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真・恋姫†無双 ~司馬懿仲達の憂鬱~  作者: 堕落論
第一章  『南陽改革大作戦!!』
18/30

南陽改革 大作戦!! ――改革狂想曲 昼食時――

皆様、大変御無沙汰致して誠に申し訳ございませんでした。駄目作者の堕落論でございます。


ほぼ二カ月ぶりに投稿させて頂きました。長期間放置状態となっていた事をお詫び致します。


今回は私に降って湧いた様に職場での昇級試験話が持ちあがりまして、その勉強と実際試験を受けに営業所迄行っていたりしていましたので全く此方に手を付ける事が出来ませんでした。学生時分の試験等であるのならば余力を残して小説等も書けたのでしょうが、如何せん自分の給料に直結する事ですので疎かにする事も出来ない訳で、雇われ店長の堕落論、今回は頑張って参りました。取り敢えず本日結果が発表されまして無事に上級スタッフとして認証されました。これで今後自分で店を持つ時に多少資金面で優遇措置が受けれる事となるのと現在の店での給料がupします。良かった良かったwww


と、言う訳で個人の都合で勝手にストップしていましたが、また開始させて頂きます。病気や私事で中々進まない小説ではありますが宜しければ今しばらくお付き合い頂ければ幸いかと思います。



――― 昼過ぎ  南陽城の繁華街にある飯店にて ―――





え~と、物凄く久しぶりな気がするのですが皆様お元気でいらっしゃいましたか…………? まあ、前回の話のヒキで、伯言さん絡みで色々とありまして。伯言さんの精神攻撃と、春日さんの物理攻撃とで私のHPは限り無く0に近い所まで削りに削られてしまいました。そこまでの話の流れはOKですか?


で、その削られたHPを多少也とも回復させようと思い、春日さんの鉄扇を受けてズキズキと痛む腹を押さえて只今昼食を取りに優希さんと一緒に街に出て来た訳なのです。しかし確か古代中国って基本的に官吏は役所内の敷地に住み込み状態だった筈で外食などは出来なかったんじゃなかったでしたっけ? 流石は恋姫世界です、現代の官公庁の様に昼時に南陽城から官吏の方々が次々に城下に昼飯を食べに行かれます。





私達は昼過ぎだと言うのにあまり活気のない街を観察しながら通り抜け、南陽の街では唯一、行列が出来ると評判の飯店に足を運びました。混雑していないかどうかが心配でしたが、取り敢えずピークは過ぎていた様で、店の外から見る限り、忙しそうに立ち働きながらも店主や従業員の娘さんの顔には、多少の余裕が見てとれましたので開けっぱなしの入り口から店内に入ります。


「いらっしゃいませっ!! 奥へどうぞぉ」


私が、従業員の娘さんの案内で店の奥へと入って行くと、店の奥からいきなり声をかけて来られた方がいらっしゃいます。


「おう。司馬殿ではないか」


「……はい?」


それ相応の広さをもった店内で声をかけられた為に、私が辺りを見回す仕種をしていると、後方から全く抑揚のない声で優希さんが声の発信源を教えてくれます。


「主、前方右斜め奥の円卓」


私が教えられた場所に目を移すと其処には見慣れた女性がいらっしゃいます。しかし優希さん、あまり混んでないとは言え、これだけ騒々しい店内で良く声の位置の特定が出来ますねえ。


「武将ならば当たり前の事」


ああ、そうですか……しかし、心臓に悪いので、声に出した訳でも無い心の内の言葉に、的確に答えて頂くのは出来るだけ止めて頂きたいものですがねえ……


「以降、気を付ける」


「いやいやいや、だからそれを止めて下さいって言ってるんですが……」


聞き慣れた声の主の位置を特定する、ほんの少しの間に優希さんと冗談の様な会話を交わした後に、ここ数日で見慣れた女性に声を掛けます。


「これはこれは、公覆さんじゃあないですか」


「おう」


私が黄蓋さんの姿を見つけて、座られている席まで近づくと黄蓋さんは機嫌良さそうに御自分が持たれている酒器をあげられました……ってこんな時間から呑んでおられるのですか?! まあしかしそれも彼女らしいと言えば、らしいと変に納得をした私に、黄蓋さんは屈託のない笑みを浮かべて


