表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真・恋姫†無双 ~司馬懿仲達の憂鬱~  作者: 堕落論
第二章 『黄巾平定大作戦!!』
27/30

黄巾平定大作戦!!――――それぞれの思惑――――

はい、どうもぉ~。知らない内に秋の気配(苦笑)、読者の皆様は如何お過ごしでしょうか。「駄文、拙文を書ける程度の能力」(笑)の駄作者であり近頃は「皆さん、今度こそはキチンと書きますから……」詐欺の常習犯(苦笑)の駄目人間、堕落論でございます。


またもや前回の投稿から5カ月以上放置状態にしてしまうと言う言語道断な行為に及んでしまい誠に申し訳ございませんです。


まあ今更言い訳もへったくらいも無いのですが取り敢えず自己弁護をさせて頂きますとですねえ、作者が雇われ店長を務めているコンビニが5月後半にリニューアルオープンをしたのですが、改装期間中から開店間際迄2週間程休みだったので何回か更新が出来るであろうと言う甘い考えをしておりましたが、期間中の商品管理や、新規商品の発注、新規開店時の福袋作成や、人員体制の管理、チラシの配布etc.etcとやる事が山積みのスケジュールに呆気なく流されてしまい、


おまけにオープンしてから2カ月の店での拘束時間は毎日12時間を優に越えて休日は二回ほどしかなく一体何処のブラック企業ですかって感じでした。何はともあれ怒濤の開店後からマジ死にそうな2カ月をこなし棚卸で一息ついたと思えた途端に或る朝いきなり自宅のベッドの上で左足太股裏と腰が絶えず錐で刺されているかの様な痛さが全くひかずに、又もや救急車で近くの病院に搬送されてしまいました。


検査の結果、椎間板ヘルニアから来る『坐骨神経痛』と言う事で即入院!! 担当の整形外科医の先生からにこやかな顔で「切るか?」と言われ三日程悩みましたが結局は切らずに食事制限と、腹筋、背筋の強化リハビリと言う地味に辛いメニューで一月半程で10㎏の減量をして戻って参りました。


まあ完治した訳ではないですがブッチャケこれ以上休むと自分の進退に関わって来そうだったので無理矢理退院してしまいましたwwwさてさて今後どうなる事やら……


まあ取り敢えず、新章である「黄巾平定大作戦!!」を皆様にはお楽しみ頂ければ幸いでございます。


では、また後書きで御会いしましょう。堕落論でした。



第二章 『黄巾の乱平定大作戦!!』






洛陽の街中




『司馬懿仲達の憂鬱』を御読みになって頂いている読者の皆様っ!! ホントマジっ御久し振りでございます。恐らく、いえ、多分、いやいや、ひょっとしたらコイツ主人公なの…………? 的な扱いを受けている司馬懿仲達でございます。




あ~、のっけからすいません……なんせ此処何話かの自分の扱いが酷い事と馬鹿作者が諸事情で中々話の続きを書かなかった事で、ちょっとばかし卑屈になってしまいましたが、まあ何はともあれ、南陽の出張も終了して、このお話し的に、ほぼ二カ月半ぶりに此処洛陽に帰って参りました…………しかし、何故か体感的には二年近く洛陽を離れていた様な気がしてなりませんが(苦笑)


まあ、南陽への出発時は優希さんが居残りであった為に、私、華炎さん、春日さんと三人での出発でしたが、今現在、我々は部局の構成員として田豊さんと高覧さんが増員となり、そしてどうにかしないといけないのですが許嫁の、ようなもの(断じて……の、ようなもの!! ココ、ダイジ!!)として美羽御嬢様、傅役の張勲さん、美羽御嬢様の親衛隊長として紀霊さん、それに最低限の数に抑えている美羽御嬢様付きの御傍の方が加わって、いつの間にやら結構な大所帯となっております。


とにかく、まずは南陽での仕事が終了した報告と、その所為で二月以上も洛陽での諸々の雑務を手つかずにしてしまった御詫びを直属の上司である袁隗様と、袁家の総帥である袁逢様にご報告しなければなりません。


