確信。
僕にとって、最後のリーグ戦が始まった。
シュート率も上がってきて絶好調に調子が良いと思っていたのに、昨年優勝したチームと一試合目から当たってしまった。
相手チームには160センチ超えの選手がゴロゴロいた。ジャンプボールはもちろん、ユニティの中で一番背が高い僕がトライする。でも、ジャンプボールの相手は僕よりさらに10センチは背が高そうだ。
それでも僕は必死にジャンプした。全くボールに手がかすらないまま、相手チームにボールが渡った。そして開始3秒でいきなり点を取られてしまった。必死にリズムを立て直す。リズムを立て直したいのに、どんどん相手のペースに持ち込まれる。央大も負けずにドリブルで攻めるが大きなディフェンスが迫ってきて、簡単に吹っ飛ばされた。
僕も何度も無茶な所からシュートした。普段は入るシュートも、大きなディフェンスに圧倒されるし邪魔はされるし、ゴールにはことごとく嫌われて、全くボールはゴールに入らなかった。リングに弾かれたボールを取ろうとどんなに飛んでも、周りのデカい奴らがぶわっと覆い被さってくる。
そんな最悪な流れの中、僕にフリースローのチャンスが巡ってきた。
ボールを構えてゴールに集中する。
ここは絶対にゴールをきめたい。点を取りたい。絶対ゴールを入れて、流れを変えたい。
睨みつけるようにゴールを見ていたら、視線の延長線上のゴールのすぐ横に、祈るようにこちらを見てる栞さんの姿が見えた。
栞さんと目が合った瞬間、
「絶対入るよ。ロクちゃん!」
と栞さんが叫んだ。
栞さんの声がキーンと頭の中を突き抜けて、曇り空に光が射すようにハッキリと確信した。
僕は、栞さんが好きだ。
そう思った瞬間、妙に腑に落ちて肩の力が抜けた。
でも、力が抜けすぎたのか…
2本ともリングにすら当たらなかった。
なんてカッコ悪いんだ…。
「ドンマイドンマイ!」
と蒼の声がした。
「ロクちゃん!ドンマイ!」
と、たくさんの声援の中から蒼と栞さんの声がハッキリ聞こえた。
何が何でも勝ちたくて、何が何でも僕が点を取りたくて、自分勝手なプレイばかりしてコーチに何度も
「ロクー!」
と叫ばれた。
それでも僕は、馬鹿みたいに果敢に攻め続けた。だけどユニティは、残念ながらダブルスコアで負けてしまった。
その後、違うチームとも二試合目があったが、僕はいつもの感覚を取り戻すことが出来ず、勝てると思っていたチームにも負けてしまった。
こうして、僕の最後の公式戦は終わった。