「どうしたのじゃ? 二人とも、そんな所に突っ立っとらんで此処に座ればよかろうて……」


「ああ、それではすいませんがご同席させて頂きます」


「失礼」


別段、断る理由も無い私達は、黄蓋さんに招かれるままに席を共にします。まあ何となく予想出来た事ではありましたが、黄蓋さんの卓上には大凡、女性の方一人で食事をとっているとは到底思えないほどの料理の皿と、夥しいほどの、空となった酒器が積み上げられています。我々も菜譜を見て何品か注文して昼食を取っている間にも黄蓋さんは、快調に酒の甕を空けて行きます。


「ごくっ、んっ……くっ……ごくっ……ごっく……ふはぁ~っ……いやあ全く良い気分じゃ。これも大方は司馬殿達のおかげじゃのお……あまりあからさまには言えぬが、お主達が此処での改革を始めなんだら我々は、今暫く客将扱いとは名ばかりの鬱屈した日々を過ごさねばならなかった筈じゃからのお……」


「それはどうでしょうかねえ……貴女達の様な実力のある方々でしたら我々が抜擢するまでも無く、今後益々混迷を深めて行く時世に功なり、名なりをあげていたかとは思いますよ……」


「ほう……えらく司馬殿は我々の事を買っておられる様じゃのお。そう言えば……公瑾達が話していたのじゃが、貴殿は洛陽から態々派遣されて迄、南陽で袁術達を相手にする様な小物達では無いらしいではないか」


「ん~どうでしょうねえ……確かに我々は司徒の袁次陽様配下の諜報機関を兼ねた実行部隊であって、表向きには三公に政策を立案する事が出来る立場にはありますが、その事だけで我々が特別な集団と言う訳でもありますまいに……寧ろ、どちらかと言えば袁家のゴタゴタに巻き込まれる事が前提の気苦労が絶えない部署なのですがねえ」


「しかし、ここ南陽での貴殿達は決して気苦労の絶えぬ集団には見えぬがのお」


黄蓋さんは杯を傾けつつ私達に意味深な笑みを浮かべて視線を送って来ます。


「まあ、公覆さんなら私が態々言わずとも御察し頂けるかとは思いますが、洛陽の伏魔殿に住まう魑魅魍魎を相手にする事に比べれば、南陽の御気楽極楽主従の相手などは息抜きの様な物です……ただ」


「ただ……なんじゃ?」


私の言葉に釣られる様にして身を乗り出してきた黄蓋さんの耳元に素早く口を寄せて、周りには決して聞こえぬ声で呟きます。


「ただ……本当に此の地の仕事で私達にとって難しい事は貴女方孫家に、この南陽を袁家からの簒奪では無く禅譲という平和的な形で手中に収めて頂いた後、如何に素早くそして周囲の豪族達や住民達との軋轢無く江東、江南の地の統治者になっていただけるかと言う事なんですがね」


「なっ……?!」


それまでの心地好い酔いが全て吹っ飛んだように黄蓋さんは瞬時に武将としての顔つきとなって私との距離を取られます。それを見た私も出来るだけ声を押し殺して


「別に今更驚かれる事では無いでしょうに……先程も言いました様に我々は諜報機関としての側面を強く持っていましてね、例えば、此処南陽に駐屯させられている以外の孫家の方々が秘密裏に寿春や建業辺りで行動している事も、我々は把握しているのですよ」


「貴様っ……ぐっ!」


恐らく孫家の他の方々の動向を私が知っていた事に対する、黄蓋さん自身の純粋な自己防衛本能であったとは思われますが、円卓下にあった刀剣を掴もうとしたその手を、優希さんが一瞬早く動いて黄蓋さんを拘束します。


「ええい、離せ、離さぬかっ! 張儁乂っ! くっ、何と言う力じゃ」


「公覆様、お気を鎮めて。主は別に貴女方に敵対する気は毛頭ない……筈?」


「いやいや、なんで最後が疑問形なんですか優希さんは……孫家に対して私が敵意など持つ筈が無いでしょうに全く……」


黄蓋さんは優希さんに背後から抱きしめられた様な状態となり、どうにも動きが取り辛くなっているようですねえ。しかし優希さん? 何処をどのように捕まえれば今の様に女性同士がけしからぬ行為に及んでいる様に見えるのでしょうか? 全く……羨ましい。


