南陽改革 大作戦!! ―― 孫家にて ――
こんにちわぁ、駄目作家堕落論です。
またもや2週間以上あいてしまいまして申し訳ありません。
相変わらず話しが進みませんね(苦笑)一体何時になったら次の黄巾編に入れるのでしょうか……
――――荊州滞在十日目 孫策邸内の庭にある亭――――
どうもぉ~、なんとなく前回、前々回と主人公らしい扱いをされて、多少也とも増長している司馬仲達です。まだまだ2012年春先は暖かくなったかと思えば、寒い日が戻ってきたりして難義しているらしいですが読者の皆様は如何お過ごしでしょうか……? 前回の引きで、私と華炎さんは共に伯符さんにお目通りをする事となりました。
ええ、伯符さんとは恙無く御会いする事が出来ましたよ。まあ、周瑜さんが一緒にいらっしゃったのですが、これも私的には充分想定範囲内の事でしたし、後々に黄蓋さんと陸遜さんを交じえられての会談も、和気藹々と迄は行かなくとも緊張感等は殆ど関係無く行われました。それと我々の立場も袁家差配役とは言え、決して本初さんや公路さん側では無く、寧ろ孫家側寄りの立場である事も懇々と説いて了承して頂いたうえで概ね友好的な雰囲気の中、会談は進んで行きました。
会談はあまりにも私が思い描いていた通りに進み、伯符さんを始めとした孫家の重鎮の方々にも協力体制を約束して貰い、その見返りとして、此処南陽の都尉を臨時的に伯符さんに受けて頂く事迄、話しが纏まりました。
何か、ここ数話ぐらいを見ていると、私に主人公補正がバッチリと入っていますよね。此処はこの会談もスパッと簡潔に終わらせ、ややオシているタイムスケジュールを適正値に戻して、尚且つ、孫家の方々に「司馬仲達って、なんてスマートに仕事を片付けるんだろう……素敵っ!! ポッ!」なんて展開になったりなんかして………ヤッフゥ~ww
…………などと、調子にのって考えていた時期もありましたね…………スンマセン、自分調子コイテました。
ハッキリ言って、この馬鹿作者は、黄巾の乱迄は私に道化師の役を宛がいやがるみたいですね…………それもH×Hのヒ○カの様な格好良くて愁いを含んだ道化師では無くて、ドタバタして観客の笑いを誘うと言う道化師本来の役を……
で、何故今更この様な愚痴をこぼすのかと言えば…………今現在、リアルタイムで伯符さんと、華炎さんの御二人が創り笑顔で睨み合っておりまして、屋敷の応接間には季節外れ……ってか、南陽では絶対に在りえないブリザードが吹き荒れ、それを遠目に見た孫家の方々は「あぁ~ぁ、やっぱりやっちゃったか……」的な苦笑いを浮かべるし、私の胃は「あっ、これ潰瘍の一つも出来たかな…………」的にキリキリと痛み出す始末となっているからです。
しかし、何故こうなったし…………?
「…………以上で、我々が、此処南陽で今から行おうとする改革の趣旨は御理解頂けたようですし、それに伴い、何故この改革に孫家の方々の御助力が必要なのかも同じく御理解頂けたかと思いますが如何でしょうか? 公瑾さん?」
「ああ、大体は把握出来たが、まだ懸念が一つ、二つ有る……貴公が提唱する案通りに我々が協力するとしよう。恐らくは貴公が立てた計画通りに事は推移するのであろうが、改革そのものが終了して、貴公達が洛陽に帰った後、袁術と張勲がそのままであれば結局は元の通りになってしまうのではないのか? そしてその場合に貴公達に協力した我々の立場が微妙なものになるのではないのか?」
「公瑾さんの懸念も尤もな事ですね。それについては取り敢えず、楔を打ち込んでいます。まあ、楔がどういうものかについては、我々が洛陽に戻る前にキチンとした形で公瑾さんにお伝えしますよ。聡明な公瑾さんの事ですから粗方御分かりかも知れませんがね……」
「さあ……? 何の事を言っているのやら……」
そう言って公瑾さんは意味深な笑いを浮かべます。
「しかし、司馬様ぁ~」
「はい、何でしょうか? 伯言さん?」
陸伯言さん……恋姫では言わずと知れたスイカップ保持者のノホホン姉ちゃんです。しかし、何故陸孫さんが恋姫だと呂蒙さんより年上になるんでしょうかね? まあ、そんな事はどうでも良いですが……
「此処まで、司馬様の御話をお聞きしてなんなんですが……何故、此処までして私達孫家に肩入れされるのですかぁ~?」
語尾にポヨォ~ン等と擬音が付きそうな口調で伯言さんが私に質問されます。
「そうじゃ、儂もどうもその辺りが気になるのお。堅殿が生きておられた頃ならいざ知らず、儂自身が言うのもなんじゃが、今現在の儂等は、それこそ袁術や張勲にも逆らえない立場でしかないからのお……」
こちらは黄蓋さんの御言葉……しかし、一体この方、お幾つになられるのでしょうか? ゲーム内で自分の事を年寄りと卑下する割には、肌に張りが有るし、醸し出す色気は一言では言い表せないぐらいのモノがあるし、何よりもその胸ですよ、胸。孫家の方々は、一体何をどうすれば其処まで発育豊かな胸になれるのですか?
