シヴィルのひとりごと1「フェス行きたかったのに」
シヴィルから見た「精霊の港」。※ひとりごとなので、シヴィルの一人称です。
窓から入った木もれ日が眩しくて、ぼくはまぶたを開けた。
ログハウスみたいな木の天井、体をうごかしたらベッドがゆれて部屋が見える。立ち上がろうとしたら、バランスをくずしてベッド柵へ頭をぶつけた。
『いったぁ~』
暖炉の薪が燃え、部屋をあたためる。ログハウスにしてはせまくて寒い、まるで馬小屋。柵をつかんで立てば、ベッドはゆりかごのようにゆれる。
「まぁ~! シヴィル、頭ぶつけたの!? 」
知らない女の人が部屋へ入ってきて、ぼくを持ちあげる。
――――ちょっと待って。
女の人のうでに抱えられてうろたえた。
「あうぁ~」
こんらんして声をだしたが言葉にならない。舌っ足らず未満、ぼくは幼児になっていた。
しまりのない口からヨダレが出ても、どうにか言葉をだそうと声をしゃべり続けていた。お腹が空いたと勘ちがいした女の人は、ぼくの口へ乳を押しこんだ。衝撃的なできごとだったが、体が欲していたせいかとても美味しかった。
ぼくはウィリアム・テニエル。
イギリスの片田舎で暮らしていたごく普通の学生だ。ちいさな町では特にすることもなくゲームとマンガがぼくの楽しみ、今週末はゲーム仲間とジャパンフェスへ行く予定だった。
「だぁあ~っ、おまえぇ何やってんだよ! 」
FPSのゲーム画面を見ながら叫んだ。勝手に飛びだして自爆したゲーム仲間へチャットを送信する。そのまま雑談でもりあがり、ちょっとむかしのゲームの話をしていた。
「『ヒザに矢を受けてしまってな』を知らないなんて何ねん生まれだよ。っていうか、ぼくらがすでに老人かよ? 」
笑いながらゲームを終えた。あんまり長い時間やると親にまたゲームを捨てられる。電源を落としてベッドへ横になった。
朝メシ食って、歯みがきして顔を洗う。いつもより早く家を出て学校には余裕で間にあう時間、ヘッドフォンからながれる音楽をうたい道を歩いていると車が突っこんできた。
マジ? こんな広い道路でどんな確立だよ!?
――――そして、ここ。
「あぅあ~」
今週末はジャパフェスへ行く予定だったのにと、ゲップをしてからバブバブ嘆いた。見当もつかない場所で、粗末なへやを見るかぎりぼくの住んでいたところよりもっと田舎だ。ベッドの上で母らしき人の手作りの玩具が回り、考えてるうちに眠くなって寝てしまった。
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まさかの転生者だったシヴィル、彼の視点でおくる「精霊の港」のものがたり。




