シヴィルのひとりごと4「終わりはとつぜんやって来る」
朝から警鐘が鳴らされ、太陽も出ないうちに僕らは集められた。都市はものものしくザワつき大隊が整列してる。大隊のいる広場へ行かず、各班にわかれて小走りで階段をのぼる。班長のラドリムに率いられてきた場所は北側をかこむ外壁の上だった。
弓をかまえて待っていると、夜明けまえの空が明るくなり壁の外を見わたせた。
地面が黒く塗りつぶされるほどの蛮族が北からおしよせていた。角笛の音と大きな号令がひびき、門がひらいて大隊が行進していく。
壁に設置された大型カタパルトと弩砲が稼働し、蛮族の軍団をなぎたおす。北の平野で大隊と蛮族がぶつかるころ、東の門で異常を知らせる角笛が鳴った。東に設置されたカタパルトへ敵の火矢がはなたれ燃えている。
北にすむ蛮族は小さな国の集まりでまとまりがなく、力押しの戦法をとっていた。いままでと異なる敵の行動は壁の兵士たちに混乱をまねく。
「おい、おいっシヴィル! なんだありゃ!? 」
ラドリムの声がきこえて北へ視線をもどした。アリの群れみたいなのが一カ所でうごめいていた。この光景は見たことがある。マッドマックス――日本のコミックのホクトノケン、まるで世紀末の格好をした毛皮筋肉だるまが何かを運んでいた。
ヤツらが引いているのは、サウザーでもカタパルトでも弩砲でもない。大型の砲身に見えるけど僕の知るものじゃない、そしてとてつもなく巨大だった。
カタパルトと弩砲の攻撃が敵の大型兵器へ集中する。
音もしないイヤな振動が空気をふるわせる。鳥肌がたった刹那、火が青白い雷光をおびて僕らのうしろへ一直線に走った。
轟音で地面がゆれて立っていられない。視界にのこる火の軌跡は、東の門をつらぬき周辺を燃やした。
(東側にもいるのか!? なんだよ……あの兵器! 規格外すぎるだろ!? )
都市のシンボルだった堅牢たる壁は破壊され蛮族がなだれこんでくる。瓦礫の下じきをまぬがれた兵たちが応戦する。
「シヴィル! 」
ラドリムの指さす先は、北側のまだ発射されていない大型兵器だ。さっきと同じく空気がふるえ、砲身が青白く発光してる。
やばいやばいやばい。
一瞬のできごとだった。放たれた兵器の火は正面にいた大隊を消しとばし、北の外壁を崩壊させた。僕を引っぱろうとしたラドリムの手はとどかず、衝撃で吹き飛ばされて意識がとだえた。
『ちくしょう、ふざけんな! あんなのありかよ!! 』
ゲームでチート野郎に負けたくらい腹が立つ、死してる僕はあらぬかぎりの声量で叫んだ。くそみたいな世界、あっちもこっちも変わらない。
―――― 。
どこかで声がきこえた。聞いたことあるような無いような声。
目を覚ませばゆりかごベッドへ寝ていた。天井に母の手作りおもちゃが回っている。
「あうあぉ~」
ふりだしにもどった僕は、バブバブなげいてから安眠をむさぼった。




