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元Sランク冒険者は、新人!?冒険者として、お一人様を満喫したいそうです  作者: 枝豆子


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48 大海原と大空と錬金術師

 レイラは、去年の優勝者ということもあり、堂々とした佇まいは、女王の風格がある。舞台上では、レイラ陣営のサポーターだろうか、筒状の装置を舞台の端から端へとセッティングしていってる。準備している間にレイラは、司会者から拡声器を受け取り、観客に向かって話し始めた。


「今宵は、錬金術師たちの品評会へお集まりいただきありがとうございます」


 人前で話すことに慣れているらしく、観客へ語りかけるように、私たちと視線を合わせながら、ゆっくりと会話を続ける。いまだに準備中のため、その待ち時間で、観客の熱量を覚さないようにしているのだろう。


「さすが女王さまだね トニーさんが盛り上げたお客さんを そのまま掻っ攫っていくつもりだよ」


 カナリアからの冷静な分析に、私も同意だ。


「カナリアさんは、周りがよく見えてるんだな 大したもんだ」


 アリオスも素直にカナリアを褒めると 歯に噛んだような笑顔を見せた。舞台の準備も整ったのか、サポーターたちが、舞台袖へと去っていく。


「それでは、みなさまを 海と空への旅へと招待いたしましょう」


 司会者へ拡声器を返すと、レイラは手に持っていたステッキを振り翳した。舞台に置かれた筒から一斉に噴射されたのは、大量の(ミスト)だ。


「おお!」


 騒めく観客たちを見て、自信に満ち溢れた表情で笑顔を見せるレイラ。さらにステッキを一振りするとレイラの姿が舞台上から消えて、(ミスト)が光出した。


 気がつけば、私たちは海の中にいた。まるで一匹の魚にでもなったかのような錯覚に陥っているのは、(ミスト)に映し出された映像のせいだろう。見たこともない美しい珊瑚礁や海底に沈む難破船。大海原を泳ぐ私たちは、全員が探検家になった気分だ。そして現れたのが、海の王様と呼ばれるキングホエールだ。最大級の大きさを誇るキングホエールを目の当たりにして、観客たちは感嘆の声を漏らす。


「あれが、キングホエール 初めて見た」


 流石に私も資料以外で姿を見るのは、初めてだ。そして私たちの視界は、一匹の魚からキングホエールの視界へと切り替わる。ぐんぐんとスピードを上げるキングホエール。海の景色が物凄い速さで流れていく。そして、キングホエールが、海から空へと飛び出した。次に映ったのは、大きく飛び出したキングホエールの姿だ。大きな飛沫を上げて海へと帰っていった。


「大迫力 映像だけでなく音までもが、しっかりと耳に届いているよ」


 今度は、私たちは、大空を飛び交う海鳥へと姿を変えたようだ。海鳥の群れの中を飛ぶというのは、こんな感じなのだろう。警戒心もなく、隊列を組んで海鳥は飛んで行く。真下に見えるのは、マローの街かな?


「中央広場だ!」


 子どもたちの叫ぶ声で、やはりマローの街なのだと確信した。マローの街を旋回して、海鳥たちは寝ぐらへと帰っていく。そして、大海原に沈む夕陽を見ながら、私たちの空の旅は、幕を閉じた。


 幻想的な旅が終わると、舞台上の霧が晴れていく。舞台中央には、最初と同じように、レイラが一人立っていた。余韻が残る中、観客たちが、パチパチと一人、また一人と拍手をしていく。まばらだった拍手が、どんどん増えていき、会場全体が震えるほどの大歓声へと変わっていく。


「大海原と大空と体験したことのない素敵な旅に、招待していただきありがとうございます」


 司会者も興奮している様子がわかるほど、会場全体がが幻想的な旅に酔いしれていた。


「ますます、オチ確定の舞台が整ったな」

「ダメ! 師匠 縁起でもないこと言わないの!」

「フン 期待も何もされてないから、尚更やりやすいだろうよ」


 鼻を鳴らすアリオス。そっと次の出番を待っているバートを見ると、胸に手を当てて大きく深呼吸をしているのが見えた。プレッシャー、十分に感じているようですよ。


「さあ、品評会も盛り上がってまいりました みなさん お待ちかねのバートさんです」

「よっ!今年も笑わせてくれや!」


 大きく息を吐き、舞台袖でぴょんぴょんと軽く跳ねた後、両頬をパチンと叩いたバートは、「よっしゃ」と気合いを入れて、舞台中央に飛び出した。


「おっと気合いは、十分なようですね」

「おうよ、今年は、お前らの度肝を抜かしてやる」

「ハハハ みなさま 聞きましたか? 今年もバートは、楽しませてくれるらしいですよ そんなバートに応援メッセージが届いてます」


 応援メッセージなんて届くんだ。だけど、司会者だけでなく観客もバートの作品をあまり期待してないのが丸わかりだ。どれだけ、微妙な作品を発表し続けたんだろう。腕が確かなのは事実なのと、バートの人柄の良さで、錬金術師としては、名を馳せていたんだろう。


「何とメッセージは、我がマローが誇るトップランカーSSS冒険者、アリオスさまからです なになに チーム白雪(しらゆき)としての初舞台 しくじったらお前の席は無いと思え だそうです 何とバートは、あのアリオスさまとチームを組んだんですか?」

「ああ、このエンブレムが白雪(しらゆき)の証だ」


 どよどよと観客席から騒めきが立ち上る。アリオスもすくっと立ち上がり、大きな声でバートに発破をかける。


「バート! 俺、いや白雪(しらゆき)の顔に泥を塗るんじゃねえぞ 一発かましたれ!」

「うおおおおおおおおおお!」


 アリオスからの声援に、会場中が騒めき、興奮した。アリオスって、本当に有名人なんだ。


「こりゃ、俺たちの門出に下手なもん見せらんねわ」

「それでは、バートよろしくお願いします」


 司会者が、舞台から去っていき、バート一人が舞台上に残った。



次回予告


モチベーションにつながりますので、

楽しんで頂けた方、続きが気になる方おられましたら、

評価、ブックマーク、感想、宜しくお願いします!


次回予告 夜空と大輪の花とヘルミナ嬢

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