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元Sランク冒険者は、新人!?冒険者として、お一人様を満喫したいそうです  作者: 枝豆子


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28 露店と人形と私

 収穫祭まで後二週間。マローの街も本番間近ということもあり、益々賑わってきた。街全体が、収穫祭を楽しみにしているかのように、旗やガーランドで飾り立てられ、より活気に満ち溢れている。街を歩くだけでもワクワクするのだ。収穫祭当日が、楽しみで仕方がない。


 相変わらず、中央広場にも屋台や露店が所狭しとと並んでいる。どの屋台や露店もお客さんが覗き込んだりしているのだけど、ひとつだけお客さんがいない露店を見つけた。


「アーくん あそこの露店だけ、誰もいないね 逆に目立って気になるね」

『ホッホー』


 露店の前をお客さんは通り過ぎてはいるけれど、チラリと視線を送るだけで足を停めることなくそのまま通り過ぎていく。他の露店と異なり、店主も客寄せのために声をかけたりしていないので、商売意欲を全く感じさせない。


 こんなに中央広場は、たくさんの人で賑わっているのに誰も寄り付かないなんて、一体何をどうすれば、そんな結果になるんだろう。ある意味怖いもの見たさで、そろりと露店に近づいた。露店の店主は、赤い髪色の青年で、やってきた客(私)に目を向けることなく、作業に没頭している。


「悪いな坊主 勝手に見てくれや 今急ぎの仕事してっから」


 坊主!?私のことだろうか?見向きもしないから、男と間違えているのか?しかも、急ぎの仕事だと?どう見てもガラクタを捏ねくり回しているようにしか見えないんだけど?


「えっと、勝手に見てもいいのかな?」

「おう、構わんぞ坊主」


 やっぱり、坊主って私のことだった!女の子っぽくないのは、気づいていたけど、今は、カナちゃんとお揃いの髪留めもしてるし、『白銀の翼』にいた時のようにボロボロでドロドロの汚物見たいな格好もしていない。まあ、冒険者って職業柄、ふわふわっとした女の子っぽい格好は、してない。だけど、声だけは、普通に女の子だと思うよ。それでも、坊主ですか?どんだけお客さんに興味がないんだか、それとも全く見ていないんだか…。それが、逆に面白くなってくる。


「では、遠慮なく」

「おう」


 露店に並ぶ商品は、雑貨系だろうか?蝋燭や石鹸、鞄に置物、アンティークな小物など全く統一性がない。ひと目見ただけでは、一体何に使うんだ?とよくわからない物が、細々と並べられている。


「蝋燭?」

「それは、火を灯すと色んな色の炎が出る蝋燭だ 緑や紫、桃色、黄色、水色、まあ、20色くらいあるかな」


 全く私に興味がないのかと思ったけど、普通に商品の説明をしてくれたことに驚いた。相変わらず、手に持っている物をカチャカチャと触りまくっているけど、客の相手はしてくれるんだ。


「これは、サンドラビットの人形?」

「ああ、サンドラビットは、女子供に人気のある魔物だな 触ってみてもいいぞ」


 これは、このサンドラビットの人形を触ってみろという指示なのだろうか?もふもふっとして、本物のサンドラビットのミニチュアみたいで、精巧な出来だと思う。人形で遊ぶ年頃でもないが、取り敢えず手前に置いてあったサンドラビットの人形をひとつ手に取った。


「うわぁ!」

『ホッホー?』


 手に取った瞬間、人形に魔力を吸い取られたようなきがしたからだ。そのため、驚いて思わず変な声をあげてしまう。少し恥ずかしい。


「ご、ごめんなさい ちょっとびっくりして、人形床に落とした」

「んー」


 青年は、人形を落としてしまったことには、何も言わず、興味なさげな生返事。だけど、大事な商品を壊しでもしたら、申し訳ない。ポトリと人形を落としてたのは、私の落ち度だ。壊してないかと思い、慌てて人形を拾おうとしゃがむ。


「うへっ?」

『ホッホー?』


 本日二度目の変な声。落としたはずの人形はそこには無くて、私の周りをピョコンピョコンと飛び跳ね回っていたからだ。アーくんが、嘴でツンと突っつくと、ぽてりとコケてキョロキョロと辺りを見渡し、その場で毛繕いまで始めた。


「何これ、めちゃくちゃ可愛いんだけど」

『ホッホー』


 本当に生きているかのように、動き回るサンドラビットのミニチュア人形。アーくんも興味が湧いたらしく嘴で触りまくる。ほわっと軽く光って、アーくんからも魔力が流れるのがわかった。台の上には、サンドラビット以外の人形もある。私には馴染みのあるサイクロプスの人形もあった。


「こっちは、どう動くんだろう?」


 指先でサイクロプスの人形をそっと触れる。サンドラビットの人形と同じように、魔力がすうっと流れた。人形は淡く光るとサイクロプスの特徴である大きな一つ目をギョロギョロとさせる。両手を大きく上へ突き上げると上腕二頭筋に力瘤を作った。そして、ノシノシと歩き出した。


「ふうっ これで完成っと おう坊主待たせたなぁ……っておい!」

「ふへっ?」


 不意に青年から声をかけられて、変な声を出すこと三回目。私は、夢中になり過ぎて、またしてもやらかしてしまった。


モチベーションにつながりますので、

楽しんで頂けた方、続きが気になる方おられましたら、

評価、ブックマーク、感想、宜しくお願いします!

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