出来れば、その報告の際に半ば強引に進められている私の縁談問題の件を何とかしなければなりませんが、本当に我が家の、あの厳格な母上が一枚噛んでいるとなると、実際南陽で田豊さんが言った様に正面切っての拒否は非常に難しいと言わざるを得ません。


現行で最善の策を探ろうとすれば、取り敢えずはこの縁談を、多忙を理由にして一時凍結させつつ、今後の黄巾の乱のドサクサに紛れて緩やかに自然消滅、或いは縁談破棄を狙って行くように工作して行く事が一番無難な様な気がしますがねえ。


しかし、私と美羽御嬢様とで南陽の報告を行う為に袁逢様の所に行け……との事でしたが、その言いつけを馬鹿正直に守れば間違い無くオババ二人の思うツボです。ここはまず私以外の方々は『国家戦略情報室』で一旦旅装を解き、その場で待機して頂く事にして、私は単身で宮中の袁逢様の執務室に乗り込んで諸々の話を片付けに行こうと考えたのですが、一つ問題が発生します。それは、無位無官、言うなれば一般庶民の私がおいそれと宮中に入って行ける訳が無いと言う事です。


なんせ、たった今洛陽に着いたばかりなので、宮中に出仕している袁逢様や袁隗様に連絡の取り様が無いし、まあ逆に連絡を取ったら取ったで、相手に反論の余地や余計な裏工作を画策されたりする時間を与える結果になりかねませんしねえ…………さて、どうしたものやら……


なぞと、洛陽の城門をくぐり、多くの人々が行き来する往来で、一行から離れて一人考え込んでいると、突然、非常に良く見知った人から声を掛けられました。








「司馬殿、司馬仲達殿ではありませぬか。どうなされたのです? この様な所で大勢で立ち止まられて……」


「ああ、これはこれは御久し振りでございます。御元気でいらっしゃいましたか王子師様」


王子師様、御名前だけは序章の頃から度々出て来ていた王允様であり、内朝の政務を司る尚書令でいらっしゃいます。確か私よりは幾分年上であられたと記憶しております。また、この世界ではその若さで尚書の長官である尚書令を任命される程の有能な方です。王允様も、袁逢様、袁隗様と共に日夜この国の為、民の為と非常に辣腕を振るわれる方であり、この洛陽の政治家の中では私が最も信頼する女性であります。


えっ? 信頼するという点では袁隗様や袁逢様達が一番じゃないのかって……ん~残念ながら、あのオババ達は今回の美羽御嬢様の一件でも御分かりの様に、極稀にですが非常に迷惑な御茶目をする時がございますので信頼と言う点では王允様が一番でございますね。


それに王允様は高官であるのに全く偉ぶらず、配下の者達や、それ以外の我々情報局の者にさえ、何時も笑顔を絶やさずに分け隔てなく接して頂ける、失礼な言い方をさせて頂ければ御近所の年上の憧れのお姉ちゃん的な存在と私は認識させて頂いております。


「ええ、おかげさまで。貴方も御元気そうでなによりです。確か南陽の方へ御仕事で行ってらっしゃった筈ではございませんでしたか?」


「あっ、はい。二月半ほど掛かってはしまいましたが、無事に仕事の方は終了致しまして、たった今、此方に戻って来たばかりでございます」


「そうでございましたか、それは御苦労様です、お疲れになったでございましょう」


「いえいえ、これぐらいの事で疲れたと言っていては毎日多忙な司空様、司徒様、それに尚書令であらせられる王子師様に申し訳ないでございますよ。ところで子師様、この様な昼も過ぎた時間に、御供の方も連れられずにどちらへ参られるのでしょうか?」


「ええ、本来なら本日は休日だったのですが、司空様が火急の用向きが御有りとの事なので、急ぎ宮中迄出向いている途中でございまして……」


んっ………? 今、王允様は宮中へ、それも供を連れずに司空様の下へ行かれると仰いましたね。ならば私を王允様の御供と言う事にすれば、そのまま宮中に入れますね……なんて良いタイミングなんでしょう。多少御都合主義で有る様な気がして仕方ありませんが、まあ、駄目もとで御供出来るかどうか王允様に頼み込んでみましょうか。


