とある運営さんの話3
「チーフ!掲示板に『神々の話裏話』でましたーーー!!!」
歓喜の声を上げたのはストーカー予備軍常盤であった。
「おぉ、なんだっけ五月ちゃんだっけ?」
「違います、椿ちゃんですよ!!!惜しくもなんともないじゃないですか。それに上げたのは椿ちゃんと組んでいる吹雪というプレイヤーですね。」
「ほぉ、じゃあそろそろ『うきうき空の旅』と『ぴかぴか光る島』と『美味しいお菓子と素敵な音楽』あたりも出てくるか?」
「あらチーフ、それはないですよ。『神々の裏話』は日本語で出しましたけど他は日本語以外ですもん。読めるの神官職とエルフぐらいでしかも旧ヴェルテュ語とかそのあたりは努力しなきゃ読めないじゃないですか。」
そういって現れたのは紅一点カササギはアイテムチームの主任で前回のミシュラン勝者でもあるが覚えているだろうか。
「私たちがどれだけ苦労したと思ってるんですか!!!作家志望の学生とか売れない絵本作家とかだまして書かせるの大変だったんですよ!格安報酬だったからホント大変だったし!!それを書き換えるのも無許可で敢行した奴だってあるんですよ!」
そういって迎合するのはカササギの下にいる小鳩。
小鳩の愚痴はカササギに訴えているものではあったが、上司のスルースキルは高かった。
今まで一度もうまくいったためしがない。
「あ、でもその3冊椿ちゃん読んでるんですよ!グリブによると『古今東西武器辞典』『古今東西裏話』『古今東西等価交換』とか結構重要シリーズでしたよね?」
しかも今回は常盤というストーカー予備軍によって話を元に戻されてしまったのだった。
「こ、古今東西シリーズを!!?なにその子旧ヴェルテュ語を制覇してるっていうの…」
「カササギさん、まだまだですね~~椿ちゃん博士とりましたから全部読めますよ。」
その瞬間の絶叫は前回のチーフを超えたという。
「チーフ!!!グリブに特別指令出していいですか!!!学童塾みたいな!言葉の教室みたいな!!」
「過干渉だろう、放っておけ。」
「チーフのばかーーーーー!!!」
「チーフ!掲示板に他の本の名前におわしちゃダメですか!!」
「過干渉どころではないわ馬鹿者!!」
「いけずー!」
カササギの願いが通じたのか、次の日グリブは奇跡を起こした。
吹雪のため日本を訳そうとした彼女をとがめた後、書き換えはできないけど文字を教えてあげるのは咎められないんですよ、と。
「何て良い子なのグリブ!!!でも残念椿ちゃんは司書希望なのね!!!」
その日の運営チーム…いや、カササギのヤケ酒はグリブのためにささげられた。
AIの自由性の高さに!
椿というプレイヤーに!
私の作ったアイテムたちが陽の目を見るように!
その夜、常盤のPCには椿ちゃんの読んだ本というリストが作られたが、それを誰も知ることはなかった。
チーフが知ったら即座に消されることは間違いない。




