彩葉。
僕たちはいつもハーフコートで練習していた。隣にはいつも女子が練習している。
「ゼッケンが歩いてるかと思ったら、小さな男の子でびっくりしたー。彼が噂の特例の一年生?」
と、彩葉が話しかけてきた。
実はユニティは、二年生からしか入部出来ない決まりがあった。
ではどうして、蒼は一年生から入部できたのか?
僕は後から川口コーチにこっそり聞いた。
僕らが卒業したらチームの人数が大幅に減ってしまうので、一人でも多く今のうちにメンバーを確保したいから。って事だった。
柔軟な対応だと思った。そこの決まりを大事にするコーチだったら、僕はこうして蒼とバスケをすることはなかったんだから。
彩葉は女子チームのキャプテンだ。家が近所で幼稚園の時からの幼馴染だ。女子のくせに背が高くて、小さな頃からずっと僕より彩葉の方が背が高かった。五年生の時にようやく彩葉よりも背が高くなったが、それまでは喧嘩する度に『チビ』だとバカにされた。肩までしか伸ばした事のない髪。スカートなんてほとんど穿かない。日焼け止めも塗らないからいつも年中真っ黒な女の子だった。小さい頃は見た目も男の子のようだった彩葉は、ずっと背が高かったから身体の変化も早くから表れた。三年生くらいから胸が目立ち始めて、どんどん大人の身体に近づき始めた。中身は子供っぽくて男みたいなのに、外側はどんどん大人の女になっていく。彩葉には本当に申し訳ないが、どんどん大人に近づいていく彩葉に僕は戸惑っていたし、正直嫌だなぁ…。と思っていた。
「特例の一年生、小さくて可愛いやろ?お前と違って。」
「うわ。腹立つ〜。」
と言いながら、彩葉が僕の肩を叩いてきた。
こうゆうやり取りだけで他のメンバーが
「お前らって、もしかして〜」
と茶化してくる。そうゆうのがめんどくさくて、僕から彩葉に話しかけなくなったのに、彩葉はいつだって僕に絡んできた。
「話しかけてくんなよ。」
って言っても、彩葉は相変わらず僕に絡むのをやめなかった。