「主、不謹慎っ!!」


ええっ!? 読心術…………って、先程のネタをまだ引っ張るのですか? まあそれはそれで此方に置いといて……多少は黄蓋さんの動きも大人しくなってきたようですね。


「さて、公覆さん。すこしは落ち着いて頂けましたか? これ以上この場で騒がれますと、流石に退席を命じられる気がして来るので……」


「くっ!! 何を言うか孺子っ!!」


ああ……前言撤回です。全く大人しくなっちゃいませんでしたよ、この方。しかも言うに事欠いて孺子って言っちゃいましたね私の事を…………


「別に言葉の用法としては誤りは……無い。基本的に【孺子】とは子供、童の事を言うが、公覆様から見れば主なぞ正しく孺子。しかし公覆様が使用した【孺子】は別の意味として未熟者、青二才の意味も有る。童貞でヘタレな主ならば寧ろ後者の意味に於いて的確な表現かと思われる……」


「いや……だから優希さん、貴女は何故、その無駄に高性能な読心術で私に強烈な精神的攻撃をして来るのですかねえ……いい加減本当に私落ち込みますよ」


「しかし、真実はいつも一つ……主のヘタレ加減は充分【孺子】の言葉が当て嵌まる。これは、華炎に春日、それと洛陽の袁次陽様も了解済み」


「ちょ、ちょっと待って下さい、優希さん。貴女、今何て仰いましたか? 華炎さん、春日さん迄は良しとしても、何故そこで袁次陽様のお名前まで出て来ますかっ!?」


「おいっ……」


「主達が南陽に出発する前夜に秘密裏に催された主に女性達だけの宴の際に、参加者全員で確認した事……出席者には我々部局の者と、袁次陽様、袁周陽様、尚書郎の王允様、袁本初様に文醜と顔良、それに曹孟徳様と夏侯姉妹……全ては袁次陽様の肝煎りで集まった者達」


「何ですか? その絶対に参加したくない様な女子会は……それにその様な宴が開催された事など私は聞いてませんよ」


「おいっ……」


「聞いて無くて当たり前。元々、この催しは主には内緒の事。何故ならこの催しは弱点の一つも晒さない主を皆で寄ってたかって弄ろうとして計画されたもの。故に、当事者には絶対に知られない事が大前提」


「いやいやいや、何が大前提ですか……結局貴女方は、出発前夜で溜まっていた政務を死ぬ気で片付けていた私を置いて、皆で呑んで騒いでいたと言う事ですか?」


「その認識で間違いないっ」


間違い無い……じゃあないでしょう、優希さん。それと何故貴女は、いつもどうりのドヤ顔で私に得意げにしますか。しかし、私の知らない内に、次陽様や周陽様に留まらず孟徳さんや本初さん果ては顔良さんにまで……うわぁ~っ、次回合った時に私はどういった顔をすれば良いんですか?


「おいっ……と、言うに、ああもうっ!! 貴様等、もしかして儂の事を忘れとるのじゃなかろうのお」


どうも先程から私達の話に割り込んで来る声がすると思ったら黄蓋さんでしたか、いやあ、確かに貴女の存在を半ば忘れてましたよ。


「あぁ~公覆さん。誠に申し訳ございませんねえ。ちょっと私の同輩が私の想像の遥か上を突っ走って行って、私を貶めている様なので、この辺りでキッチリと話だけは付けておかないといけないので……出来れば孫家絡みの御話はその後にでもして頂ければと思いますが」


「なっ、なんじゃとぉっ……貴様……」


「まあ、落ち着いて下さい公覆さん。先程から申し上げている通り我々にとっては現在、貴女達孫家の行動は全て織り込み済みの事柄であって、一々目くじらを立てる様な事では無いのですよ。それに我々は最終的に貴女達孫家が江東、江南の地を治めて頂ける事が現時点では最良だと思っておりますので、貴女達が秘密裏に行動している事を咎めだてしようとは全く思っておりません」


私は目で優希さんに黄蓋さんの拘束を解く様に促す一方で、黄蓋さんには諭す様な口調で話をして行きます。勿論周りの他の人達には聞こえない様な声で話す事もお互いに忘れてはいませんよ。


「なんじゃそれは、気に入らんのお……まるで儂等が貴様の掌で踊っている様ではないか。その様な事が知れれば公瑾達が……いや公瑾達だけではなく、間違い無く策殿ですらもお主達に牙をむくぞっ。それでもお主達は良いのか?」


黄蓋さんは、射殺す様な強い意志を籠めた視線と確固たる決意を籠めた声音で私に問いかけます。


「ええ、そうですね。伯符様の性格の事を考えると『はいそうですか』って感じにはならないでしょうねえ。しかし仮に孫家の方々全員が我々に牙をむかれるにしても現状では如何なものでしょうか? 今の貴女方の力では、仮に乱を起こされたとしても鎮圧するのにそれ程手間も掛からないと察せられますがねえ。その事を考えれば今は余計な事を考えずに力を蓄えられて行かれるのが最善なのではないでしょうか」