「………………」
「痛っ!!」
私の視線が何処に行っていたのかを悟ったのか、私の隣に座っていた華炎さんが、周りの皆に気取られぬ様に全く表情を変えず、私の足を思い切り踏みやがります。
「んっ? 客人よどうしたのじゃ?」
黄蓋さんが不思議そうに私の顔を覗き込み、事情を悟った伯符さんは顔を隠して笑いを噛み殺しています。
「いっ、いえ、何でもありませんよ……え~と、何故、私が孫家に力添えをするかと言う事でしたね……」
何気にズキズキと痛む足を気にしつつ、私は御二人の質問に対して返答します。
「貴女方孫家に私が肩入れする理由ですか、そうですねえ……一番の理由は、私が思い描くこの国の理想形を目指して行く為に、貴女方孫家の力をどうしても貸して頂きたいからですかね……」
「貴殿が思い描く国……」
周瑜さんが興味深そうな目で此方を見て来ます。
「ええ、非常に大それた考えなので、仲間内ならばともかく、この様な場所で詳細を話すのは控えさせて頂きますが、大雑把に一言で言えば、私はこの国の民が明日に希望を持てる様な国にしたいのですよ」
ここで私は一旦話しを止め、目の前にあった御茶を一息で飲み干し、再度卓に着かれている孫家の方々を見回して、ゆっくりと話し始めます。
「恐らくこの場に居られる方々は少なからず御気付きでしょうが、今現在この国では官匪の圧政、盗賊の横行、それに徐々にではありますが国中のあらゆる場所で飢饉の兆候が出始めています。それにも拘らず、本来ならば様々な策を実施して民達を助けなければいけない筈の帝がおわす洛陽に至っては、多くの役人達を巻き込んだとても馬鹿馬鹿しい権力闘争が繰り広げられ、国の民達は無視されていると言っても過言ではありません」
「司馬殿っ!!」
私の喋っている内容が明らかな朝廷の批判である事を察した周瑜さんが咎める様に言葉を荒げます。
「御心配無く……昨日までに此の屋敷内にいる筈の、公路様……いや、張勲さんが放った細作達は全て此方の方で調べた上で我々の手の者にてこの屋敷より退去させておりますので、ここでの話しが外に漏れる事はありませんよ」
「ほぇえ~っ、いつの間に…………」
表情を見ると驚愕をしているのでしょうが、それでも口調はのんびりの伯言さん。
「まあ、南陽に入ってから七日程無視されてましたからねえ……その間に改革の下調べの先に手を付けられる所は全て手を付けておいたのですよ。特に孫家絡みの細作達には私と子孝さんとで話しを通してありますから、余程肝の据わった者でないと此処へは二度と戻って来ないでしょうがね」
「何とまあ……それが真実の事ならば、客人は恐るべき手練の者達じゃのぉ……」
黄蓋さんの感心しきりの声を受けて、多少也とも気分が良かった私はついつい調子に乗って話しを続けます。
「話しが多少逸れてしまいましたね……え~と……確か馬鹿な役人共の辺りまで話したのでしたっけ? で、不敬を承知で言わせて頂ければ、その様な無能で馬鹿な役人が幅を利かせている事自体が、既にこの国の命運も余り長くは無いと思わせるには充分ですしね」
「「「「………………………………」」」」
ありゃ? 何故に孫家の皆様はそんな渋い顔になられているのでしょうか? 私がそう思っていると華炎さん迄もが苦虫噛み潰したような顔をして、私に苦言を呈してきます。
「愛将……此処は我々の『国家戦略情報室』じゃあないんだよ。ずっと君の話を聞いて行動している僕達ならいざ知らず、君の事など殆ど知らないじゃじゃ馬達にその様な話しをしても不審がられるか、下手をすれば官吏に通報されるのが普通だと思うんだけれど…………一体どうしたんだい? 普段の君ならばこんな初歩的な間違いは起こさないと思うんだけれどね」
おろろっ……私とした事が迂闊でしたね。そうでしたそうでした、此処は孫家の屋敷でしたね。
