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後編

完結です。よろしくお願いいたします。

今日、ラルフ様とわたしの結婚式が執り行われた。

親族や友人たちの祝福を受けて、わたしたちは夫婦となった。


そして今、初夜を迎えようとしている。

わたしは薄い夜着を着て、大きな寝台の脇の椅子に腰かけている。


「ソフィア」


ラルフ様がふたりの寝室に入って来た。ラルフ様はお風呂上りで髪が乱れていて、ガウンを羽織った姿だ。


恥ずかしいけれど、嬉しい。ようやくこの日を迎えることができたのだもの。


「ああ、ソフィア。綺麗だ」

「ラルフ様…」


ラルフ様はわたしを抱きあげて、そうっとベッドへ下ろした。


「ああ、ソフィア、可愛いソフィア。ようやく手に入れた」


ラルフ様は自分もベッドに座りわたしを膝の間に座らせて、後ろからわたしをぎゅっと抱きしめた。わたしの鼓動が速くなった。


「ラルフ様……」

「君が学園に入学してから、ずっと君を見ていた」


わたしは身体をよじってラルフ様を見た。ラルフ様は愛おしそうにわたしを見ている。


「ラルフ様……?」

「図書館でぶつかったの、偶然だと思ってるよね?ソフィアが図書館に来たのを見計らってぶつかりに行ったんだ。痛かったよね、ごめんね?」


ラルフ様が何を言っているのか理解できない。

混乱するわたしの頭にラルフ様は何度も口づけをして、すんすんと匂いをかいでいる。


「ああ、ソフィアの甘い匂いがする。ふふ、それから君がぼくのことを調べ始めただろう?嬉しかったな。ぼくのことを知ろうと懸命なんだもの」


もう何も考えられなくて放心するわたしをラルフ様はそっとベッドに横たえた。


「ソフィアの驚いた真ん丸の目も可愛いね。ああ、今日からはこの鬱陶しい眼鏡も要らないな」


ラルフ様は眼鏡を外してサイドテーブルに置いた。


「ソフィアは目立たない地味なタイプが好みだって聞いたから、できるだけ目立たないように前髪を下ろしたり、制服もやぼったく見えるようにちょっと大きめのを着たりして」


前髪をかきあげ露わになった緑の目が光を放ってわたしを射るように見ている。


「そうそう、黄金林檎。義父上が果樹園の拡張を考えているって聞いて、出入りの商会に売り込んでもらったんだ。果樹園に入ってくる君をみて、どれだけ嬉しかったか」


ラルフ様が覆いかぶさってきた。


「一生離さないよ。ソフィアはもうぼくのものだ」






……わたしの、魅了の魔法は……?




◇◇◇



『おとうさま?』

『何だい、ソフィア』

『おとうさまは、おとこのひと?』

『うん?どうして?』

『あのね、おかあさまがね、おとこのひとにはないしょって』

『……お父様はいいんだよー。さあ、話してごらん』

『うん、あのね、おかあさまは、おとうさまに、まほうをつかったの?』

『……そうだよ、ソフィア』

『ほんとう?』

『そうだよ。お母様はね、それは素敵な魔法をお父様にかけたんだよ』

『どうやって?』

『あれはね、お父様が17歳、お母様が16歳の春だった……』





最後までお付き合いいただきありがとうございました。


Sweet sixteen 恋の魔法



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