「くっ……それはそうじゃろうが……しかし、それでは我々が全面的に貴様等の施しを受けている様ではないか……」


「施し? 我々は貴女方に『施し』を与えられる程、傲岸不遜ではありませんよ。どの様な言葉なら理解して頂けますかねえ……ふむ、良いですか公覆さん。貴女方孫家は前頭首、孫文台様の横死によって袁家の客将扱いを甘んじて受け入れねばならなくなっていますよね」


「何を今更……」


「しかし、乱世の足音が近付いて来ている今、これに乗じて貴女達が自由に行動を起こす事は現状の立場では非常に困難と言わざるを得ませんね。ですから今回我々が貴女方に手を貸している理由は、近い将来に大きく羽ばたく可能性を持った貴女方孫家が、この乱世に乗り遅れない様にする為……というのは如何でしょうか?」


「儂等がこの乱世に乗り遅れない様にする為じゃと……? その様な綺麗事を並べられて儂等が納得すると思うておるのか、貴様は?」


「別に綺麗事を言っている訳では無いですよ。勿論我々が貴女方に手を貸すのは無償……と、言う訳ではありません。寧ろ孫家に対する貸し……と、言う所ですね」


「じゃろうのお……一体何が望みじゃ? 儂等の貴様に対する服従か?それとも……」


黄蓋さんは改めて私を睨み付ける様に容赦無い視線をぶつけて来ます。


「はあ……服従? 何か勘違いされてらっしゃいませんか? あの伯符様が華炎さんの下で大人しくしていると御思いですか? 私はこれ以上揉め事の種は要りませんよ」


「なっ…………」


「私が貴女方に臨む事は、此処南陽城を皮切りにして、江東、江南の民達が今日よりは明日、明日よりは明後日と言う未来に希望が持てる様な政を貴女方にして欲しいのですよ……残念ながら、今のままの公路様では何百年経とうが、そのような政は出来ようが無いですからねえ」


そう、今のままの袁術様では無理でしょうねえ……張勲さんも世話係としての能力が全く無いとは言いませんが、現状ではただ甘やかすだけですからねえ。理想的なのは我々の下で再教育を行うのが一番良いとは思えるのですが……さあ、今後の事を考えるとどうでしょうかねえ。


「ですから、諸々の事を踏まえ、民達の事を考慮すれば一刻も早く此の地に安寧を齎す為にも、孫家の方々には思う存分実力を発揮して欲しいのですよ。今後、貴女方が無事に独立し、江東、江南の地を治められる様になるまで、孫家に対する我々の貸しは有る時払いの催促無しって所で如何ですか?」


「司馬殿……お主」


私の話を聞いていた黄蓋さんから剣呑な気配が完全に消え去り、一気に身体中の力が抜けました。それと同時に黄蓋さんから離れて私の背後に回った優希さんが口を開きます。


「公覆様、主の言った言葉を信じられないのは当たり前。誰もが己の事しか考えぬ今の世に、夢見る様な綺麗事を理路整然と話す主は普通に考えれば、詐欺師か大馬鹿者としか思えない」


ええっ…………私は優希さんにその様に思われていたのですか? ちょっと目から青春の汗が一滴流れそうですよ……


「でも主は自分が口に出した事を絶対に反故にしないし、責任を持って全てをやり抜く意志を持つ者であり、私が主と認めた唯一の男。ただ、ちょっと抜けている所や朴念仁な所が多々見受けられるが、それらを含めても稀代の英傑と思っても差し支えは無い……筈?」


「だから、なんで最後がいつも疑問形なんですか? それと誉めるか貶すかどちらかにしていただけませんかねえ」


「ふふふっ……ははははっ……」


優希さんの言葉にやれやれといった表情で文句を返していると黄蓋さんが急に可笑しそうに笑い出しました。


「ははははっ……しかし司馬殿、お主は不思議な御仁じゃのお」


「私が…………不思議ですか?」


「うむ……屋敷で初めて貴殿を見た時は、失礼だが人の噂程当てにならぬものは無いと思ったものじゃ。何故なら我等孫家が客将の立場であったとはいえ手を拱いて見過ごすだけであった南陽の酷い状況を、今迄誰も思いつかぬ様な斬新な案で意図も容易く整理をしていってしまう者が、言い方は悪いが司馬殿の様な孺子じゃったとはのお」


「またもや孺子ですか……孺子はちょっと酷いのではありませんかねえ。まあ私が極悪非道の者とでもなっているよりは幾分はマシですが」


私は黄蓋さんの言葉にやや曖昧な笑みを浮かべて、抗議の意味合いを込めた言葉を返しますと、その言葉が終了する頃合いを見計らったかのように優希さんが黄蓋さんに対して口を開きました。しかし優希さん、貴女何気に杯を空けてますが大丈夫なんですか?