「それは、それは御忙しい所をもうしわけございません。ところで子師様、御迷惑をおかけついでに、少々厚かましいお願いをお聞き届け頂けませんでしょうか」


「あら、司馬殿自らのお願いなんて御珍しい。ええどうぞ、司馬家の麒麟児、袁家の懐刀と呼ばれる程の殿方のお願いなら、是非とも御聞きしなければ……」


「何を仰います。その言は私の事を買い被り過ぎて、何やら落ち着けませんので御勘弁願いませんか。しかし一体何処の誰がそのような詐欺紛いの呼び方をしているのでしょうか……?」


「あらあら、御存知ないのですか? どちらも司空様や司徒様が、宮中で他の役職の方々が御集りの際や重要な会議の後などに、皆を集めた場で毎回話題になさっておられますのよ。それに何やら司馬殿に置かれては、近々非常に御目出たい事も御有りだとかとも御話しされていた様ですが……」


うぉぃっ!! あのオババ共、人が何も手が出せなかった状態と言うのを良い事に、一体何処まで暴走してやがりますか。私はあまりの現状に、額に手をあてたまま倒れそうになります。


「司馬殿! 急にどうなされました? 御加減でも御悪いのでしょうか……?」


明らかにおかしい私の姿を見た王允様が私の事を心配して声を掛けてこられます。


「いえいえ、体調は全然問題は無いのですよ、体調は……どちらかといえば、精神的に多少キツイだけで……全く心配はありませんのことでございますよ」


「そうでございますか。ならば宜しいのですが……で、司馬殿の御願いと言うのは……」


「まあ御願いと言うのは他でもありません、今から子師様が、オババ……いえいえ、司空様の所へ行かれると仰られましたが、私も南陽での件を司空様や司徒様に一刻も早く御報告しなければならないのですが、たった今南陽から洛陽に着いたばかりなので生憎と御二人に御目通りする為の許可を頂いていないのですよ。申し訳ありませんが私を子師様の御供として御連れいただけませんか?」


「ああ、そう言う事でしたら、私は一向に構いませんよ。しかし、司馬殿、今現在の御姿で宮中に行かれるにはどうかと思われますが……どうされますか?」


ああ、これはこれは失念致しておりました……私今現在、埃塗れとまではいきませんが、それでも充分に南陽からの帰りの道中で薄汚れた身なりをしていたのですね。しかし、仕事場で徹夜をした後など結構これに近い恰好で袁隗様と御一緒している時もありますからねえ。


「いやいや、大まかな出張報告は先に書簡を配下の者に持たしておりまして本日は挨拶程度。まあ司徒様に御会いするだけですので、このままでも宜しいでしょう」


まあ、オババには言いたい事が山ほどあるので挨拶程度で済ませる訳にはいかないのですが、取り敢えずは王允様も御急ぎの様ですし、私はこのままの姿で宮中に行く事を主張してみますが


「司馬殿、貴方にとって直属の上司である司徒様と屋敷内で顔を会わせるのであればいざ知らず、宮中でのそれとなれば事情が多少違ってまいりますよ。親しき仲にも礼儀ありとも言われます。私ならばお待ち致しておりますので身なりを整えあそばしませ」


王允様に、その柔らかな笑顔で優しく諭される様に窘められてしまいました。


「いやいや、それでは子師様の御手を煩わせてしまいますし、何よりも火急の用件と言う事で出仕される子師様が遅れてしまわれるではないですか……」


「司馬殿、私は用向きに遅れて、司空様から御叱責を受ける事よりも、貴方が礼を失した行動を取る事で、周りの者から嘲笑を受けてしまう事を見逃してしまう事の方が心苦しいのです。ですから私の事は宜しいですから、どうか一度御屋敷の方へ御戻りなさいませ」


