表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる  作者: かざみん
閑話

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

49/68

シヴィルのひとりごと6「僕のやせい」


「シヴィル! 」


「あちゃあ~、見つかった~」


 顔が判別できないように、ずっとヘルメットを(かぶ)ってカモフラージュしてたが逆効果(ぎゃくこうか)だった。いまは読み書きのお時間、不自然(ふしぜん)な銀のヘルメットがいなくて気づかれてしまった。


いそいで残りのパンを詰めこんだ僕は、口を動かしながらツァルニに勉強部屋へ連行された。


 ため息を吐きわたされた粘土板(ねんどばん)と向きあう。ホワイトボードはないけれど、文字を書いた木の板をかかげたツァルニは懇切(こんせつ)ていねいに教えてくれる。よゆうの笑みを浮かべてみたものの、数分後には他の兵士らと同様あたまを抱えてうなった。




 さっきまで食べてたのを目撃されて、昼の時間もサボった分の復習をさせられる。ツァルニは食べてないのに時間をけずってまで僕につきあう。


(マジメだねぇ~)


 あいかわらず不愛想(ぶあいそう)な表情、この男の顔がくずれる事はあるのだろうか。マジメくさったその表情を引き()がしてみたい、胸の奥でよく分からない衝動がむくむくと()きおこる。


彼を見ているとイラつく。期待をせおって努力すれば(むく)われると信じてる表情、それとも僕になんか目もくれず目的へ向かって歩いていく姿が気に入らないのかもしれない。これはウィリアムのころから持っていた(ねじ)くれた心、奥底にすむ悪魔。


 僕のなかのオオカミが牙を()く。


 理性が働いてた向こうの世界じゃあらわれもしなかった本性。




 **********


 どうして行動に移してしまったのか理解できない。遅くまで酒を飲んで自分の部屋へ帰ってる途中(とちゅう)だった。まっくらやみの廊下を息をひそめて歩き、たどり着いたのは彼の部屋。


深夜なのに部屋のランプは()いていて、ツァルニはベッドで書物を読んでる。僕は影から忍びよって馬乗りになった。闇の不意打(ふいう)ちなら勝てそうな気がする。


「シヴィル!? 」


 おどろいた声が部屋へひびき、僕は唇のはしを上げて笑った。冊子を落としたツァルニを押さえつけると抵抗にあい、しばらく()()()いがつづいた。


「アンタさ、もともとこの地方の部族なんだって? 犬みたいに帝国のヤツらの言うこと聞いてて(くや)しくないの? 」


 上から押さえつけ、ナイフで切りつけるように言葉で傷をつけてえぐる。どんな反応をするのか楽しみで口元の笑いが(おさ)えられない、鏡があったらさぞ悪魔の()みを浮かべているのだろう。


暗い愉悦(ゆえつ)にひたり至近距離(しきんきょり)から見つめた。顔は触れるほど近く、おたがいの(あら)い息づかいがつたわる。


「……帝国が入ってきたのは、俺の生まれるまえだ。良し()しもあるし、拒否をしめす者もいる。すくなくとも俺は文化と教育が入ってきて世界が広がったと思ってる」


 ツァルニは(どう)じなかった。僕に馬のりになられた状態でもひたむきに答える。光りを反射する目がまっすぐに()し、こっちが攻撃してるのに矢で()ぬかれた気分だ。


上半身を引くとツァルニの姿がランプに照らされた。息があがって上気(じょうき)した彼は、みだれた服の胸元を上下させている。


 僕は息を()みこみ、あることに気づいた。


――――息子が反応してる。


 ツァルニを見下ろしたまま時は止まり、考えようとしたけど度数の高いワインをいっぱい飲んだ頭はまわらない。




(あれれ?? えーい、ままよ!! )




 彼のチュニックをめくって、ぼんやり見えるパンツを引き下ろそうとした。


 部屋が暗くて思うようにいかず、僕の手はゴソゴソと()いまわる。そのあいだに反撃にでたツァルニがあっというまに体勢をくつがえし蹴とばされる。さらには筋肉質な腕で首をかためられ、さいごにげんこつを喰らった。


 もちろん手加減(てかげん)はなし。


 石床のうえへ正座(せいざ)させられ、そこからたっぷり2時間は説教された。僕がやったことは酔っぱらいの強硬で片づけられた。


 ツァルニのガードは固くなり、僕の若い体の血潮(ちしお)を発散させるため訓練やランニングの周回がふえた。


 山の見張(みは)(とう)まで馬なしで走れなんて、あんまりだ! 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