「今の御言葉は、如何に公覆様でも我が主に対して如何なものかと……」


ううっ、やはり何だかんだとは言っても優希さんは私の事を思って頂けるのですねえ。これが華炎さんや春日さんだと黄蓋さんの言葉尻に乗って、更に私に対して酷い事を言って来ますからねえ。


「それに公覆様。我が主は或る意味孺子などでは無い。主の英知を元にして此処一年程で手掛けた洛陽での様々な施策は未だ日の目を見てはいないが、国の基盤を立て直し将来的には間違いなく多くの民を救う事が出来る筈」


おおっ!! あの優希さんが純粋に私に対しての誉め言葉だけを喋ったぁ……やはり私の本当の味方は優希さんなんですねえ。


「確かに我が主は伯符様の様な英雄豪傑の類では無い。しかし智謀においてはこの国の誰よりも才気煥発であり、英傑と呼ぶに相応しい。ただ……」


んっ……ただ…………? なんですか優希さん、その気になる間は。何故かまた頭の中で非常ベルが鳴り響いているのですがね。


「ただ……我が主の明敏な頭脳は、この国の未来の為、或いはそこに住まう弱き民達の為のみに力を発揮するものであり、それ以外……例えば主自身の事、特に我々配下の者達の心の機微については我々周囲が驚くほど鈍感!!」


「いやいや、優希さん。いきなり何を言い出しやがってますか? まさか貴女、酔いが回ってるんじゃあないでしょうね?」


「ほう……面白そうな話じゃのう」


ほうら、この様な話に喰い付いて来なくても宜しいのに、思いきり黄蓋さんが喰い付いちゃっているじゃあないですか!!


「これほどまでに我々部局の女性達が、あからさまに主に対して性的な接触を試みようとしているのに、いつもいつも主は全く気付かないっ!!」


ちょっ、ちょっと優希さん、貴女完全に酔いが廻ってますよね。いつもの深い憂いを湛えたその瞳が、今は物凄く私を非難した目になってますよ……ってか、何故か話が凄え恥ずかしい話しに突っ走っている様な気がするのですが


「おおっ、司馬殿。これを見てみぃ……」


「何ですか……黄蓋さん、この非常時に?」


「この酒甕なんじゃが……儂の前に並んでおる甕よりも儁乂の前に並んでいる甕の数が倍以上なんじゃが……」


ふと、優希さんの前を見ると確かに空になった酒甕が大量に置かれています。まさか、あれだけごたごたしている間にも貴女は黙々と呑んでいたのですか!?


「主っ!! 私、脱いだら凄いっ!! なんなら今此処で主との既成事実を……」


「はぁっはっはっは……楽しい主従じゃのぉっ……先程迄の遣り取りが嘘の様じゃで……」


「ちょっと待てぃっ!! 一体何をするおつもりですか優希さんっ。いつものドヤ顔で衣服を脱ごうとしちゃダメですよっ!! ああっ、黄蓋さんっ。何をどさくさにまぎれて残りの酒をかっ喰らってやがりますかっ!!」


周りで食事をしていた客の姿は今はもう誰一人としていません。厨房から店主と手伝いの女の子が顔だけ出して縋る様な視線で私を見ています。円卓上の酔っ払い二人に、キリキリと痛む胃を押さえながら場を治めようと奮戦するのは孤立無援状態の私一人。


「ああっ、もうっ……理不尽だぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


私の魂の慟哭は南陽の眩しすぎる青空に吸い込まれて消えて行きましたとさ……

あ~ぁ、まあそのなんですねぇ、今気付いたのですが私次回の投稿の事を自信満々に「~日に更新しまあす」って発言すると必ず遅れる……それもちょっとやそっとでなくて1~2カ月単位で遅れるんですよねえ。う~んちょっと考えないとなあ。


と、言う訳で次回の御話は再度 仲達VS伯符です。宜しかったら御付き合いの程を……


それでは次回の講釈で……   堕落論でした。

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