1 プロローグ
「新規での登録は、最低ランクのEランクに登録となりますが…えっと…本当によろしいのですか?」
ここは「王都ゼブディアって何ですか?」って言われるくらい王都から遠く離れた大陸最果ての街マロー。王都から一番遠い冒険者ギルド(国営)がマローだった。私は、ただそれだけが理由で、王都から馬車を乗り継ぎ、野を越え、山を越え、谷を越え、さらに馬車に乗り、何日も野宿を繰り返しながらここの街に辿り着いた。
受付のお姉さんの眉毛が少し寄って怪訝そうな表情を浮かべているのは、後から文句言われても対処できませんよ的な意味合いが込められているのだろう。
「別に新規登録で問題ありませんよ」
過去に冒険者として登録されている場合、半年以内であれば再登録の手続きを踏めば、功績や経歴を引き継ぐ事が出来る。民営ギルドから国営ギルドに再登録する場合、それが一般的である事は知っている。でも、今の私には全く必要がない。わざわざ遠路はるばる最果ての国営ギルドにやって来たのだ。
「はぁ、では規則ですからこちらに血を一滴垂らしてください 犯罪歴などが発見されればその時点で登録は永久に出来ず、犯罪奴隷として身柄を拘束させていただきます」
脛に傷を持つ冒険者もいる訳で、再登録を拒み新規登録希望なのだから怪しまれても致し方ない。ニッコリと笑みを浮かべ、どうぞどうぞと指先にナイフの刃を突き付けた私は、差し出されたプレートに赤い血を押しつけた。真っ白に輝き出したプレートは、私の過去にやましい事が全くない事を証明する。少しでも濁りが有れば、過去に何らかのトラブルを抱えている人物で、犯罪歴が有れば真っ黒なプレートが出来上がる。
「えっと、問題はないようですね 最果ての街マローへようこそ」
ギルド職員は、余計な詮索はしてはいけない。こうして元Sランク冒険者であるアルデリアこと私は、新人冒険者アルとしてマローの街で新規登録を終えたのだった。
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