エロとは2である。その6
服装だけが強調ではない。
ポーズ、姿勢もまたサムネで重要だ。
フィットネス動画においてピチピチの服装が基本だ。
エロサムネで釣れるという事もあるがそもそもとして動きやすいし、適度な締め付けによる血行促進による疲労回復、パワー補正、そして保護効果、と一応は理に適った服装であるからだ。
この表向きのフィットネスの服装としての効果が大前提として有る上で裏側に見える欲望を注ぎ込む。
この表裏の性質があるからフィットネスにおいてこの服装は人気ではある。もっとも、見る側の理屈ではあるが。
同様にポーズについても基本的には筋トレやヨガ、ストレッチなどの動作をしつつ、その動作にエロを見出すのがフィットネス動画にエロを求める連中であり、ソレを理解してサムネで釣るのが動画投稿者である。
ただ基本的な事を言えば関節の稼動域の問題から胸か尻かで言われたら尻を強調させるポーズが殆ど。
そうしたサムネの多くが尻を向けた動画ばかり。
しかし胸部が上下や左右にパッカリ分かれたりしたらエロというよりグロでしかないため当たり前といえば当たり前である。
代わりに腋フェチなんてのがあるようにやはり関節で閉じたり開いたりする箇所には相応の性癖がある。
圧倒的に尻を向けたサムネが多いとはいえ、身体の横から脇を見せるサムネも無いこともない。
さてポーズだが基本的には先に書いた通り尻、もっと言えば股関節周りの動作を強調したポーズが多い。
極端な話、顔はどうでもいい。
実際、尻を突き出しているが顔を床に伏せたりそっぽを向いて画面に写っていないサムネでも数百万、一千万再生とかザラにある。
「私の美貌を見てほしい」みたいな承認欲求を持つ人からすれば困惑するかもしれんが、価値観の相違というヤツだ。
それに別に顔にまったく興味がないわけでもない。肉体よりも優先度が低いだけで。
ポーズ自体はシンプル。
お尻を向けて食い込みを強調させる。
白人、黒人の骨盤は自然な形で前傾しているし、日本人的な後傾気味の骨盤であってもしっかりトレーニングや姿勢改善をすることでパワーポジションと呼ばれる骨盤の前傾姿勢を身につけることで尻の形と大きさを両立させ、その骨盤の状態からでは脚を閉じても開いても食い込みは強調させやすい。
あるいは前を向いて開脚して見せる。
前を向く利点は顔と胸を見せられる。
基本的に顔が写らなくても胸が小さくても再生数は稼げるが顔や胸に自信があるならソレを武器にしない手はない。
脚を開いて顔は笑顔、胸を張り胸を強調させる。
基本はこの2種類だが加えで斜めの画角でお尻を向けながら身体をよじって顔を見せたり、あるいは後ろ向きで立って開脚して見せながら上体を下げて開いた脚の間から顔を覗かせたり。
基本的に関節の動き、しかも股関節という一部位に注目しているわけなので割と再生数を稼げるサムネの構図はシンプルで誰もが同じような構図である。
似たようなポーズは誰でも真似は出来る。
問題は関節稼動域の角度である。
衣類の食い込みを強調させるのは重要ではあるが、開脚時の角度はさらに重要。
基本的には初心者過ぎす、かといって上級者過ぎない角度が比較的再生数が多い傾向がある。
固くてぎこちない開脚では普段フィットネスなんてしてないことが透けて見える。
だからいくら服装を整えても再生数稼ぎしたいだけかと視聴する側が察して萎えるし、開脚が芸術的なほど美しくても単に凄い、と感じるだけでそこにエロはなく、顔や胸といった他の要素にエロを感じる事になる。
なので開脚自身にエロを感じさせる事ができるのは「基本はそれなりにできている」という中級者、そして「凄いけれどあと一歩物足りない」という上級者。
初心者とアスリートにはエロを感じない。
その中間のところが一番再生数から見るとエロを見出す。
ゲームでも映画でもオープニングもクライマックスも盛り上がるが大抵は中盤が一番ワクワクする。
情報がある程度出揃い、それでいてこれからどんな風にストーリーが変化するか予想、妄想を膨らませる力が一番高まるのが中盤だ。
エロにしても同じ。
視聴する側自身が拘りと能力を持ち、だからこそサムネからある程度の身体能力の予想をつける事ができる。
体型も人工的な不自然なクビレや極端なサイズの物は数値な大きくても小さくても好き嫌いがハッキリし過ぎるため、結局はある程度の範疇が広く浅くで再生数が稼げる。
服装も露出し過ぎでも駄目、かといってガチガチに隠しても駄目。
姿勢やポーズ、表情も全くの虚無では見る側としては困惑かあるいは無視しかしない。
かといってあまりに挑発的では警戒する。
エロに限らず0か1で判断し、限界値を提示するのは自由が感じられない。
成功できるならやっても良い、利益になるならやっても良い。
しかし失敗するかもしれないならやってはいけない。
不利益になるなら手を出すな。
そんな風に言われたら消極的にならざるを得ない。
しかし0,1,2で感じ取れる構図。
ノープランならやるな。→0
しかし何らかの成功への勝算があるなら失敗してもいいからやれ。→1か2。
この時、1を提示されたら男と言うものは1の範囲を探る。
0,1,2においては中間となる1は制限があるとはいえ、自由である。
何処までやったら失敗なのか、何処までやったらクリアになるのか。
その幅があるから面白い。
開脚一つとってもどこまで脚を閉じても中級者と判断されるラインなのか。
どこまで脚が広げられたら上級者からアスリートへ認定されてしまうのか。
フィットネス動画のチャンネル、それもエロサムネで釣ろうとしている見ているとその辺を理解していないところは再生数の波が大きい。
バズった動画と似たような構図でありながら他の投稿動画は再生数に100倍以上の開きがある。
だから余計に背景であったり、体型そのもの、あるいは装飾品などに凝ったりして元のバランスが崩れる。
一方、その辺を理解しているチャンネルは似たような構図は勿論、すこし違った雰囲気を出しても2を感じさせるため安定している。
エロは2である、とはいかにして2を感じさせるか。
主役はあくまでも1。被写体の身体。
背景にも服装やポーズにも力を入れるのは構わない。
しかし被写体を置いてけぼりでそれらに力を入れすぎても無駄になる。
どうしても拘りたいなら完全に割り切って万人向けから共感する人向けにのみ伝わるような作品へ仕上げる。
もっとも今回の場合は既にフィットネスという特殊な性癖向けの話ではあるが。