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元Sランク冒険者は、新人!?冒険者として、お一人様を満喫したいそうです  作者: 枝豆子


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32 調教と教育と大暴走

マローの街へやって来て、初ダンジョンアタック。目的のダンジョンは、ジュレルの丘から西にあるらしく、バートとは北門で待ち合わせをすることになった。


「お、お初にお目にかかります 僕は、バートと言います よ、よろしくお願いします」


 カチコチに緊張しているバート。そうだよね、私とダンジョン行くつもりだったのに、何故かSSSランクの冒険者アリオスがくっついて来ちゃったもんね。いくら、私が弟子だからといって、初心者向けダンジョン(バート情報)にSSSランクが、引率で付いてくるなんて思ってないよね。待ち合わせ場所に私が現れて気軽に手を振っていたけど、アリオスの姿を認識した瞬間の強張っていく表情が、忘れられないよ。


「アリオスだ 今日は、嬢ちゃんが世話になる 知っているか解らんが、暴走娘だ 調教…いや教育のため俺も一緒に行動させてもらう 畏まった態度は必要ないんで、アリオスとでも呼んでくれ」

「わ、わかりま……わかった」


 アリオスが、威圧感出すから、バートが萎縮しちゃってるじゃないですか。しかも、暴走娘って何ですか。しかも、調教って言いましたよね。最近は、そんなに迷惑をかけてないでしょ……たぶん。


「バート ごめん いらないって言ったけど、師匠って保護者で、すごい心配症なんだよ どうしても行くって、ついて来た……んぎゃ!」


 私の頭をガシっと掴んで、ギリギリと指先がめり込みそうな程、力を込めてきてる。いたい、いたい、いたいです。どうも、今日は、不機嫌モード全開のようです。


「場所は、ジュレルの丘の西ってことは、土竜(もぐら)の巣か?」

「流石っすね アソコは魔素が多いため、良質な鉱石がとれるんだ」


 土竜(もぐら)とは、畑で見かける可愛らしい小動物ではない。読んで字の如く土属性の精霊たちのことだ。巣と呼ばれるだけでも、土属性の精霊が生息している。基本精霊は警戒心が強いため、その姿を視界に捕らえることが難しいと言われているが、このダンジョン【土竜(もぐら)の巣】では、生息の痕跡が幾つも発見されていた。


「いったんジュレルの丘までいってからですかね」

「休憩には、最適だからな」

「なら、私に任せてよ」


 ふふんと胸を張り、アリオスとバートの顔を見る。アリオスは、少し怪訝そうな目をしているが、不機嫌だからかもしれない。腕を突き出して、私からの呼びかけを今か今かと待っているアーくんに声をかけた。


「アーくん!」

『ホッホー』


 ふわりと翼を軽く広げ、私の腕に着地する。しっかりとアーくんが私の腕を掴んでいるのを確認してから、額をアーくんと合わせた。


「結界展開 座標固定」


 アリオスとバートが何をするのだと見守る中、私とアーくんは、お互いの魔力を同調させていく。私たちならできる、確固たる自信を胸に、イメージを膨らませていく。全ては、あの約束を叶えるために。


「アクセスゲート」


 想像以上に魔力が持っていかれる、アーくんと同調しなければ、絶対に無理だったろう。魔族と人族の魔力融合を成し遂げてこそ発動できる『アクセスゲート』は、指定した座標から座標への瞬間移動の転移魔法だ。カナリアをジュレルの丘へ連れて行く。その約束を果たす為にアーくんと魔力同調の訓練を密かにしていたわけで……。歪む景色を私たちは見送った。


 はっと、意識が蘇る。鼻先を掠るのは、覚えのあるスズラ草の香り。ゆっくりと目を開けると地べたに座り込んだ状態のアリオスとバートの姿。毛むくじゃらはアリオスにピッタリ寄り添って、『くーん』と鳴いて鼻をひくひくさせている。


「アーくん!できた、できたよ ジュレルの丘にみんなを連れて来れた!」

『ホッホー!』


 間違いなく、この景色は、ジュレルの丘。いつもアリオスが寝そべっている大きな樹木の座標を固定化して、無事転移を成功させる事ができた。両手を天に突き上げサムズアップ。私は、成功の喜びを噛み締めた。これで、カナリアをジュレルの丘に連れて来れる。


 突如、頭上からゴチンと激痛が走る。


「ウッ…いったあ……な、なに?」


 後ろを振り返ると、オーガより怖い鬼の顔をしたアリオスが仁王立ちして、ふう、ふう、息を荒げて私を見下ろしていた。握りしめている拳から、私の頭上にゲンコツを落としたらしい。アリオスは、真っ赤な顔ではなく、何故か真っ青な顔色をしている。


「し、師匠?」

「お…お…お」


 お、お、お?何を言いたいのかわかりません。バートは、樹木の側で、膝と両手をついたまま、ピクリとも動かず目を閉じたままだ。口をぱくぱくさせているし、アリオスは、大きく息を吸い込み、胸に手を当てて呼吸を整えようとしている。


「ううっ がはぁっ」


 あ、バートが吐いた。毛むくじゃらが、バートの周りをぐるぐる回りながら『わふっ』と鳴いた。


「師匠ぉ ごめんなさい」


 転移の魔術【アクセスゲート】は、アリオスとバートに壮絶な魔力酔いという副作用をもたらしたらしい。結局、二人が復活するまで、ジュレルの丘での休憩を余儀なくされてしまうわけで……。


 本日の教訓、急がば回れ。先人の教えは、とても大事だと痛感しました。




モチベーションにつながりますので、

楽しんで頂けた方、続きが気になる方おられましたら、

評価、ブックマーク、感想、宜しくお願いします!


誤字報告ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
これは成功か!と思いきや同行者の負担が大きいとは… 状態異常って事でポーションとか効かないんでしょうか? ただ、いきなりカナリアで試さなくて良かったね○ とも。
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