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ダンジョンは基本的に地下に広がり、下層へ行くほど出てくる魔物が強くなる
最初の授業ということもあり、今日は3層目まで潜る予定だ
1層目はリーフ先生を先頭に進み、2層目、3層目はリーフ先生の手を借りながら、なるべく生徒主体で進む
スルト達の班は最後にダンジョンへ入った
最後だからなのか、魔物は全くと言っていいほどいなかった
(おかしいわね、普段なら最後の班であってももっと魔物がいるはずなのに
とは言え、生徒たちを不安にさせる訳にもいかないから黙っておきましょう。
他の先生と合流してから判断するしかないわね。)
リーフは違和感を感じていたが、生徒をいたずらに不安にさせるのも良くないと思い、黙っておくことにした
このダンジョンはエレストリア学園のダンジョン実習で何十年も使用しているほど、初心者向けの低難易度のダンジョンである
その実績から、その時はそこまで問題でもないだろうと思ってしまったのだ
このとき、引き返していたらよかったとリーフは後悔する事となる
―――
全ての班が順調に、いや、順調すぎるほどスムーズに3層目まで到達した
さすがに魔物が少なすぎるのではないかと生徒たちも違和感を感じていた
(先生達が険しい顔で話し合っているな。
やはり魔物が極端に少ないのが関係してるのか?
今日は何か嫌な予感がする。気のせいだといいんだが…)
順調に進めるようであれば4層目まで進んでもよいかと思っていた先生もいたが、全ての班でそのような事態となるのは初めてのことであり、もしかしたらダンジョンに何か起こっているのではと、今日の授業はここまでとすることになった
帰りは入口への転送用魔法陣がどの層にもあるため、それで帰ることになる
また同じ道を戻る必要がないのはありがたい
そうして、全員が魔法陣の上に立ち、転送のための呪文を唱えようとした時だった
『お前たちは返さない』
突如、どこからともなく女の声がダンジョン内に響いた
「なっ、なんだ!?」
「わからん、兎に角急いで転送させろ!」
「学園に戻ったら至急学園長に報告せねば」
先生達も不足の自体に少しパニックになっていたが、直ぐに転送用の呪文を唱え、転送魔法陣が光を放ち、魔法が起動した