姓からも好ましく思われる存在であった。
そんな綾香が獲物を狙うかのような鋭い瞳で見つめる人物こそ、今日も今日とて教室の隅の自分の席で文庫本に集中した様子を見せる田島悠斗であった。
田島悠斗とはどんな人間か、仮にクラスメートにそう尋ねた場合、返ってくる答えは「変な人」だろう。常に教室内では一人で、話しかけるなというオーラが漂わせている。コミュニケーションをとることが苦手と言うよりは誰とも話したくないという意思を全面に押し出してくるその様子に、当初は気を遣って話しかけた者達もすぐにいなくなった。
かくゆう綾香も悠斗に声をかけたうちの一人である。高校一年生の頃、綾香と悠斗は席が隣になった。当初は出来る限り親しくなれるよう話かけた綾香であったが、彼の対応からあまり話かけて欲しくないのだろうと感じ、適度な距離感を保つよう心掛けるようになった。
そんな両者の関係が決定的に崩れたのは綾香が教科書を忘れてしまったある日のことだった。授業が始まる直前になってそのことに気付いた綾香は、仕方なく悠斗に教科書を見せてくれないか頼んだのだった。
「勝手に見なよ」
そんな言葉と共に自分の机の上に投げ置かれた教科書が、距離感を保とうとする綾香の配慮を崩した。
「そんな言い方しなくてもいいじゃない!だいたい私が教科書を忘れてるのに私が一人であんたの教科書を見るのはおかしいでしょ!?」
聞きようによっては逆切れにも聞こえるような言い方で綾香は悠斗に迫る。
「近寄られるのがうっとうしいんだよね。別に僕は教科書なんて見なくても授業についていけるし問題ないよ。っていうかどっちにしろ君は教科書を見れるんだから文句を言われる筋合いが無いんだけど?」
「……あっそ!どうもありがとっ!!」
なんて嫌な奴だ!
ムカムカした気持ちを抱えながら綾香はその授業に臨んだ。無駄にきれいな教科書に腹が立ち、教科書がなくても平気な顔をして教師からの質問にすらすらと答える悠斗にまた腹が立つ。せっかく嫌な思いをして教科書を借りたにも関わらず、授業の内容は全く頭に入らなかった。そしてその日を境に綾香は悠斗と口をきかなくなった。
さて、このような対応ばかりしていればイジメの標的になりそうなものだが、不思議とそうはならなかった。背が低くぽっちゃり、そんな体型にも関わらず何故か悠斗からは妙な威圧感が感じられたのだ。
『なんとなくヤバそう』という雰囲気が、悠斗を触れてはいけない「変な人」の座に押し上げたのかもしれない。結果として悠斗は誰からもいじめられることなく、かつ誰からもほとんど話しかけられることのない高校生活を送ってきたのであった。
※
「ちょっといい!?」
朝のざわつく教室を切り裂くように、綾香は悠斗の座る教室の端へと直行した。綾香はそのハキハキとした性格ゆえに気が強いと受け取られることも多いが、一方でむやみに機嫌の悪さを表にだすようなことは滅多にない。そんな綾香を怒らせたと思われる悠斗に対し『一体あいつは何をやらかしたんだ?』という視線が集まる。
「……なに?」
そんな周囲の視線などまるで無視し、悠斗は読んでいた文庫本から面倒くさそうに視線を上げる。その態度に綾香のまなじりがさらにつりあがるのを見て、教室の緊張はさらに高まる。
「昨日は悪かったわね……笑麻を助けてくれたのにひどいことを言って」
繰り返しになるが綾香は悠斗のことが大嫌いである。そんな相手であっても自分に非があると感じれば筋を通して頭を下げることが出来るのは、彼女の美点と言えるだろう。自分が嫌いな相手の場合、非を認めたくないのが人情というものである。
「別にいいよ。あの状況なら勘違いをしても仕方ないだろうしね」
それだけ言うと悠斗は再び文庫本に目を戻す。話すことはもう無いと言わんばかりのその態度に、綾香は負けじと食らいつく。
「それでも話も聞かずにあの言い方はなかったわ。本当にごめんなさい」
頭を下げる綾香に対し、悠斗は目線を上げることなく手を払う。その仕草にやっぱりこいつは大嫌いだと綾香は再認識させられた。沸々とこみあげてくる気持ちをなんとか抑え綾香は言葉を続ける。
「この後笑麻がお礼を言いにくると思うけど、あまり厳しいことは言わないであげてね」
悠斗は小さくため息をつき再び文庫本から目を上げた。
「君はあの子の保護者か何かなの?過保護が行き過ぎて滑稽なんだけど」
綾香の心の中を見ることが出来たならば、その瞬間なんらかの糸が切れたことが確認出来たであろう。我慢の限界というやつである。
「あのさぁ!あんたもうちょっと言い方を考えられないわけ!?そりゃあ今回のことは全面的に私が悪いけど、だとしてももう少し思いやりのある言い方をしてくれてもいいじゃない!だいたい昨日のことだって助けた相手にキツイこと言って頭を下げさせるって本末転倒じゃない!そんなんだからあんたは……」
「あやちゃん!!」
火山が噴火するかのような綾香の怒声は、新たな鋭い声によってかき消された。その声に教室は静まり返り、声の主を確認した者は一様に目を見張る。
声の主である小松笑麻という女の子が大声を出すということは、それほどまでに珍しく意外なことであった。
「昨日言ったよね!?田島君は私のことを助けてくれただけだって!」
「いや……それは分かってるんだけど……」
「分かってるんだったらなんでそんなに喧嘩腰なの!?」
滅多に怒らない人ほど、怒ると怖いものである。
親友である笑麻の心からの怒りの声に、綾香は何も言うことが出来なかった。
「田島君には昨日も嫌な思いをさせちゃったんだよ!?それにキツイことを言ったのも私のことを思ってくれてのことだったの!なのになんてこと言うの!」
あまりの迫力に、笑麻よりも10cm近く背が高いはずの綾香が小さく見える。口の中で小さく謝る綾香を後目に、笑麻はいまだ文庫本から目を上げることのない悠斗へと話しかけた。
「田島悠斗君だよね?昨日は本当にありがとうございました。まさか同じ学校の人だとは思わなくて。あとせっかく助けてくれたのに嫌な思いを……」
「二つ、君に言いたいことがあるんだけど」
文庫本から目を上げた悠斗は、鋭い目を恵麻へとむけた。
「一つ目、お礼の言葉なら昨日聞いた。だからわざわざもう一度言いに来る必要はない」
「そうだね。でも昨日は十分にお礼を言えなか……」
「二つ目、朝からこんな大騒ぎを起こされて非常に迷惑なの。申し訳ない気持ちが本当にあるんだったら僕のことは放っといてくれない?」
見事に言いたいことを潰された形になった笑麻は思わず口ごもる。そんな笑麻に対し悠斗はさらなる追撃をかける。
「もう一つ追加で三つ目があった。もうそろそろHRが始まるから自分の教室に戻ったら?」
そこまで言うと悠斗は再び文庫本に目を戻した。もはや話すことは無いということなのだろう。
悠斗のその対応と迫るホームルームの時間に、笑麻は自分の教室へと撤退するのであった。
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それでは、今日はここまで。
次話もお付き合いください。
香坂蓮でしたー。
~参考リンク~
①月島ななこさん http://twitter.com/eririka2012
②かさいあみさん http://twitter.com/andu072?lang=ja
③南梨央奈さん http://twitter.com/mina_rio?lang=ja
8/27 訂正
阿部乃みくさんのお名前を、間違えて表記しておりました。お詫びして訂正いたします。申し訳ありませんでした。