ああ……どうですか、この方の優しさは……御自分が叱責を受けられる事よりも、寧ろ私の様な若輩者が礼を失して周囲の者に嘲笑されない様にと気遣って頂けるその器の大きさ、この司馬仲達、誠に感服いたしました。人を玩具にして遊びたがるオババ二人に、貴女の爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいぐらいに素晴らしいですよ、王允様。


余談ですが、私、この様に母性を感じさせて頂ける年上の方に非常に魅力を感じてしまうのですよ……例えば、南陽で御世話になった黄蓋さんや、今後の御話で登場するであろう黄忠さんに厳顔さん、そしてこの御話し中には未だ名前でしか登場しておりませんが、我が姉である司馬伯達も何処となくそう言う所があったりします。


「子師様。御心遣いを誠にありがとうございます。どうやら私が礼を失していました。身支度を整える為に司徒様御屋敷の方にある部局の建屋に戻ろうと思いますが、そちらのほうに子師様も御足労をお願い出来ますでしょうか」


尚書令の王允様を、まさか街中で一人お待たせするような失礼など出来ませんので、取り敢えずは御茶も出せるし、座って頂ける事も出来る情報局の建屋へ来て頂く事に致しましょう。我々を迎える準備も、一足先に春日さんと華炎さんに戻ってもらっていますので諸々の用意は出来ていると思います。


最も、我々が帰るだけでなく、不意打ちの様に王允様まで連れて来たとなると、流石に春日さんと華炎さんでも、多少パニくるかもしれませんがねえ。


「しかし、この人数の上に私までが御邪魔する様な事になれば……」


「いえいえ、その様なお気遣いは無用に致しましょう。それに…………」


「それに…………?」


私の答えに王允様は少し訝しそうな目をして問い返して来ます。


「今此処で、子師様に御一人でお待ち頂く事は、それこそ最大限に礼を失する事だとは思われませんか?」


王允様は私の言を聞くと非常に嬉しそうな顔をされて


「流石は司馬殿ですね。私とした事が一本取られてしまいました。そう言う事でしたら遠慮せずにお邪魔する事に致しましょう」


そう言って我々一向と共に屋敷に向かう事が決定した後に、私は王允さんに先程から気になっていた事を御聞きしてみました。


「ところで子師様……御聞きしたい事が有るのですが宜しいでしょうか?」


「私で答えられる事が出来るのであれば、如何様にもどうぞ、司馬殿」


「いやまあ、そんな大した事では無いのですがね……尚書令の子師様の数少ない休日を潰してでも呼び出すなんて、一体どの様な大事なんですか?」


「ん~、実を言うと私も詳しくは分かってはおりませんが、司空様の使いの者の話しによれば私の配置転換についての御話らしいのですけれど……」


「配置転換? 尚書で文句無しの御働きをされている子師様を……?」


「文句無しかどうかは定かではないですが、どうも十常侍の方々からの献策の様ですが……」


「十常侍達からの献策……? 子師様の仕事に対する横槍と言うのならば、何とはなく話が分かるのですが配置転換の献策となると……う~ん……」


私が色々な考えを巡らせていると、突然誰もいない筈の私の背後から声がして、私の死角から栗色の長髪の方が現れます。


「恐らくは厳格な尚書令様を内朝から引き離して、自分達の都合の良い環境を作ろうとしているのではないかと思われますが……」


「げ、元皓さん……い、いらっしゃったのですか……」


「ええ、最初から……」


ああ、ビックリした。貴女は『さよなら絶○先生』のストーカー少女ですか……などと言うメタ突っ込みを思わずしそうになるぐらいビックリしたじゃないですか。まあそんな戯言はこちらに置いておいて……


「しかし子師様を内朝から引き離したとしても、その様な露骨な謀に何の意味が有るのでしょうか……? 現行の機構としては外朝の司徒様、司空様、内朝の尚書令様とが密に連絡を取り合って政務を取り行っている訳ですから、元皓さんが仰ったような事が事実ならば外朝の御二方が黙っておりますまいに……」


