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真・恋姫†無双 ~司馬懿仲達の憂鬱~  作者: 堕落論
序章 『始まりの始まり』
2/30

プロローグ 2 真実

「………せんか? ……さん、……さん」


誰かが自分に向かって話しかけている声に反応する様に意識が徐々に戻って来る。未だ混濁した意識ではあるが、先程自分の身に何が起こったかはハッキリと覚えている。


(取り敢えず声が聞こえると言う事は生きているみたいですね……体の感覚が何か変な感じですが、まああれ程の距離をフッ飛ばされればねえ……兎に角、生きてて良かったと言う所でしょうか)


だんだんと覚醒しつつある意識で彼はそう考えた後、ゆっくりと目を開けようとした時に、いきなりハッキリと声が聞こえた。


「まあ、そう考えたいのはヤマヤマでしょうが、残念ながら貴方は既に死んでいます」


「はいっ?」


唐突に聞こえて来た声に思わずゆっくりと開けようとした目を見開き、寝たままの状態で辺りを見回す。意識の片隅で何処かの病院の一室である事を期待していたが、淡い期待を者の見事に打ち砕く様に辺りは暗闇で覆われていた。


「此処は……何処でしょうか?」


「まあ、貴方達の世界の分かり易い言葉で言うのならば『死後の世界』ってやつですかねえ」


呆然自失となった状態で口から出た独り言に、すぐさま答えが帰って来た事で、もう一度だけ目の動きだけで辺りを見回してみたが、先程から答えを返してくれる者の姿は確認出来ない。


「えっとぉ……何から聞いたら良いのか……取り敢えず私はどうなってるのでしょうか?」


通常時なら錯乱して喚き散らしてもおかしくない状態であると言うのに、今は現状把握を最優先するべきと考え直した結果。彼は場の空気を読んで最適な質問をした筈なのだが


「貴方……変な方ですねえ……大抵の人間は、こういう状態に陥ると著しい恐慌状態を引き起こすものなんですけどねえ……失礼ですけど貴方、生前に天然だとかズレてるとか、他人から言われてませんでしたか?」


返って来た答えがこれである。返答の際の生前と言う単語が妙に生々しく感じられたが、それはこの際置いておいて、彼は微妙に痛む頭で言葉を返す。


「確かに喚き散らしたい衝動はありますが……私としては出来るだけ今現在の状況把握をしたいが為の質問のつもりだったのですが、何かおかしかったでしょうか?」


「ふむ……良く言えば落ち着いている、或いは達観しているとでも言うのでしょうが……未だ天然ボケの疑いを捨て去る事が出来ませんねえ……」


「何か非常に酷い事を言われていると思うのですけれど、兎に角現状の説明をお願いできませんか? それを聞いた上で、錯乱して暴れるなり、絶望して泣き喚くなりしようと思いますので……」


「(やはり変な人にちかいかも……)そうですね、客観的な事実を申し上げますと、司馬田尚志さん、貴方は不幸な事故でお亡くなりになりました」


「はあ……不幸な事故でですか……」


「はい、不幸な事故です。我々の主、貴方達が神と呼び崇め奉る御方が下界に降臨された際の、ちょっとした手違いに貴方が巻き込まれた形になってしまったのです……本当に申し訳ありません」


それまで事務的に話していた声の主の口調が事故の謝罪の際には悲痛さが感じられる声に変わっている事が、これは間違いなく真実の事であろうと彼を納得させた。


「そうですか……まあ人である自分には分からない世界の事ではありますが、主が降臨されたと言う事は余程の大事だったのでしょうね……」


「はあ……まあ……その……」


何故だか相手の口調が急に歯切れの悪いものとなってしまった事に、若干の嫌な気持ちを感じつつ先程より詰問口調で問うて見る。


「もう一度御聞きしますが余程の大事で貴方の主は降臨されたんですよね」


「……………………」


「何で無言になるんですか?」


「いやあ……あのお……大変言い難い事なのですが……今回我が主が此の地に降臨されたのは……そのお……貴方が言う様な大事では無く……え~とですねえ……天界るるぶに掲載されている程の『さぬきうどんの店』に行く為だったんですよ……ハハハ……」


「はあぁぁぁぁぁぁぁっ?」


事故の真実と声の主の渇いた笑い声を聞いた彼は、あらん限りの声を張り上げた後、あまりのショックの為にまたもや意識を失っていくのであった。


どうも堕落論です。


『司馬懿仲達の憂鬱』プロローグ2をお届けいたしましたが如何だったでしょうか?出来るだけ早くプロローグを終了させて本編に入りたいと思いますので今後ともどうか宜しくお願いします。

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