31 バートとお題と私
サイクロプスにグリフォンにサーペント。どれもこれも、ギルドに買い取ってもらった魔物たち。魔核の出どころは、私だろうね。
「いやあ、遭遇したことあるっと言うか、何と言うか……ね!」
何が「ね!」だ。思わず自分で自分に突っ込みたくなる。
「そうだろう、そうだろう よく逃げ出せたな 怖かったろう?」
「えっと……ん?」
おや?私が討伐したってバレているわけじゃない?乗っかる?乗っかっちゃう?
「私の師匠……アリオスなんで……」
アリオスだから何だよって、再び自分で脳内突っ込みしてしまう。「あははは」「うふふふ」と笑って見たけど、これで誤魔化せるわけないじゃん。
「アリオス?ってあのSSS冒険者のアリオスか?」
あ!勝手に乗っかちゃってくれたみたい。バートっていい奴だ。うんうん頷いてくれてるからイケる?イケちゃう?うん、アリオスも隠れ蓑にして良いって言ってたはず。弟子の言動は、師匠の責任。アリオス様、お力を貸していただきますよ。
「そうそう、師匠は強い!めちゃくちゃ強い!」
「最近、討伐難易度の高い魔物が市場に出回る理由も納得できるわな アルも討伐されるとこ観てたんだろ?」
「見た見た」
自分で討伐したんだから、討伐の瞬間を見ていたと言っても嘘じゃないよね。バートは、アリオスが倒して、後ろで私が観てたんだろって思ってるんだろうけど、否定も肯定もしなけりゃ嘘にはならない。
「アルもアリオスさんがいくら強いからって無茶すんなよ そのタグプレート、まだ冒険者登録して間もないんだろ」
おっと、再び答え難いお言葉いただきました。私の胸に光る冒険者である証のタグプレートは、お手製の特殊効果を施したピッカピカの真新しい状態を維持している。いつまでも、新人冒険者のままでいたい私の決意の表れだ。勝手にCランクに上げられちゃったけどね。言わなければ解らないことだし、取り敢えず、にっこりと微笑んだ。
「私のことなんかより、品評会! 品評会だよ バート」
「クゥ! そうだ そうなんだよなぁ 何だよ【笑顔になる物】ってさ」
話題をそらすことには成功したけど、現実を直視するバートの表情は、どんよりと曇る。ミニチュア人形の出来栄えを見れば、技術的に腕は確かだと思うんだけどね。
「ねえ、他の商品も観ても良い?」
「ああ、かまわんぞ」
むむむと唸るバートを横に、商品を見させてもらう事にする。
「カバン?ポーチ?」
「おう、それは、ポーションならいくらでも入るマジックバッグだ」
単純にそれは欲しいかも。毎回、アイテムボックスをゴソゴソ探すより、ポーションだけ入ってるなら、探す手間が要らない。でも、笑顔にはならないね。
「変な筒」
「空気を圧縮して風が噴き出す 子どもの玩具だな」
何だよそれ。試しに握って魔力を流す。ボタンが一つ付いているから、コレを押せば良いのかな?
『ホッホー!ホッホー!ホッホー!』
「うわぁ! アーくん!」
「おわぁ!!」
ボフンと撃たれた空気圧が、ミニチュア人形で遊んでいたアーくんに直撃した。アーくんは、空気圧で吹き飛ばされ、くるくると宙返りしながら台の上から転がり落ちる。ぼてっと地面に叩きつけられ、慌てて駆け寄った。抱き上げると目を回しているらしく、私の胸の中でくてっとなってしまっている。
「ごめん アーくん わざとじゃないよ アーくん!」
『ホ……ホッホー』
弱々しい鳴き声をあげながら、胸の中から私を見上げる。ぎゅうっと抱きしめれば、すりっと顔を寄せてくれたので、大丈夫かな? なんたって、一応アークデーモンだし。それにしても、変な筒、ある意味武器じゃんか。
「うへぇ ただの風送りの筒だったんだけどなあ ほら、こんな感じ」
バートが筒を持って、私の顔へ向けてボタンを押すとふわっと風が吹きかけられる。髪の毛が風に靡く程度の風圧だ。いやだ、こんな所で、また規格外のレッテル貼られるの。ヒクリと頬がつりそうになるのを笑って誤魔化す。
「笑顔とはほど遠いね」
「ウッ わかってるよ」
みなまで言うなよとバートは、笑って言った。
「仕方ねえ、気晴らしに材料調達がてら潜るか」
「潜る?」
聞きなれない言葉に思わず反応してしまう。
「おう、錬金術ってのは、材料も必要だろ 費用も食うんだよ 金が有るわけじゃないし、採掘場とかダンジョンに行って 材料になりそうな物を見つけてくるんだ 俺は、そのために冒険者登録してんだよ」
「ダンジョン!?」
【白銀の翼】では、ダンジョンに行かされては、ボスクラスの魔物討伐やお宝を集めさせられ、ギルドマスターのゴーツクンに貢ぐだけだった。純粋に自分のためだけにダンジョンへ行ったことはない。ジェシカさん、コレは、由々しき案件ではないでしょうか? お一人様を楽しむためのダンジョン攻略やったことありません。
「なんだ、ダンジョン行きたいのか?」
「いいの? 一緒に着いていってもいいの?」
思わず食い気味に返事をしてしまう。私の食いつきぶりに、バートは、一瞬怯んだが、直ぐに柔らかい瞳に戻り、私の頭を軽く撫でた。
「俺の行きつけで良ければ、一緒に潜ってみるか?」
「ぜひ! よろしくお願いします」
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