「一般的な考え方であるならば御頭様の言うとおりであると思いますが……何分にも相手は、宮中では才覚並ぶ者無しと言われている十常侍筆頭の張譲様ですからねえ」


元皓さんは私の問いに対して慎重に言葉を選びながら


「南陽での一件を司徒様、司空様に報告する使命を御頭様から受けて洛陽に戻った際に侍中府の友人から、飽くまで噂の範疇として聞いた話ではありますが、十常侍筆頭の張譲様と趙忠様の御二人が主となって、内朝や市井の者で自分達に対して不利益になる賢人の方々……例えば此処に居られる尚書令様であったり、今は、麗羽御嬢様の側におられる盧子幹様であったり……それに業腹ではありますが我等が御頭様をも排除してしまおうと言う動きが有るとか無いとか聞き及びましたが……」


「う~ん……まあ私の事などは、どうとでも出来るのでさて置いて、噂の範疇とは言え首謀者の名前と、その首謀者によって迷惑を被る者との名前がそこまでハッキリと出て来ると言うのは、余り良い兆候とは言えません……言い方を変えれば予断を許さない状況であるとも言えますねえ。さてさてどうしたものやら…………」


(全く、十常侍の皆さんは……人が洛陽を留守にしている、たかだか二月ほどの間に色々と暗躍をしてくれるじゃあないですか……流石、御自分達の既得権の損得勘定が絡むと行動が迅速で的確ですねえ、こちらもそれ相応の細作を宛がっていた筈なのですが見事に出し抜かれています……ふむ、これは宦官達に張り付かせる細作達を選抜し直さなければなりませんねえ……フフフ、南陽では今一つ相手にとって不足が有りましたが、今度の相手は手加減無しで良さそうですねえ)


などと私が心の内で黒い事を考えていると、それを見ていた王允様が私達を諭す様に声を掛けられます。


「司馬殿、今此処で我々が憶測で、ああでもないこうでもないと言い合っても詮無き事でございましょう……ならば今は一刻も早く、司徒様、司空様の下に参内して、皆で詮議致した方が得策かと思われますが如何?」


「あ~すいません……確かに子師様の言う通りでございますねえ。確かに此処で我々がああでもないこうでもないと言ったって始まりませんよねえ……どうも何か事を起こす前に色々余計な事を考えてしまうのが私の悪い癖なんです……いやいや気を付けねばいけませんねえ」


「いえいえ、直情径行の思慮が浅い愚か者が宮中内でも幅を利かす昨今、司馬殿の様な思慮深き方が我々と共に有って頂ける事は非常に心強い事です。我々官吏の者も、事、行動を起こす際には司馬殿を見習わねばなりませんね」


「いやいやそれほどのものではないですよ……では、私の後ろに御乗り下さい」


子師様の度を越した誉め言葉に多少恥ずかしさを覚えつつ、子師様を私の馬の後ろに御乗せします。


「それでは優希さん、申し訳ありませんが皆を纏めて先に部局の方へ戻って頂けませんでしょうか」


「了解……! で、主は?」


「私は子師様を御乗せして参りますので優希さん達よりはゆっくりと参りますよ。それに優希さん達には、先に部局に帰っている春日さんと華炎さんに、子師様が来られる事を御伝えしてもらいたいですからね」


「しかし、それでは主の護衛の任務が……」


「ああ、構いませんよ、もう都に入ったのですから、いくら私でも、此処からは一人で大丈夫ですよ」


「了解した! では、早速任務を遂行する。涼、未来、直ちに美羽御嬢様達一行を連れて司徒様屋敷内の部局に戻る。未来は美羽御嬢様達の輿車の護衛を、私が前衛を担当するので涼は一行の後衛を頼む」