「ああっ、すいません華炎s「ちょっと! じゃじゃ馬って誰の事を言っているのかしらっ!!」ええっ!!」
やはりとは思いましたが、「じゃじゃ馬」と言った華炎さんの言葉に食いつかれましたね。私を諌めた華炎さんの会話の刺に素早く反応した伯符さんが、私の会話に割り込む様にしてきます。しかし、どうでも良いですが伯符さん……貴女、殺気を垂れ流してにこやかに微笑むと言う、物凄く器用な事を良く出来ますねえ。
「おやぁ~、僕は別に貴女の事をじゃじゃ馬とは特定しなかった筈なのだがねえ……そう聞こえてしまったのかな?」
いやいや華炎さん、貴女も現代であるならば今にも孫策様に向かって中指でも立てそうなぐらいの挑発全開じゃあないですか。
「ふぅ~ん……そう言う風に答えちゃうんだ。確か私、この前に城壁で貴女に会った時に言ったわよねえ、私に対しての安っぽい挑発は命が要らないって言っているのと同じ事だって」
傍目から見れば相変わらずの素晴らしい笑顔である筈の伯符さんは、或る意味、華炎さんを威嚇するようにプレッシャーを懸けて来ます。
「確かにそう言う様な世迷言を言っていた様な記憶が有るなあ。でもその時に僕も貴女に言った筈だよ、手加減は出来そうに無いってね」
こちらの華炎さんも本当に惚れ惚れとする様な笑顔で伯符さんに笑顔で語りかけます。しかしこちらも殺気はダダ漏れですけど…………
「ふふふっ……やっぱり私の想った通り、司馬仲達、貴方達は面白いわ。でもだからこそキッチリと仲達がどちらのモノかと言う片だけは付けて於かないといけないみたいね。そうでしょう、曹子孝?」
「はははっ……奇遇だねえ。同じ事を僕も今、貴女に対して想ったばかりだよ、孫伯符殿。こればかりは例え相手が帝であろうとも僕は退かないけれどね」
「私も孫家の行く末の為には絶対に彼の力が必要だと改めて感じたわ。だから私も簡単に貴女達に主導権を取らす訳にはいかないのよ」
寒いっ!! 未だ嘗てこんなにも寒い笑顔を伴った辛辣な言葉の応酬に私は会った事がありませんよっ!! そしてそれよりも何よりも言い争いの趣旨が私の精神衛生上、非常に良くありません。私はシクシクと痛む胃を押さえながら取り敢えず、御二人の間に仲裁に入ります。
「ちょ、ちょっと伯符様も華炎さんも、なんでまた、この前の続きを始めようとしているのですかっ!! あの時とは違ってお互いに敵意なんて無いのは御理解頂けている筈ですよね。それよりも私がどちら側とか一体何の話しですか!!」
「「うるさいっ!!」」
「ハイッ、スイマセンデシタ!!」
片や江東の虎の娘で小覇王とまで呼ばれる孫伯符さん。もう一人は曹魏の陣営にその人在りと謳われた曹子孝さん。後々の世に名を残す程の武将二人から凄まれて、怖ェ~、マジ怖ぃっすよぉ。思わず謝ってしまいましたよぉ……そんな龍と虎の様な対決を、唯、成す術もなく見ているしかなかった私の耳に他の孫家の方達の声が聞こえて来ました。
「ふむ……何やら策殿は楽しそうじゃなぁ」
「やはり黄蓋殿にもそうみえますかな?」
「そうみえるか? と、問うた所をみれば公瑾もそう思うていたのじゃろう?」
「ええ、私の見立てでは、あの曹子孝と言う者は恐らく雪蓮と腕は互角でしょう」
「ほえ~っ、孫策様と互角なんですかぁ~っ」
はああ? 貴女方何をのんびりと言ってやがりますか? どう見たってレフェリーがファイトッ!! って言えば掴みかかりそうな勢いの御二人でございますですよ。
「ああ、そうじゃろうな、儂もその様に思う。客人よ、そう心配するでない。我が主、策殿は嬉しいのじゃよ。客人も知っての通り、此処の所の我等は相当に鬱屈が有ったのでのぉ。その鬱屈を発散させる事が出来る相手を得た嬉しさが、策殿をあそこまではしゃがせるのじゃろう」
そう言いながら黄蓋さんは優しい眼差しで伯符さんを見ます。
