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真・恋姫†無双 ~司馬懿仲達の憂鬱~  作者: 堕落論
序章 『始まりの始まり』
4/30

プロローグ 4 旅立ち

「はあっ……何と無く釈然とはしませんが、ここは黙って貴方の言う通りに転生した方が話が早く転がりそうですねえ……そろそろ本編に行かないと評価ポイントにも影響が出て来るでしょうし」


渋々と言った表情で尚志は大天使が言った転生話に了承の意を示した。


「誰に向かって話してるか……何て事は今更なので突っ込みませんよ。それよりもその答えは転生受諾と捉えても宜しいのですね」


「ええ、どのみち二度と子供達に逢う事が出来ないのであれば、この世界に未練は無いですからね……ところで私はどう言った世界に転生させられるのですか? 先程の話ではチート能力の付加と身の安全は保障されると言われてましたが……」


「はい、我々天界が貴方の望む様な「俺様、Tueeeeeeee!」的な力を付与しますので、貴方自身が死ぬ羽目になる様な事は余程の事が無い限り発生しませんよ。それでどの様なチートを御望みでしょうか?」


「どの様な……と、言われましても、行く先が何処か分からなければ、能力の御願の仕様が無いじゃあないですか」


「ああ、それもそうですねえ……ではお教えしましょう。今回貴方が転生して頂く世界は……ズバリ『真・恋姫†無双』の世界です。どうです嬉しいでしょうヒューヒュー」


大天使と名乗る声は、そう言うと頭の悪いアイドル司会者の様に囃し立てる。


「あのお……」


「ん? 如何しました? 何か転生先に御不満でもございますか?」


「いや……不満と言うよりは、何故に『真・恋姫†無双』の世界……なんでしょうか?」


「え―っ、だって貴方の事を知る為に部屋を見に行かした織天使からの報告では、貴方の机上には恋姫のエロゲーに三国志関連の資料が散乱し、床には恋姫関連の同人誌、それに何よりもPCには貴方ぐらいの年齢の方が書くには、相当痛くてキモイ二次小説が書きかけのままだそうじゃないですか」


「い……い、痛くてキモイ小説……ですか」


「いやまあ、その辺りは個人の見解の相違って奴でコメントは差し控えさせて頂きますが……ここまでされるのであれば相当お好きなんでしょう、その世界が」


「あのですね……私は恋姫が好きと言うよりも、ただ単に恋姫が題目として案外書き易かったから書いてたんですが……」


「何ですって……では山と積まれた三国志関連の資料と床に散らばる18禁恋姫同人誌は?」


「まあ、いくら二次小説とは言え嘘八百は書きたくなかったので、それなりに資料は集めましたし……後、18禁本は…………単なる自分の性的趣向です」


最後の方で尚志の声が小さくなってしまったのは御愛嬌と言ったところか。


「おやおや、これは困りましたねえ……我々は貴方の部屋の状況から鑑みて転生先は恋姫の世界しかないと判断したので、他の転生先など用意しなかったんですがねえ……」


「別に恋姫の世界自体が嫌いな訳では無いですから、其処に転生させて頂ける事については吝かでは無いのですが……」


「いやに奥歯にモノの挟まった様な言い方をなさいますねえ」


「いや、先程のチート機能の件なんですがね……転生先が恋姫の世界と言うのならば、貴方方が提案された「俺様、強ぇぇぇぇ!!」的な要素は私的には不要かなと思ったものでして」


「その訳は……伺っても宜しいですか」


「ええ、大した訳でもありませんからね……まあ何と言うか、恋姫のどの辺りに転生させていただけるか全く分かりませんけれども乱世である事は間違いないのでしょう?」


「まあ、そうなりますねえ」


「いくら転生者と言えども転生世界の摂理を無視した様な武力は、やがて自分や周りの世界を壊して行くように思うんですよ。それならば超人的な武力などよりは知力や魅力の方を私は望みます、まあ何よりも私には戦場での縦横無尽の働きなぞ出来そうに無いですからね」


「ふむ……まあ、それが貴方の御考えであるならば重視させて頂きますが……ならば貴方に対しての付加は統率力、魅力、知力、政治力……後は『主の祝福』と……」


「何ですか? その『主の祝福』ってのは……」


「ああ、これは先程からの話に出ている貴方の転生先での命の保証ですよ。これがあれば何があっても貴方は死ぬ事はありませんし、勿論、大怪我ひとつ負わずに新たな人生を送れますよ」


「ん~……」


「どうしました? まさか貴方『主の祝福』までも要らないと言うのでは無いでしょうね!! 貴方がこれから転生する先は乱世なんですよっ!! 貴方が考えているよりもずっと『死』と言うものが現実的な世界なんですよ」


「ん~……確かにそうなんでしょうがねえ……チート機能付けて貰って言うのもなんですが、転生したら少しは前向きに生きようと思うんですよ……それこそ日々を一生懸命にね……」


「………………」


尚志の揺るがない決意に大天使は返すべき言葉を失ってしまい、暫し重苦しい沈黙が辺りを支配する。どのぐらいの時間が経ったであろうか、


「………………御考えは変わらない様ですね……」


「ええ、折角の御好意ですが申し訳ありませんねえ」


「分かりました、出来るだけ貴方の御要望に沿える様に致しましょう。全く……やはり貴方は変な方ですねえ」


大天使の声は、そのものが天からの福音の様に神々しく辺りの空間に響き渡る。


「さてと粗方自分の要望は聞いて貰えるようですから、安心して新しい世界に旅立たせてもらいましょうか」


「まだ細かい所の説明やお伝えしなければならない事が多々有るのですが……」


「もう充分ですよ。それに……」


「それに……?」


「自分の新しい人生ですから、手探りで成長を感じていきたいじゃあないですか。だからこれで充分なんです、さあ、早くあちらの世界へと送って下さい」


「やっぱり変ですよ、貴方……でも短い時間でしたが貴方とお話ししていて感じられた事は、今迄の遣り取りは実に貴方らしい……と、言う事でしょうか、それでは司馬田さん、今一度目を閉じて下さい」


「はい……」


「ゆっくりと気を落ち着けて……はい」


不思議な事に尚志が目を閉じた途端に急速に尚志の意識は混濁して行き、まるで風呂にでも浸かっている様な感触に包まれる。大天使の声が徐々に聞こえなくなり、寄せては返す様な波の音に変わり自らに意識が完全に途絶える時


「将……太………愛……香…………幸せ……に……」


それが現世での尚志の最後の言葉だった。

どうも堕落論です。


『司馬懿仲達の憂鬱』プロローグの最終回を書かせて頂きました。


書きながら思ったのですが、オリ主と大天使の口調がモノの見事に被っちゃってますねえ……(苦笑)


さて次回からやっと本編です。精一杯頑張って書きますのでどうか宜しくお願いします。

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