「はっ、はいですうぅっ」


「ふんっ、南陽からの帰り道中ならばともかくも、この洛陽の都で狼藉に及ぶ者はいないと思うけれど……まあ良いわ、輿車の後衛に付けば良いのね」


わっ、ビックリした……優希さんが長文喋った事にも驚きましたが涼さん(高覧さん)が初めて喋った事にも驚きを隠せませんねえ。などと、その様な馬鹿な事を考えつつ我々は部局に向かう為に馬首を巡らせました。











―――― 同時刻 司徒 袁次陽 私邸内の建屋 『国家戦略情報室』 ―――――









「あぁ~あ、なんかやっと戻って来たって感じかしら。南陽城で与えられていた部屋も中々使い易かったけど、やっぱり慣れ親しんだ場所って言うのは落ち着くわねえ。留守中は司徒様の御嬢様達が交代で、掃除や換気をしてくれていたみたいだから、後で御土産を持って行く時にお礼を言っておかなきゃね」


「ああ、そうだね……………………」


「でも一体愛将はどうする気なのかしら……? 此処で司徒様がお帰りになるのを待つのか、それとも宮中に出向いて行くのかしら……? まあ出向くって言っても余程の事が無い限り宮中に出入りは出来ないだろうけれど……」


「ああ、そうだね……………………」


「しかし、あの馬鹿愛将、まさか美羽御嬢ちゃんを本当に嫁にする訳じゃないでしょうね……いくら司馬の家長である建公小母様が名を連ねているとはいえ…………愛将は大丈夫よね、華炎」


「ああ、そうだね……………………」


「ちょっと華炎っ!! アンタ、人の話を真面目に聞いてるっ? さっきから生返事ばかりで心此処に非ずって感じじゃないの……」


「ああ、そうだね……………………」


「華炎っ!!」


「わっ! どうしたんだい? 急に大きな声を出して……」


「どうしたんだい……じゃあないでしょう。一体どうしたのよっ! さっきから私の話、全然聞いてないでしょう。洛陽に到着する頃からアンタ、ちょっと変よっ!!」


「そっ、そうかい……気を遣ってくれるのは嬉しいけれど、僕は何とも無いよ」


「何とも無いよ……って、言ってる事が既に変なんだけれど……華炎!! アンタ、まさか愛将となんか有ったんじゃないでしょうね」


「春日……そのなんか有ったって言うのは、どう言う意味で言っているんだい?」


「どっ、どっ、どう言う意味って……別に意味なんて無いわよっ!! 言葉のあやよあや」


「心配しなくても、僕と愛将との間には、春日が思っている様な艶っぽい事は皆無だよ」


「だ、誰が愛将と華炎との間の事なんて言ってるのよっ!! 私は只、華炎の様子がおかしいから心配で……」


「春日……ありがとう、でもこれは僕自身の問題なんだ。心遣いは本当にありがたいけれど、如何せん僕自身が解決しなければならない問題なんでね……」


「華炎……」


「………………すまないね、春日」







―――― 同時刻 宮中内 とある部屋 ――――






「――、細作の報告では、アヤツが南陽から戻って来たらしいぞ。今時分はもう城郭の中に入ったところであろう」


「ん……? アヤツって誰の事さ? ――」


「本気で言っておるのか――よ? アヤツと言えば、我々十常侍の中でも特に要注意人物として名前が挙がる程の司馬家の坊主の事ではないか」


「司馬家の坊主……? ああ、此処最近司徒の袁隗の下で色々と動き回っているヤツの事かい」


「そうじゃ、確かあの坊主、任官はまだしておらぬが、四世三公輩出の袁家が後見人となり、若輩者ながら近いうちに帝に拝謁が叶うと言われる程の人物と言う噂じゃがの……」


「へえそうなんだ……でも――。人の噂なんて結構アテにならないもんだよ。実際に僕の事だって宦官の十常侍の一人と言うだけで巷では――ぐらいの爺さんだって思っている馬鹿な民が殆どじゃないか」


「まあ、それはそうじゃが……」


「だから、確かに司馬君は幾つかの検討に値する具申を袁隗や袁逢に行ったのかもしれないけれど、言ってみればまだまだそのぐらいの人物であって過大評価は禁物だと思うけれどね」


