とりあえず、お友達になりましょう。
「笹倉先輩こんばんは、先輩たちのおかげでこの夏はとても有意義に過ごしております。琥珀の世界における言語5種類を習得することができました。そうしたら司書という職種に就けるはずなんですが、お恥ずかしいことに所持金と基本値が低すぎるという事で就くことができませんでした。戦闘なんかはよくわかりません。どうしたらいいのでしょうか??」
「久しぶり~うんうん、はまってるようでうれしいよ!琥珀の世界って職業の幅が広そうだねぇ…基本値は多分戦闘しなければ上がらないと思うんだ、そこで友人に頼んでおいたからそいつに頼ってもらえる??あんまりやり込んでないって言ってたけどまぁ最初の草原で役に立たないってことはないと思うんだ、そうそうそいつから聞いたんだけど…椿は始まりの町から出てないらしいけど他の町には図書館や古書店なんてのもあるらしいから旅してみるのも面白いんじゃないかな。で、友人の名前は…」
青々とたなびく雲は白く、プレイヤーでにぎわう広場は今日もまた新たな出会いを紡いでいく。
「はじめまして、桜吹雪です。」
「はじめまして、椿と申します。このたびは態々お時間を取っていただきありがとうございます。」
そう、笹倉によって椿に心強い味方ができたのである。
「笹倉からの紹介ってことで、今日は一緒にフィールドに行こうか、今使ってる武器とレベル教えてくれる??あんまり差があると経験値はいらないから。」
「えっと、武器というものは所持していません、あとレベルは1です!」
その瞬間の桜吹雪は見ものだった。
椿は真面目そのものだったし自己紹介の時から礼儀正しかった。
これは笹倉の過失であることは言うまでもなく、その瞬間桜吹雪は外部メールを立ち上げて一言だけ添えメールを送った。
曰く、次のトーナメント戦でオロス。(PKしてやるから待ってろよ。)とのこと。
そんなことも知らず椿はじっと、桜吹雪を観察していた。
160の椿よりもだいぶ身長が高く、見上げてばかりだ。
数歩後ろに移動すれば首の角度が緩くなった。
「身長、お幾つあるんですか??」
「え?あー身長、189cm。あ、桜でも吹雪でも呼び方任せるよ。」
「では吹雪さんと呼ばせて頂きますね、私は椿と呼んでいただければ嬉しいです。」
椿ちゃんねと相槌を打ってから桜吹雪は武器をいくつか出した。
「今使ってる武器だとレベル差がありすぎるから片手剣で今回やらしてもらうね…で、椿ちゃんはこの中から好きなの選んでくれる?全部装備レベル1だから使えるはずだし。」
そういって取り出したのは弓・槍・双剣・薙刀・ロッドの5種類であった。
「それ、処分しようと思ってたからどれでも好きなのあげるよ。」
「…とりあえず一通り貸していただけますか??適性があるはずだとは言われたんですが…どれだかわからなくって。」
それから二人はアドレスを交換し、それによってパーティを組んだり、どこにいても簡易メールを送受信できるようになった。
これらの操作も椿は桜吹雪に逐一確認を取りながら慎重に進め、初めてメールを送った時など椿はひと仕事果たしたかのようなさまだった。
パーティを組み、大通りを通りながらも桜吹雪は少しずつ戦い方を椿に教えた。
椿も、姦し娘の事を教えた。
「お話し好きの少し変わった小母様たちがいらして…よくしてくださるんです。」
「え?NPCでそんなのいるんだー今度探してみるよ。」
「えぇ、よくいろんなことを教えてくれるんですよ、王立図書館に入るための必要な資格とか…私それで司書を目指してるんです。でも…司書という職業に就くには1,500G必要だという事で…笹倉先輩に相談したんです。」
「司書!!?そんな職業あるんだ…生産職の1つかなぁ…はー、そのオバサンに会うにはどうすればいいの?」
「では、あとで一緒に行きませんか?是非紹介したいです!」
そんな話をしながら二人は門から外に出た。




