表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元Sランク冒険者は、新人!?冒険者として、お一人様を満喫したいそうです  作者: 枝豆子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/108

84 挑発と課題と私

 合同演習に参加する24名の冒険者たち。エルビスの開会の宣言を聞いて、やる気スイッチが入ったようで、あちらこちらで、雄叫びが上がる。


「うぉおおおお 俺は、やるぜ 新人王になってやる!」


 私の隣でも、雄叫びあげてる人いました。レンが、両手の拳を握りしめ、気合いを入れる。


「諸君 健闘を祈る!」


 エルビスの開会宣言が終わると、ジェシカが一歩前に出た。


「みなさん おはようございます 今日は、本年度Cランクに昇格された冒険者の合同演習の開催日となります 参加者の方には、事前に担当職員から説明があったと思いますが、この合同演習は、みなさんの本来の実力を 我々、ギルド職員が正確に把握させていただくことも目的のひとつです」


 ジェシカは、一人一人の顔を確認する様に見ながら、説明を続けていく。


「冒険者は、魔物を討伐したり、時には護衛対象を守り、賞金首となった犯罪者を捕獲したりと危険なお仕事もあります 我々もみなさまの実力に見合ったお仕事を依頼させていただくにあたり、実力を確認させていただく必要があります」


 挑発とも言えるジェシカの説明に冒険者たちがどよめき始める。


「俺たちの実力が信じられないのかよ!」

「私たちだって、数多くの実践を積んできたわ!」


 ただでさえ、血の気の多い冒険者たちは、黙っていない。ジェシカは、そんな冒険者たちの反応を見てにっこりと笑みを浮かべる。


「私は、あなたたちが優れた冒険者だと信じてるわ だから、その証明を見せてください」

「あったりまえだ!」

「俺が、この中で、一番強い」

「私は、すぐにSランクになる魔術師よ」


 冒険者たちは、思い思いに言葉をあげる。


「それでは、最初に課題を伝えます ここにいる冒険者の方々で、ジュレルの丘を知らない人はいますか?」


 ジュレルの丘は、マローの街の北門から出てから通常であれば、半日ほど歩いた距離だ。


「ジュレルの丘を知らない冒険者は、モグリだぜ」

「知らないわけないじゃん」

「みなさん、ご存じですね ああ、よかった」


 ジェシカが、パチンと両手の手のひらを合わせる。


「それでは、今から、ジュレルの丘へ向かってください そうですね、13の鐘が鳴り終わるまでに到着すること これが、最初の課題です サンハイ スタート」

「ハァ!?」

「ジェシカさん どういうこと?半日はかかる距離じゃない」


 ジェシカの言葉を聞いて、直ぐ動き出した者、課題の内容に噛みつき始める者、チームを組んで相談を始める者、冒険者ごとに動きはさまざまだ。


「アル、俺たちは、お前にも負けねえ」

「アルさーん ジュレルの丘で先に待ってますねぇ」


 モナリィが手をヒラヒラさせながら、レンと共に訓練所から立ち去った。彼らも、直ぐに行動を移せるということは、13の鐘が鳴り終わるまでに到着する自信があるのだろう。


「アーくん 私たちも行こうか」

『ホッホー』


 レンとモナリィは、先に待っていると言った。私より早くジュレルの丘に到着する自信があると言うことだ。ふと、ギルド職員と一緒にいるアリオスと目が合った。アリオスが、私に向かって親指を立てる。


「わかったよ ジェシカさんにも頼まれちゃったからね」


 私は、アーくんと魔力を同調させる。私一人だから、術式の構築も簡単だ。私の足元に魔方陣が浮かび始める。


「アクセス・ゲート」


 皆が見ている中、私は、訓練所から姿を消した。



『ホッホー』


 咲き誇る花の香りが鼻先をくすぐる。アーくんの声を合図に私は、目を開ける。何度も通ったジュレルの丘。アリオスの休憩スポットである、一本の大樹の側に立っている。


「さて、ギルド職員さんが、いるはずなんだけど?」

『ホッホー』


 大樹から100メートルくらい離れた場所に、テーブルとテントが設置されているのを発見した。たぶんゴールは、あそこじゃないかな?


「職員さんが、いないねぇ テントの中かな?」

『ホッホー』


 取り敢えず、テーブルに向かって歩いて行くと、テーブルの近くで大の字に寝転んでいる職員を発見した。


「おーい」

「………」


 返事がない。ただの屍ではなく、お昼寝中のようだ。


「おーい」

「……… 」


 返事がない。起きる気配がない。

私は、肩を揺らして声をかける。


「おーい」

「……… まだ、早いだろ」


 ほほう、彼を起こすのも、課題の一つということですね。


「わかりました ウォーターボール」


 職員の真上に、大きなウォーターボールを展開、からの、バッシャーン。


「ガハッ な、何が起きた!」


 大量の水をぶっかけられ、起き上がった職員さん。キョロキョロと当たりを見回し、私と目が合った。


「おはよう お兄さん」

「……… 今、何時だ?」

「やだ、寝ぼけてる? 10の時から半刻ってとこじゃないかな?」

「はあ? まだ、始まったばかりじゃねえか? ってお前誰よ?」


 やはり、寝ぼけていらっしゃるらしい。もう一度、ウォーターボールで、顔を洗うがいい。


「ルーカスさーん 支部から連絡来ましたー ってうわぁ!?」


 テントの中から飛び出してきた、ギルド職員の制服を着た男性が、私たちを見て驚きの声をあげる。


「ガバババババ」

「ル、ルーカスさん 何遊んでるんですか 支部から連絡来ましたよ」


 男性が、ウォーターボールの中でもがいているルーカスを引っ張り出した。


「お、溺れるかと思った」

「ごめんね お嬢さん 僕たち仕事中だから」


 全身水浸しになったルーカスが、私をギロリと睨みつける。


「何度も起こしても起きないからだよ ハイ タオル貸してあげる」

「はあん もっと違う起こし方あるだろう」


 文句を言いながら、タオルを受け取った。


「それで、連絡って何だ?」

「今すぐ、待機 直ぐに冒険者が到着するって」

「はあ? 今すぐって、始まったばかりじゃ……」

「んふふっ」


 二人の職員が、ハッとして私を見る。


「Cランク冒険者のアルだよ ジュレルの丘に到着しました!」


 驚きの声を上げる二人に、私はジュレルの丘到着宣言をした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