表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元Sランク冒険者は、新人!?冒険者として、お一人様を満喫したいそうです  作者: 枝豆子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/108

93 杖っぽい枝とバフと私

 合同演習、二日目スタート。昨日の素材採取依頼をクリアした冒険者十名で、目的地となるゴブリンの巣まで一緒に向かう。


 査定員として、ギルドからは、ルーカスとジェシカが同行するけど、非戦闘員ということもあり、私たちが護衛を兼ねて行動する必要がある。


「ジェシカさん 俺たちが 絶対に守って見せます」

「いや、俺だって 昨日は、素材回収だったからあまり役に立ちませんでしたが、護衛なら任せてください」

「あら そう? 頼むわね しっかり見届けるから」


 ジェシカの隣を歩く、付き添いのアリオスは、冒険者たちが気合いを入れて宣言する言葉をあくびをしながら黙って聞き流す。バートは、ルーカスの隣で、地図を広げながら、ルートを再確認している。


「師匠も バートを見習って もう少し真面目に歩いたらどうなの?」

「ああん おまえたちの課題じゃないか なんで俺が気合いを入れる必要がある」


 いやいや、ジェシカの横で、あくびをしてるだけで、他の冒険者たちは萎縮するって。ほら、蜘蛛の子が散るみたいに前に行っちゃったじゃん。


「さっきも言っただろ 俺が出る時は、おまえらが全滅した時だって」

「あー、そんなこと言ってたね」


 私が歩きながら、右手に持った木の枝をふりふり、ぶんぶんと振ったり、上に掲げたりしているとアリオスが木の枝に興味を持ったのか尋ねてきた。


「で、嬢ちゃんは、さっきから何遊んでんだ?」

「遊んでないよ 杖っぽい枝を拾ったから、感触を試してるんだよ」

「あらあら それ杖なの?」

「そう、杖 モナリィが、魔術師は杖を持った方が良いって言ってたから」


 私の発言を聞いたモナリィが、慌てて大きく目を開いた。


「やだ やめてよ アルさん 私は、出発の準備はしなくていいのって聞いただけじゃん アリオスさまも前で、変なこと言わないでよ」

「変なこと?」

「アリオスさま 違うんです 私、木の枝をアルさんに別に勧めてませんから 絶対に誤解しないでください」


 私たちのやり取りを聞いて、アリオスが「ブハッ」と吹き出した。口元に拳を当てて、顔を背けて肩を震わせている。


「師匠! ヒドイ 私たち真剣なのにそんなに笑うなんて!」

「ブハッ ヒドイのは嬢ちゃん おまえだ 俺を笑い死にさせる気か!」


 なんて、ヒドイ言葉だ。まるで私一人が遊んでるみたいに言うなんて!アリオスだって十分ピクニック気分じゃないか! バートみたいに、せめて仕事をするフリでもしたら良いのに。


「アリオスさま 違うんです 違うんです」


 モナリィが、顔を赤くさせて、俯きながら左右にに首を振る。両サイドに編み込みを入れたツインテールが顔の動きに合わせてふりふりと揺れる。


「大丈夫 モナリィ 師匠には私がガツンと言ってあげる!」

「アルさーん お願いだから これ以上私を巻き込まないでぇ」

「あらまあ、アルちゃん モナリィと仲良くなったのね」

「うん ジェシカさん ほら、このサイドの編み込みもモナリィがしてくれたんだよ」


 モナリィ 安心して。アリオスは、後で私がちゃんとお説教してあげるから。


「ふふん 師匠 この枝は すごいんだからね」


 てくてくっとジェシカたちの前に出て、振り返る。そして、木の枝の先を、ジェシカとルーカスに向けた。


「術式展開 物理攻撃無効 状態以上無効 魔法攻撃無効 即死魔法無効 体力強化 毒耐性強化 スピードアップ」


 木の枝の先から淡い緑色の光りが飛び出し、ジェシカとルーカスを包み込む。突然私の魔力に包まれたルーカスが、びっくりして地図を落とした。


「な、なな、なんだこりゃあ?」

「あらまあ 身体がすごく軽いわ」


 えっと、ジェシカとルーカスって護衛対象だよね。なら、魔物に襲われないようにしとけば良いじゃん。


「アルさん 非常識すぎだよ どんだけ強化なバフかけてんの?」

「えっと 師匠が仕事をしないから?」


 バートが驚くルーカスに、「ウチのアルが驚かせてすみません」と謝っている。バートそんなフォローは、いらないよ?


「おいおい、嬢ちゃん 俺にはかけてくんねえのかよ」

「師匠は、自分で身を守れるでしょ? せめて自分のことは、自分でやろうよ」

『ホッホー』


 何甘えたこと言ってんだよね? やれやれと肩をすくませる。アーくんだって、そうだ、そうだって言ってんじゃん。


「モナリィ やべえ このままだと昨日の二の前だ」

「そうだね レン 気合いを入れるよ」

「おう!」


 まだ、何もしてないのに、レンとモナリィがヒソヒソと話す。彼らは、真っ直ぐに前だけを見つめていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