3.異世界生活十一日目
四話目。
短いです。
異世界生活十一日目。
まだ森からは出ずに、ちょっとずつ獲物を大きくしながらお肉を狩っています。
熊まで狩れるようになったので、そろそろゴブリンいっとくぅ? って話になって今からゴブリンを招くことになりました。
あ、熊の手って本当に美味しいんですね。
あと兎、鳥、鹿、猪、熊と毎日一匹ずつですが、狩っていたのでお肉が余っています。
もったいないので時空間属性の魔力を作って「四次元ほにゃらら」を作ったらアーテルに呆れられてしまいました。
『教えといてなんだけど、ほんと規格外。あり得ないわ』とのこと。
……最近彼女のジト目にも愛を感じるようになって本格的に落ちてます、私。
もうキスも七番目まで奪われてしまいました。
どうせチョロいアラサー、略してチョロサーだよ!
さて、ゴブリン狩りですが強さ的には五匹で若い雄熊一頭ととんとんと言ったところ。
つまり私の敵ではありません。
今回の目的は人型を殺せるか否かの確認なのです。
まあ、さくっとできちゃったんだけどね!
いやー、魔物ってバグって言うだけあって切り口とかなんかポリってるんだよね。
血も出ないし、感触も発泡スチロールっぽくて全然余裕でした。
今回は直にヤレるか? って確認もあったから斬属性の魔力を刀状にして近接したり、硬属性の魔力パワースーツ作って殴ってみたりしたけど大丈夫でした。
逆に自分なんだかなぁと落ち込んでしまったので、アーテルによしよしされてしまいました。
『魔物って君の世界のゲームみたいでしょ? 死体も残らないし、正常化されたアイテムを落とすしね。こっちの世界の人も殺される恐怖はあっても殺す恐怖はないんだよ。だから大丈夫。コノハは普通だよ』
実体化した見た目女子高生の中身女神によしよしされてぎゅーってされて、おまけにちゅーってされて浮上する私、マジチョロサー。
チョロい、チョロすぎる。
でもそんな自分が嫌いじゃない、くやびく。
まあ、冗談は頭の中だけにしといて。
この辺りはゴブリン程度の強さの魔物しかいないし、問題なく倒せたからそろそろ出発しようかって話になった。
とりあえず進路は北へ真っ直ぐらしい。
『実体化していない私はパスを繋いだコノハにしか見えないから、注意してね』
「りょーかい」
『逆に実体化しちゃったら万人に見られちゃうからね、気をつけてね』
「あいあいさー」
『……ちゃんと聞いてる?』
「聞いてる聞いてる」
いくらチートと言えど、まる一日暗くなるまで訓練するのはしんどい。
ぶっちゃけ今、超眠い。
『ああ、もうしょうがないなぁ』ってアーテルがお姉さん顔で苦笑して私のおでこにおやすみのちゅーをしてくる。
だけど今日はもうゴブリン戦の後に実体化しちゃってたからフリだけだ。感触はお互いに感じない。
でも私も「おやすみ」って返してアーテルのおでこにキスするフリをして彼女へ腕を伸ばす。
左手の腕枕は当然彼女をすり抜けてしまう。
……うん、頑張って彼女を助けよう。
毎朝、自分の腕がアーテルの顔や首に刺さってるのは寝覚め悪いしさ。




