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とある運営さんの話

「チーフ!やっと、やっとNPCにAIしこんだの気が付いてくれたプレイヤーが出ましたー!!!!」


 歓喜の声を上げたのは運営部門の常盤であった。

製作から運営までずっとチーフとともに歩んだスタッフの一人で最近はもっぱらプレイヤーたちの動向とイベントや全体の進捗状況の把握なんかを担当していた。


 今までのVRMMOとは違う、もっと特徴のあるVRMMOをと開発してきた彼らの一番のこだわり、NPCの半分にAIを搭載。

何とも剛毅な話である。

AIといってもピンからキリまであったため、比較的簡易のAIを使用していた。

もちろん重要クエストにかかわるNPCは珠玉の出来だと彼らは考えている。


「やっとか!どこで気が付いた、アウローラの歌姫か?」

「いえ、チーフ絶賛の歌姫ちゃんではなくカササギ先輩のグリブくんです!」


その時チーフのがっかりとした様子はその後スタッフの語り草になるほどであった。


「やったー!一人勝ちってことで皆さん奢ってくださるんですよね!!!ミシュランガイドでチョイスしておいたんですよー」


「カササギ、それは後でだな、どうして気が付いたってわかるまさかウィンドウ操作なしなんて強者が現れたんじゃないだろうな…」

「そのまさかなんですよチーフ!今のところ彼女は会話のみでNPCとやり取りしてます。サブイベントの姦し娘さえ起きてるんですよ!!!」


サブイベント姦し娘。

ウィンドウコマンドなしでの、初アクションが音声での会話を使ったプレイヤーにだけ起きる隠しイベントである。


イベントといっても重要度は高くなく、いろいろな噂話の中にヒントが散らばっているというだけのものだ。

しかし、何度も参加しているとそのうちとんでもないことを言い出すように仕込んだAIたちである。

ちょっとしたお茶目によって生まれたキャラ達でもあった。


「常盤さん!!すごいですよ、その娘!シャトンで初めてなのにサービス受けてます!!」

「サービス!?そんなのあったか??」

「ヴェルテュ語イベントのしおりを買いに行ってノートと万年筆買ってます。普通なら売り物だと思わないのに!!!」


その日の運営チームの祝杯は彼女のためにささげられた。


気が付いたのではない、ただ初めてすぎたために起きた偶然だとも知らずに。

普通初めに行う会話選択というコマンドを知らなかったからこそ起きた偶然だった。



AI達の自由性の高さに!

椿というプレイヤーに!

乾杯!!!


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