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元Sランク冒険者は、新人!?冒険者として、お一人様を満喫したいそうです  作者: 枝豆子


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13 過去と現在と私

 ハニービーの蜜もゴードンビートルの捕獲も無事終えた私とパンケーキ師匠ことアリオスは、揃ってマローの街に帰ってきた。


「アルちゃん お帰りなさい あら?アリオス あなた、アルちゃんと一緒に着いてきてどういう風の吹き回し?」


 そう、ジェシカに依頼達成の報告に行くと言ったら、何故か「俺も行く」とアリオスが勝手に着いてきてしまった。


「俺は、嬢ちゃんの師匠になった 弟子の状況を知るのは、師匠として当然だと思うが?」

「あら、アルちゃん あなたアリオスに弟子入りしたの」

「はぁ、ジェシカさんにレシピを教わったけど、パンケーキが上手に作れなくてパンケーキ師匠に助けてもらったらいつの間にか弟子入りしてました」

「パンケーキ師匠?」


 私の説明に大きく瞳を開いたジェシカ。面白そうに唇は、ふよふよ歪んでいる。


「フフフッ アハハハハハハ パンケーキ師匠って何よ!SSSランクのアリオスさまが、パンケーキを作ったの?ちょっとエルビスにも教えなくちゃ エルビス!エルビスゥ!!」

「え?パンケーキ師匠ってSSSランクなの?」


 アリオスの風貌、帯刀している使い込まれた業物の刀、獣魔として傍らにいる毛むくじゃらから名のある冒険者とは気付いていたけど、SSSランクって最高峰のトップランカー冒険者じゃないか。


「そうだ 見直したか?」


 ふふんと鼻を鳴らすアリオス。


「なんだ?アリオス アルちゃんに何も伝えてねえんだな」

「エルビス クククッ だってパンケーキの師匠だもの SSSランクは、関係ないわ アハハハハハハ」

「確かに!ガハハハハ SSSは関係ねえか!」


 ジェシカに呼ばれてやってきたギルドマスターのエルビス。膝を叩きながら豪快に笑っている。盛大に笑われて揶揄われたのが面白くなかったのか、アリオスは、私の破廉恥行動を暴露した。お陰でジェシカとエルビスから大目玉を食らってしまうお捌が回ってくるという散々な結果になってしまった。八つ当たりだ!


「そういやあ、ギルマス アンタ【白銀の翼】って知ってるか?」

「ああ、耳にした事はある 王都ゼブディアにある民営ギルドのはずだが?」


 ジェシカも何も言わずに頷いて見せるだけ。きっと私の事を思って何も言わないでいてくれるんだろう。【白銀の翼】については、耳にしたレベルではない。私がかつてアルデリアという名でギルドマスターのゴーツクンに奴隷として扱われていたギルドだから。


「それで、【白銀の翼】がどうした?」


 エルビスが、何食わぬ顔で、アリオスに先を促す。


「ああ、【白銀の翼】は、大型の魔物討伐で最近頭角を表してきた民営ギルドだったんだけどさ、どうやらここ二、三カ月依頼の失敗が続いているらしいんだ」

「たしかゴーツクンという元Aランクの冒険者が立ち上げたギルドと聞いていたが?」

「らしいな ギルドマスターが直々に俺に【白銀の翼】に所属しないかって声かけてきたぞ」

「ほう? お前に声をかけるなんざ 怖いもの知らずだな」


 パンケーキ師匠、【白銀の翼】にスカウトされたの?


「胡散臭い手柄自慢を延々と聞かされて、イライラしてたら ガルも相当鬱陶しかったんだろう グルグル唸り出して、『ガオッ』って吠えてさ、慌てて帰っていきやがった」

「あら、ガルちゃん 相変わらずお利口さんね」

『わふっ』


 私は、ゴーツクンが元Aランクの冒険者だったってことに驚きだよ。


「あちらさんの出した条件、良い待遇だったんじゃないか?」

「ああ、富、名誉、権力、女、酒 馬鹿みたいなもんを並べ立ててたぜ どれもこれも俺には要らねえけどな」


 ゴーツクンは、相変わらずらしい。自分の価値観が全てで、札束で頬を叩けば全て支配可能だと考えている。溜め息しか出ないどうしようもない奴。


「噂だと柱だった冒険者が抜けたって聞いたが?」


 えっと、その柱って私ってことですか?私、ただの奴隷だったんですけど?ギルマス、盛り過ぎてませんか?


「今じゃ実力の伴っていない高ランク冒険者の巣窟 、汚名返上したいゴーツクン、名のあるトップランカーの冒険者に声をかけまくっているってことだ」

「浅はかね」

「最近じゃ、闇ギルドとも手を組んだとも噂が出始めた」

「そうか……」


 エルビスもジェシカも黙って話を聞いていた私を気遣っているのだろう。アリオスも二人の様子に確信を経たように「やはりな」と小さく呟いた。


「嬢ちゃん、お前だろ?抜けた冒険者ってのは」

「え?」

「ジェシカ、俺にジュレルの丘で休息を勧めたのは、嬢ちゃんに引き合わすためだろ?ギルマス、アンタも嬢ちゃんの前でかも当然のように俺から情報を聞き出そうとしやがって わかりやすいんだよ二人とも!」


 あっさりと私の身元バレてしまったのはどうして?別にアリオスのことが信用できないって訳じゃないけど。


「以前卓越した魔力操作でウォーターボールのみで危険度の高い高ランクの魔物を討伐する冒険者がいると聞いたことがある 昨日嬢ちゃんから見せてもらったウォーターボールとゴードンビートルの捕獲を見て、確信を持ったよ 何よりガルが嬢ちゃんには、他にも見たことがないくらいに懐いた」


 はい、見破られたのは、全て私の所業でした。


「俺は、【白銀の翼】が気に入らない 俺の弟子であれば、卓越した魔力操作の説明もつく どうだ?悪い話じゃないと思うけどな」

『わふっ』


 ジェシカもエルビスも良い案だとアリオスの申し出を賛成した。


「よろしく……お願いします?」


 こうして、私の過去を知る仲間が一人、また増えたのでした。

モチベーションにつながりますので、

楽しんで頂けた方、続きが気になる方おられましたら、

評価、ブックマーク、感想、宜しくお願いします!

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