「それに貴殿の連れである曹子孝殿も、今はそれ程本気ではない様に見えるしな。まあ、同類の事は同類が一番良く理解しているという事だ……多少悔しくはあるがな」
周瑜さんはほんの少しの悔しさを言外に滲ませて、これも優しい眼差しを伯符様に向けています。
「確かに、良く良く見れば、先程迄の剣呑な雰囲気は幾分和らいでいるようですね」
「司馬仲達殿」
周瑜さんは姿勢を正して、私の名を呼びます。
「我々孫家は、正直に言えば貴殿の器を図りかねている。洛陽での貴殿の風聞は余りにも荒唐無稽な事が多々あって推測が出来ぬ。しかし今日非常に短い時間ではあったが貴殿の人となりを拝見させて頂いて、我々は貴殿を信用するに足る人物と考えられる様になった。どうか今後とも誼を通じて頂きたいが如何?」
「孫家の柱石である周瑜殿にそう言って頂くのは誠に光栄ですね」
私も姿勢を改めて周瑜さんに揖礼をして応えます。
「不躾な我々に対して丁寧な御挨拶を賜り、誠にありがたい事でございます。我々の方こそ、今後末永く誼を通じて頂きますようお願い申し上げます。後程正式な書類等をお持ちしますので細かい事は改めてその時にと言う事で……」
「了解した……貴殿達と強力する事はハッキリ言えば劇薬を呑むに等しい行為だが、我々孫家にとっては今現在それが尤も有意義な事なのだと思う。この先行き不透明な時代にお互いに生き残っていける様にして行きたいものだな」
そう言い終えた周瑜さんはジッと私の目を見つめていましたが、急に何かを思いついた様にニコニコしながら私に話しかけて来ます。
「ところで、司馬仲達殿。我々が協力体制を組んだ記念と言うか何と言うか、まあ、初めての仕事として提案が有るのだが受けて貰えるだろうか?」
「はあ……提案ですか?」
何故でしょう……私の頭の中で非常ベルが鳴り響きます。確か以前にもこの様な事が有った様な気がしてならないのですが……
「どうだ受けてもらえるかな? 司馬仲達殿」
「はあ、私で出来る事なら喜んで承りますが……一体どういう仕事でしょうか?」
「なあに、簡単な事さ。あそこで今にも掴み掛らんばかりに顔を寄せている、困った二人を落ち着かせて来てくれまいか」
「はいぃぃぃっ??」
「どうした? 素っ頓狂な声を出して」
「いや、いやいやいやいや、いや、絶対無理ですからっ!! って言うか、いくらなんでもあの状態の中に突っ込んで行くなんて無謀にも程が有るでしょう」
なんであんな ゴ○ラvsキング○ドラ の戦いの中に突っ込んで行かなきゃならないんですか私はメカゴ○ラでもスペースゴ○ラでもないんですよぉっ!! 十中八九どころか十中十五は死にますって……
「しかし今後、協力体制を組んで行くなら私や黄蓋殿がいない場合に雪蓮を貴殿が御さなければならない事態も充分起こり得るのだがなあ……」
周瑜さんは、どうしたこのぐらいも出来ないのかといった様な顔で私を見てきますし、黄蓋さんや陸孫さんまでもが期待を込めた……と、言うよりは何か見世物でも見る様なワクワクした目をしています。ああ、何か身体ここに極まれりって感じですねえ……
「分かりました……気絶したら南陽城迄、孫家の馬車ででも送ってくださいね」
覚悟を決めた私は、周瑜さんに精一杯の嫌味を言った後に怪物二人の間に強引に割り込みました。結果ですか……ハハハ……割り込んだ瞬間に記憶が綺麗に吹っ飛んで気が付いた時には、悲しい事に南陽城の部屋でしたよ。
ああ勿論、今日に予定されていた公路様主催の宴は中止で、また後日開催となりました。
どうも駄文御読み頂いて誠にありがとうございますm(__)m
取り敢えず孫家とのパイプはつながりました……後は南陽ドタバタ劇を書いて黄巾編だぁっ!!
はぁ~っ……確か以前もそんな事言っていた様な気がするなあ(泣)
まあぼちぼちと頑張って行きたいと思いますので応援の方を宜しくお願い致します。
それでは次回の講釈で……堕落論でした。