表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元Sランク冒険者は、新人!?冒険者として、お一人様を満喫したいそうです  作者: 枝豆子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/109

64 ハンドルと抱き枕と私

 孤児院の生活環境は、バートとイッチの魔改造によって、格段にレベルアップしているのは間違いない。ジュジュが大喜びしていることから、とても嬉しいことなんだろう。だからこそ、マザーも何も言わずに苦い表情をしてたんだと思う。


「どこって 全部 リズちゃんの魔力制御の調整するために作成したマジックアイテムに決まってんじゃん」


 私の疑問に対して、バートがきょとんとした表情で答えた。どこをどうとっても、主婦が喜ぶ家財アイテムにしか見えませんけど?その証拠に一番喜んでいるのは、エプロン姿が板についてるジュジュですよ。今だって、冷凍冷蔵庫の機能を確かめるべく、手や顔を扉を開けて突っ込んでるくらいだからね。


「これらのアイテムは、全て魔力をエネルギーとして機動しているのは解るか?」

「でも、普通魔石とかで、代用するよね 高価だからこそ貴族とか豪商とか、裕福な家庭にしか買えないと思うよ 無知な私でも、孤児院の予算で賄えるとは、思わないけど?」

「私も最初にそれを伝えたんだけどね その問題は無いらしいんだ」


 苦い表情をしたマザーが、バートの代わりに答えた。フフンと鼻を鳴らしたバートが、腰に付けたマジックバックの中から、魔鉱石を取り出してテーブルの上に置いた。


「魔鉱石……土竜(もぐら)の巣の?」

「そうだ 最高級の品質だぜ」

「おうおうおう オイラがいりゃ、いつだって最高級の魔鉱石くらい用意できるってもんよ」


 確かに魔鉱石なら、魔石の代用くらい可能だろうけどもさ、それとリズとの関係性が結びつかない。


「さっき、調整とか言ってたろ それが関係あんのか?」

「アリオスさん 正解っす それと、咥えてたスプーンで俺を刺すのやめて 微妙に痛いから」


 バートの額をコンコンとスプーンで突き刺して、バートの額が赤くなっている。アリオスは、子どもっぽいところがたまにある。リズがまねするから止めようね。


「リズちゃんには、有り余っている魔力があるんだろう」

「そうだね 幼少期に魔力が発現すると身体が小さい分直ぐに容量が溢れる 私も苦労したからね」

「それなら、その魔力を吸収するだけじゃ 勿体ないってことよ」

「おうおうおう オイラたちが手掛けたのは、魔力バッテリーなのさ」


 バートは、自分が説明したかったのに、イッチに先にネタをバラされ、面白くないようだ。


「チッ まあいい どうせ大量の魔力が集まるんだからよ その魔力を有効活用できるように 掃除機や洗濯機、冷凍冷蔵庫、照明器具……他にもいくつか設備に魔力を流すようにしたわけさ」


 バートが、指を折りながら取り揃えた家財や設備をあげていった。


「でも、リズちゃんの魔力だけじゃ足りなくなったりしないの?」

「それも大丈夫 オート、マニュアル、どっちにも対処してある 加えて省エネ仕様だ」


 本当に嬉しそうな表情で、私たちに説明をしてくれるバート。初めて会った時もそうだった。バートは、壊れたおもちゃをわき目も振らずに修理していた。何かを作ったりすることが好きなんだなぁ。


 孤児院の一階の奥に新しくできたのは、エネルギー室。おやつタイムが終わり、バートの案内のもとやってきたわけで、中にはゴウン、ゴウンと音を立てている大きな箱?が設置されていた。


「これが、本日のメインディッシュ 魔力バッテリーだ」

「黒い大きな箱だ」

「なんだなぁ 横にハンドルもついてるよぉ」

「ああ、マニュアルで魔力を溜める場合は、このハンドルを20回くらい回してくれ 一日分の魔力と等しいエネルギーが溜まる」


 試しにハンドルをぐるぐる回してみると、思ったより重くない。子どもでも軽々回せるくらいだ。


「これなら、僕じゃなくても、子どもたちでも、できそうだなぁ」

「だろう んでもって、リズちゃんはこっち この丸い印に両手の手のひらで触ってくれるかな?」


 リズが、私を見上げたため、頷いてみせる。リズも大きく頷き返し、両手をペタンと印につけた。


「うわぁ? あわわわ? おわわ!」

「ちょっと 吸収力が、強すぎるか? イッチ 1と5と7を左にセットだ」

「おうおうおう 任せな」

「ほわわわわ」

「次 2と6を右にあわせろ」

「おうおう! 右だおら」


 リズの様子を見ながら、バートがイッチに指示を飛ばす。魔力バッテリーの上にいるイッチは、スパナを片手に部品の微調整をしているらしい。リズのほわほわ叫んでいるのは、大丈夫なの?


「リズちゃん、どうだ? 気持ち悪くないか?」

「ぼわわわ」

「そうか、ちょうどいいか」

「え? 今のでわかんの?」

「ふぅっ   気持ちいい」

「マジで?」


 ほにゃりと笑顔を見せるリズに、そうだろう、そうだろうとバートが頷いている。ほんのり頬が赤くなっているリズは、お風呂から上がったばかりのさっぱりとした表情をしている。


「なんだよ その疑うような視線は」

「なあ、どういう仕組みなんだ?」


 腕を組んで見ていたアリオスが、バートに尋ねた。


「ドレインの魔術でアルが、魔力を吸収したって言ってたろ?」

「うん」

「リズちゃんが触れた印には、そのドレインの術式を組み込んでんだ 仕組みは去年作った抱き枕の応用だけどさ」


 幸せな気持ちになる抱き枕……って、去年の収穫祭の品評会に出したマジックアイテムじゃないの?


「センスがないって言われたアレ?」

「たしか、今でも愛用しているってたしか言われてたアレか?」

「センスがないとか言うなよ 自覚してんだからさ」


 プイッと唇を突き出し、バートが拗ねる。センスはなくとも、技術力は定評があったもんね。リズのスッキリした表情を見ればわかるよ。私も後でこっそり魔力バッテリーの効果を検証してみようと、密かに思ったのでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
アルさんがやったら、バッテリー爆発するんじゃないヾ(≧∇≦)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