「しかし、――よ、アヤツは袁逢の馬鹿娘が勝手気ままに治めておった南陽を改革したそうじゃぞ」


「改革ねえ……あの馬鹿御嬢ちゃんがいる南陽城の改革と言うからもう少し早く帰れると思ったんだけれどねえ……此処まで時間がかかるって事は、彼は本当は大した事無いんじゃないかい? 僕なら十日もあれば改革って終わらせられるよ」


「――よ、ヤツを決して侮るな。確かに南陽の改革が袁家の馬鹿娘を罷免するだけの改革であったならば、此処まで時間をかける事が愚かさの証明であったろうが、ヤツはたかだか二月程の時間で以前とは全く別の南陽を創り上げたそうじゃ……それも袁家の馬鹿娘の後任に没落しかかっていた揚州の孫家を据えてじゃ」


「へぇ~、でも実際は彼が……と、言うよりも配下に優秀な部下がいて諸々を実行して行ったのかもしれないし、噂の本人に直接会ってみてどの様な人物かを見極めてみないとねえ……果して司馬君が僕の障害物になれる程の人物なのかをねえ」


「やれやれ、、儂が自分で言うのも憚られるが我ら十常侍の中でも重鎮と呼ばれて久しい儂の言じゃ、少しは聞き入れる事をせんか」


「いやいや、ちゃんと――の言う事は聞いてるよ。でも僕は、何分にも自分の眼で確認しないと気が済まないって事だよ。いくら『司馬の麒麟児』だとか『袁家の懐刀』とか言われていても実物は案外普通の人間だったりするからさ……」


「まあ、そう言う所が貴様が若くして我々十常侍筆頭である事の理由で有るのかもしれんのう……――よ」


「さあ、どうだろうね。まあとにかく着々と準備が整いつつあるんだ。後少し、後少しでこの国始まって以来の馬鹿騒ぎが始まるんだよ。例え帝であろうとも、こんなに楽しい遊びの邪魔はさせないさ」


「これ、声が高い。此処は宮中じゃぞ」


「ああ、そうだったね。柄にもなくついつい興奮してしまったよ」


「全く……では司馬の坊主には儂の方から監視を出しておく事で良いのかのう」


「ん~、まあ、どうなる訳でも無いとは思うけれど、それで――が安心するならばそうしたら良いんじゃないかな。その辺りは任せるよ」


「うむ、ではそろそろ大司農の寄り合いの時間じゃのう」


「えっ、もうそんな時間なんだ。あ~あ、馬鹿な官吏ばかりが好き勝手言う退屈極まりない会議だけれど、これも仕事だしねえ。本当、馬鹿な奴等なんて皆死んじゃえばよいのにねえ、そうすれば少しはマシな世の中になるのに……」

はいどうも、「駄文、拙文を書ける程度の能力」(笑)堕落論でございます。


取り敢えず新章である『黄巾平定大作戦!!』導入部は如何だったでしょうか? 「お前は5カ月開けてこんな駄文しか書けないのかっ!!」とか「待っていたのにツマラナかった」等の御批判は多々有るとは思いますが、何卒、何卒寛大な御心で読んで頂けたらなあと馬鹿作者堕落論、平に、平に御願致します。


《閑話休題》


しかし、まあ、前回『南陽改革大作戦!!』を書く前には軽度の脳梗塞を患い、今回の新章を投稿する前には坐骨神経痛と明らかに身体にガタが来ています。まあ、若い頃から身体に良い事などした事が無い人間なので今更何が有っても後悔はしませんけど、やっぱり怖いなあとは思ったりしますね。


このサイトで小説を御読みになっている方々は未だ若くてピンとは来ないでしょうが、御自分で出来る範囲での健康管理をされる事をお勧めしますよ(苦笑)


さてさて何はともあれ新章始まりました。ぼちぼちと書いて行こうと思いますので宜しければまた御付き合い下さいませ。




以上、「駄文、拙文を書ける程度の能力」(笑)堕落論でございました。 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